ダボス会議:仮想通貨・ビットコイン、フィンテックに関する重要発言まとめ|世界経済フォーラム年次総会

ダボス会議での重要発言
今月22日から25日の間、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)がスイスのダボスで開催された。同カンファレンスにおける、仮想通貨、フィンテック関係の重要発言をまとめた。

ダボス会議での重要発言

今月22日から25日の間、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)がスイスのダボスで開催された。

このカンファレンスでは、既存の金融システムに関するものが主題だったが、仮想通貨やブロックチェーン、フィンテックなどについても度々言及されている。

本記事では、このダボス会議で言及された仮想通貨・ビットコイン、フィンテックに関する重要発言をまとめている。

ハーバード大教授「規制するには規模が小さすぎる」

23日に「持続可能な仮想通貨アーキテクチャの構築」と題した、仮想通貨に関するパネルディスカッションが行われた

モデレータは、ファイナンシャル・タイムズ編集長のGillian Tett氏、出演者は、ハーバード大学経済学教授のKenneth Rogoff氏、仮想通貨関連サービスを提供するCircle社のCEOであるJeremy Allaire氏、アフリカを拠点に、仮想通貨技術をベースとして国際決済サービスを提供するBitPesaの設立者Elizabeth Rossiello氏などとなっている。

そのディスカッションの中で、ハーバード大学教授のRogoff氏は、仮想通貨の規制が十分でないことを指摘。その原因の一つは、取引量の少なさにあるとし、以下のように述べた。

現状、まだ規制は整っていない。

資本規制が実施されていないという課題があるが、市場規模が小さい限り、政府が本格的に規制に乗り出すことはない

取引量が大きくなれば、政府も無視できない存在になるだろう。

また、モデレータのTett氏は、「既存の金融の歴史と比較した場合、仮想通貨は既存の金融システムを一新するものか、それとも、ただのバブルなのか。」とRogoff氏へ問いかけた。

Rogoff氏は、「仮想通貨がドルやポンドのような法定通貨に取って代わる可能性は基本的にはゼロだ。」と述べ、その理由として、匿名性を持って取引を行えるなどの特徴を備えた仮想通貨ではあるものの、現状では法定通貨を上回るような価値は付随されていないことだとした。

ただ、ベネズエラのようにインフレが起きている国など一定の地域に限定すれば、仮想通貨は大変魅力的なものだろうとも語っている。

さらに同氏は、ビットコインの将来についても言及した。

今から10年後には、ビットコインの価値は激減しているだろう。

今後予想される、規制の強化や、税制当局からの仮想通貨市場に存在する「大金を保有する投資家」への関心の高まりなどが影響し、(ビットコインの価格は)100ドルぐらいになるのではないかと思う。

そして、分散化されている仮想通貨に潜在するリスクについても語った。

ビットコインのような仮想通貨システムをダウンさせるために、数十億ドルもの大金をつぎ込む者が現れれば、どうなるのだろうか。そのための方法は存在する。

分散化されている中で、誰に助けを求めるのか。

同氏の仮想通貨に対する評価は、かなり厳しいようだ。

BitPesa創立者:仮想通貨市場の環境変化に言及

BitPesa社は、アフリカに拠点を置き、ビットコインを利用した国際決済サービスを提供している。

同社の創業者Rossiello氏は、2013年に同社が仮想通貨市場に参入したときに比べて、現在は規制が格段に厳しくなっている。これが原因の一つとなり、まだ確固たる仮想通貨のユースケースを示すアプリや企業が出てきていないのではないかと指摘した。

またRogoff氏は、仮想通貨が法定通貨に取って代わる可能性はゼロだとしたが、一方で、Rossiello氏は、仮想通貨が法定通貨と競う必要はないとして、以下のように発言した。

我々は、アフリカの通貨を、仮想通貨に置き換えようとは考えていない。

(仮想通貨を利用することで)アフリカの通貨をもっと簡単に、送金できるようにしたいのだ。

CircleのCEO「仮想通貨はWEBよりも変革をもたらす」

また、仮想通貨に関連する企業Circleからはポジティブな発言がみられた。同社のCEOであるJeremy Allaire氏は、仮想通貨は国際金融システムを根本から変える可能性を秘めていると主張し、今後、ブロックチェーンと非中央集権の二つがキーワードとなるだろうと言及。

現在、多くの人が仮想通貨の非中央集権性に抵抗感を示す中、同氏は、初期のインターネットやWeb技術になぞらえながら、中央銀行による規制のもとで、個々人が仮想通貨を管理するという、中道を歩むことが大切だろう説明した。

IMFやUBSの代表ら「中央銀行に寄りかかるべきではない」

24日に行われたパネルディスカッションにおいて、International Monetary Fund(IMF)の取締役Christine Lagarde氏や、スイスの最大手銀行UBSのCEOを務めるSergio Ermotti氏が参加した。

スイス銀行UBSのCEO、Ermotti氏は、中央銀行は他の銀行に比べ柔軟性に欠けると述べた後、「次なる経済危機に陥らないよう、我々は中央銀行に寄りかかるべきではない。」との見解を示した。

それに続き、IMFのLagarde氏は、

次なる危機的状況を避けられるような、中央政府に寄りかからない経済が築き上げられれば、大変素晴らしい。

と述べ、Ermotti氏の意見に賛同した。

またErmotti氏は、産業のオートメーション化により、失業率が増加することを危惧しており、「市民に利益が渡るようなシステムへと変えるべきだ。」とも話している。

このように、両者共に、現行の金融システムに何らかのメスを入れなければならないとの考えを抱いているようだ。

ダボスで開かれたカンファレンスでの注目発言は?

また、世界経済フォーラム年次総会にあたるダボス会議で集まったメンバーを中心に、仮想通貨やブロックチェーン関連のカンファレンスも相次いで開催された。その中でみられた注目発言も合わせて掲載する。

リップルCEOらがBTC、XRPの将来に言及

ダボスにて23日開催されたCNBC主催のパネルディスカッションにて、米リップル社CEOのBrad Garlinghouse氏やBCGデジタル・ベンチャーズの設立者Jeff Schumacher氏らが、今後の仮想通貨、ブロックチェーン業界について語る場面が見られた。

ディスカッションの中でGarlinghouse氏は、BTCはスケーラビリティ問題やPoWのモデルに限界が見えているが、これら問題に取り組む開発者も多くいるため、今後改善され、普及する可能性はあるとした上で、決済機能に焦点を当てた場合、BTCではなくXRPに軍配があがる点を強調、XRPの普及により、現在の金融システムを根本的に変える可能性があるとの発言をおこなった。

また、ブロックチェーンや仮想通貨の普及の鍵として、「ユースケースや利用例を世間に早く示す事」の必要性を強調。世界各国の政府による規制整備や透明化を図る動きは、業界全体の成熟化へつながるとした。

なお、より詳しい内容は以下の記事よりご確認ください。

昨日ダボスにて行われたCNBC主催のパネルディスカッションで、リップルのCEOやBCGデジタル・ベンチャーズの設立者らが、参加し、BTC、XRPの今後や、いつブロックチェーン技術が普及するかなど、様々な議論が行われた。

XRPの非中央集権性

また、ダボス会議中に行われていた「The Ethereal Lounge」では、リップル社のCEO、Brad Garlinghouse氏、ハイパーレジャー代表のBrian Behlendorf氏、イーサリアム共同設立者Joseph Lubin氏が登壇した。

議論は、XRPの非中央集権性について発展した。

「リップルがトークンを大量保有しているため、XRPは中央集権なのでないか。」との問いかけに対して、Garlinghouse氏は、XRPのコンセンサス・アルゴリズムにPoSを採用していないため、その指摘は適切でないと発言した。

本日の速報をチェック
CoinPostのLINE@

スマートフォンへの「プッシュ通知」で、相場に影響を及ぼす重要ニュースをいち早く知らせてくれる「LINE@」の登録はこちら。大好評につき、登録者11,000名突破。

CoinPostの関連記事

(https://coinpost.jp/?p=66112&from=in_article
スイスの「ダボス会議(年次総会)」に関連するブロックチェーン経済フォーラムにて、リップル社CEOとポーランド金融大手ペカオ銀行の代表が「2020年の決済システム」について議論する予定。
規制

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

コメントしてBTCを貰おう 新着ニュースをチェック

速報

新着記事

人気記事ランキング