オンライン決済大手PayPal:従業員用ブロックチェーン基盤のインセンティブ・プラットフォーム設立
- Paypalがブロックチェーン利用:従業員のコミットメント向上へ
- オンライン決済サービス大手PayPalが従業員用ブロックチェーンベースのインセンティブ・プラットフォームを立ち上げたことを、ミレニアム世代向け金融情報ストリーミングを提供する米国のメディアcheddarが報じた。以前から同社CEOはブロックチェーンの可能性について言及していた。このブロックチェーン採用の動きは、PayPalのみならず、他社にも広がりを見せる。
Paypal:ブロックチェーン・プラットフォーム設立
オンライン決済サービス大手PayPalがブロックチェーンベースの従業員用インセンティブ・プラットフォームを立ち上げたことを、ミレニアム世代向けファイナンシャル情報ストリーミングを提供する米国のメディアCheddarが報じた。
イノベーション革新部門のディレクター、マイケル・トドスコ氏によると、インセンティブ・プラットフォームは同社のイノベーションラボに所属する開発者約25名が過去6カ月にわたり開発したもので、プラットフォーム上でのアクティビティーを通して、従業員がブロックチェーンについて学び、慣れ親しむ機会を提供する。
具体的にはPayPal社内だけで価値があるトークンを従業員間で取引出来るほか、100トークン以上貯めると副社長参加のポーカートーナメント、John Rainey CFOとのトレイルランニングやコーヒー、Dan Schulman CEOとの朝の武道を楽しめるなど、貴重な体験に交換できるという。
トークンには社内サイトからアクセスし、イノベーション関連のプログラムに参加したりアイデアを提供することでトークンをさらに収集可能だ。
そして、全ての取引は「パブリックDLT」に転記される。
ブロックチェーンに見る可能性
仮想通貨とは無縁に見えるPayPalかもしれないが、同社は2016年8月、仮想通貨トランザクションシステムの特許を出願している。
2018年3月に明らかになった際、広報担当者は「特許出願が必ずしも製品計画を意味するとは限らない」と述べ、当時既にインセンティブ・プラットフォームのコンセプトが出来上がっていたかどうかも定かではなかった。
しかしながらインセンティブ・プラットフォームの開発目的が、単純に従業員へのコミットメントを促進しブロックチェーン教育を施すことに焦点を置いたものではなく、将来的な製品計画を視野に入れた社内実験的要素を含む可能性も考えられるだろう。
ブルームバーグの報道によると、同社のCEO、Dan Schulman氏は以前、マンハッタンのニューヨーク経済クラブで、「仮想通貨の将来性には確信がないが、ブロックチェーン技術ははるかに明確な将来性がある」と語っていた。
ユーザーの需要の高まりにともない、一時はビットコイン決済導入の可能性も論じられていたものの、PayPalは一貫して堅固な立場を維持している模様だ。
それに関しては、仮想通貨の歴史が浅く、将来の予想がつかないという危惧のほか、価格変動による利益低下に対する懸念も強いものと推測される。
広がりつつあるブロックチェーン採用の動き
PayPal同様の動きは他の企業でもみられる。
早期段階からデジタル化やブロックチェーン技術に熱心に取り組んできたスペインの大手金融機関BBVAは、「BBVA Campus Wallet」を国内およびアルゼンチンの従業員4000人に提供している。
こちらは従業員が1時間のトレーニングを受けるか、あるいは他の従業員にトレーニングを施すことで収集可能なトークンだという。
日本企業でも
日本では日本海運最大手、日本郵船が11月、自社の乗組員(クルーメンバー)向けの『デジタル・キャッシュ』導入を発表。米ドルを基軸法定通貨とし、海上で過ごす時間が長い乗組員によるお金の管理や送金、法定通貨への両替を容易にする試みだ。
これらの社内実験が厳密に「ブロックチェーン・仮想通貨」に該当するか否か、現時点では明らかではないものの、従業員にトークンやデジタル・キャッシュを発行するというコンセプトから、時代の潮流が感じ取れるだろう。
特に日本郵船は将来的に自社のキャッシュレス・システムを商業化することも視野に入れていることから、今後一般企業や機関、施設におけるトークンあるいはデジタル・キャッシュの普及が浸透していく可能性も予想される。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します