今週5/25(土)〜5/31(金)の仮想通貨相場
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
ビットコイン・オンチェーンデータ
BTC取引数
BTC取引数(月次)
アクティブアドレス数
アクティブアドレス数(月次)
BTCマイニングプールの送金先
取引所・その他サービス
bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
今週5/25(土)〜5/31(金)の仮想通貨相場の仮想通貨相場週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円は、概ね1060万円〜1100万円のレンジで揉み合いに終始しており、31日正午時点で、1070万円周辺で推移している。
週明けのBTC円は1075万円で取引を開始すると、海外時間には欧州中央銀行(ECB)のレーン理事(フィンランド)による利下げを支持する発言を受けて相場は一時1100万円を回復した。
しかし、これによりドル建てのBTC相場が下降チャネルの上限にタッチし、その後は戻り売りが入り上げ幅を縮小。さらに翌28日には、マウントゴックスのアドレスから巨額のBTC送金が複数回確認されたことが嫌気され、相場は1060万円周辺まで下落した。
一方、マウントゴックスのBTC送金に関しては、カルプレス元CEOが「今年予定される配布の準備であり、(BTCを)すぐに売る訳ではない」と釈明したことで、相場は下げ止まり1060万円周辺で揉み合いに転じた。
今週はその後、米医療サービスのセムラー・サイエンティフィックが準備金として4000億ドル相当のBTCを購入したとの発表や、トランプ前米大統領が政府債務問題の解決手段としてビットコインの可能性に興味を示しているとの報道など、BTCにとってポジティブな材料があったが、31日の4月米個人消費支出(PCE)価格指数の発表を控え、底堅くも上値の重い展開が続いている。
ドル建てのBTC相場は、3月から続く下降チャネル(第2図)からのブレイクアウトを先週から2度試したが、いずれも失敗に終わっている。
ただ、相場は依然としてチャネル上限(7.05万ドル周辺)に近い水準で推移しており、今夜(31日)の4月米PCE価格指数の結果がブレイクアウトの成功を左右する材料となり得るだろう。
BTCドルが下降チャネルからのブレイクアウトに成功すれば、チャネル形成前と同等幅の相場上昇が見込まれ、6月前半中にも8万ドルを試す展開が視野に入る。一方、米PCE価格指数が上振れサプライズとなれば、BTCは短期間で6.5万ドルまで値を下げると見ている。
また、BTC相場が水準を下げることとなれば、ビットコインのマイナー動向にも注意したい。足元では、ビットコインのブロック生成時間が遅延気味となっており、ハッシュレートに対して採掘難易度(ディフィカルティ)が高いことが示唆されている。
実際、ビットコインのハッシュレートは30日移動平均が60日移動平均を下回っており、所謂ハッシュリボンのデッドクロスが出現している状態だ(第3〜4図)。
これらのデータはビットコインマイニングの収益性悪化やマイナーが採掘に苦戦していることを示唆し、この先継続的にBTC相場が下落し続ければ、マイナーによる売り圧力の増加や、最悪の場合はキャピチュレーション(投げ売り)が起きる可能性も浮上するだろう。
以上に鑑みて、31日の米PCE価格指数は、BTC相場の下降チャネルブレイクアウトのみならず、相場の中期的な方向感を左右する重要材料と言えるだろう。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回のレポート:31日にPCE価格指数発表を控え、BTC相場の上値は限定的か|bitbankアナリスト寄稿