ビットコインFX最大手BitMEX、「推定取引量100兆円」の巨大需要を支える仮想通貨保険基金とは
- 「BitMEX」を支える保険基金
- 仮想通貨ビットコインFX世界最大手の「BitMEX」で導入されている保険基金は、わずか1年で7.7倍の規模に急拡大した。取引における「大きな失敗」が金融システムを脅かさないよう、幾重に保証された環境を作り出しているという。
「BitMEX」を支える保険基金
最大100倍の高レバレッジ取引を提供する仮想通貨デリバティブ取引所「BitMex(ビットメックス)」の保険基金が、今年に入ってから、ビットコイン発行総量の0.1%にあたる21,000BTC(執筆時のレートで約84億円)を上回り、注目を集めている。
”仮想通貨の冬”と呼ばれるような厳しい相場が続く中、2018年初頭に2,700BTCだった基金は、今年1月11日に21,000BTCを超え、1年間で7.7倍の規模に拡大した。
そんな中、同社の保険基金の意義や運営方法を疑問視する声も上がっていたが、2月11日、BitMexは自社ブログで、ボラティリティ(価格変動性)が高く、価格予想が困難な仮想通貨デリバティブ取引における保険基金の必要性とその仕組みについて説明を行った。
世界最大級のシカゴマーカンタイル取引所(CME)など、伝統的なデリバティブ市場は、投資銀行やブローカー、決済機関に至るまで、それぞれが様々な保険基金や保険商品を保有し、取引における「大きな失敗」が金融システムを脅かさないよう、幾重にも保証された環境を作り出していると、BitMexは説明する。
そして、そこでは取引における「勝者」は、大きな利益を享受することができる。
独自の保険基金システム
しかし、仮想通貨デリバティブ取引の場合、取引の勝者は、伝統的市場よりもより大きなリスクに晒されている上、同取引所が導入している「ゼロカットシステム」などの顧客保護もあり、利益を支払うための十分な資金が不足することも考えられるため、独自の保険基金システムを開発したとBitMEXは述べている。
BitMexでは追証がなく、ロスカットされた場合にも不足金の請求が行われないゼロカットシステムを採用している。同取引所における証拠金・清算プロセスは、トレーダーの証拠金残高がゼロ未満になるのを確実に回避するように設計されており、トレーダーが破産する可能性はないと言う。
BitMexの公式サイトによると、価格が急変した場合など、トレーダーの未払いの清算注文が、自動レバレッジ解消システムに引き継がれる前に、保険基金がこれらの清算注文を取りまとめ、トレーダーの取引ポジションのレバレッジが自動的に解消されることを防ぐための保険金が使用される。
そして、BitMEXが破産価格より有利な価格でポジションを清算できる場合、その追加資金は保険基金に加算されることになる。
つまり、特定ポジションの清算価格と、決済価格とのスリッページにより発生した差益分が、保険基金に積み立てられ、この保険基金からロスカット時の不足金が賄われる仕組みとなっている。
市場の不安定ゆえの重要性
BitMEXの保険基金は現在、約21,000 BTC(=約7000万ドル)に上り、これはBitMEXの想定年間取引量「約1兆ドル(100兆円)」の0.007%に相当すると言う。
BitMEXは、この割合はCMEの保険基金よりわずかに高いものの、想定されるリスクは、仮想通貨デリバティブの方が大きいと主張、市場の不確実性を考慮すると、保険基金の金額は妥当なものだとしている。
また2017年3月、Winklevoss兄弟のビットコインETFがSECに却下されたことで、仮想通貨市場全体の時価総額が、5分で30%下落した際、Bitcoin永久スワップ契約で自動レバレッジ解消が行われ、保険基金をほぼ使い果たす事態に陥った例をあげた。
現在比較的流動性の高い中で、積み上げられ成長した保険基金をしても、再び同じように自動レバレッジ解消が行われないとの保証はないと、市場の不安定ゆえの、保険基金の重要性を強調した。
また、BitMexは、ロスカットを行ったトレーダーの口座がマイナスにはならないと言う。
保証を与えた上で、ポジションが清算される側の支払いが、成功したトレーダーの利益につながるという同社のシステムが、公平であり、取引のインセンティブになるとが主張している。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します