イラン中銀、CBDCの実証実験をキシュ島で開始

デジタルリアルによるショッピング

イランの中央銀行は18日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)であるデジタルリアルの試験運用を7月から行うと発表した。イラン南部の観光地で自由貿易特区としても知られるキシュ島から開始される。

銀行ネットワークに加入している消費者や観光客は、紙幣や銀行カードを使うことなく、アプリで生成されたバーコードをスキャンするだけで、デジタルリアルのウォレットにより買い物をしたり、他のウォレットに送金したりすることが可能となる。

イラン中銀は、法定通貨リアルのCBDC版の設計を2021年から開始。その後、2022年初頭から試験の準備段階に入り、その成果を検証した後、2023年6月から限定的な試験段階に移行していた。

2024年7月からはメラト銀行とテジャラト銀行など銀行ネットワークと決済ネットワークの協力により、一般利用が可能な試験段階に入る格好だ。

国際決済銀行によると、86の中央銀行を対象とした2023年の調査で、中央銀行の94%がCBDCを検討していた。イランが今回発表したような消費者参加型の実証実験を、大規模に行っている国としては中国が知られる。

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CBDCとは

各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。「Central Bank Digital Currency」の略である。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。

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デジタルリアルの設計

イラン中銀は、デジタル経済の発展基盤を整備し、決済分野の成長ニーズに応えるためにCBDCプロジェクトを開始したと説明している。デジタルリアルはプログラム可能なお金の開発を容易にし、特に電子商取引とデジタル経済の分野で新しいビジネスモデルの形成を促進すると続けた。

デジタルリアルは中央銀行によって発行されるデジタル形式のリテール・マネーとして使用される。

購入者と販売者の間の資金移動の際に、銀行間決済を必要とせず、購入が完了するとすぐにその資金を販売者が利用できるようになることも特徴の一つだ。

まず、イラン国内の銀行ネットワークがデジタルリアルに基づく新しい決済手段を開発する。将来的には、他の決済システムや新しい金融技術に関わる他の主体も参加できるようになる見込みだ。

イラン中銀は、デジタルリアルの目標として、決済インフラの耐久性向上、決済手段の効率性向上、リスク管理など様々な事項を挙げている。

CBDCについては日本もデジタル円についての連絡会議を開催し、法整備などについても検討を進めている。デジタル円の将来的な発行の有無は決まっていない。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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