ビットコインキャッシュ価格が高騰後に急下落した理由と今後の展望
- ビットコインSegWit2xハードフォーク無期限延期を皮切りに、ビットコインキャッシュ価格が大幅に上昇
- 11月9日まで66,000円辺りを推移していたBCHが、約2日で268,500円近くまで価格を伸ばし、過去最高値を更新しました。しかしその後、価格を大きく下落させています。
- 11月14日に予定されているビットコインキャッシュのハードフォークについて
- ビットコインキャッシュのコミュニティ内において意見の相違・対立は殆どなく、分岐による新コイン発生の可能性はかなり低いです。しかし、現状ではトランザクションが詰まっていることが問題です。
- 目次
ビットコインキャッシュが、ビットコインSegWit2xハードフォーク無期限延期を皮切りに、価格を大幅に上昇させました。
このグラフを見ていただければ、その上昇の勢いが大きかったことが一目でわかります。
11月9日まで、66,000円辺りで価格を保っていたBCHですが、約2日で268,500円近くまで価格を伸ばし、過去最高値を更新しました。
この伸び率は約4倍に値します。
なぜこれほどまでに価格を伸ばしたのか?
このBCH価格上昇の動きはBTCハードフォークによるコミュニティや通貨分裂が不安視された時から予想されていた動きになり、ハードフォークが延期され、ビットコインで問題視されるスケーラビリティと手数料の改善が先伸ばされたことで、現実なものとなりました。
なぜビットコインスケーラビリティ問題が価格に関係するかは、ビットコインとビットコインキャッシュをマイニングするマイナーのハッシュレートに起因しています。
SegWit2xハードフォークでは、大きく分けて二つの派閥で構成され、この派閥間争いが激化したことで、分裂が不安視され延期となりました。(2つの派閥は以下の通りです。)
- 1、開発者、ノード・オペレーターなど、もともとのビットコインを残すことを主張する派閥
- 理由として、ビットコインは送金ではなく価値の保存が第一であり、分裂のリスクやマイナーの集権化により、非集権化を実現できないのではないかという懸念(状況に応じてビットコインのアップデートをし、送金面でも補うことを示唆はしています。)
- 2、マイナーやスタートアップ企業など、ビッグブロックを求める派閥
- 理由として、ビットコインは米ドルやその他の法定通貨と競い合うべきで、よって、その用途の優先度は取引や通貨としての価値にあるとし、価値の保存だけでなく、通貨としての利便性を主張しています。
SegWit2xハードフォークが延期となり、ビットコインのアップデートや根本的な通貨の利便性が先延ばしになったことを問題として、これら多くのビッグブロック派閥の大手マイナーが、ビットコインキャッシュに流れました。
ビットコインキャッシュとビットコインの性能差は歴然であり、ビットコインキャッシュは既存の通貨性能に加え、さらに通貨価値を高める研究やアップデートを行なっています。
これにより一時的にビットコインキャッシュはハッシュレートがBTCを大幅に上回り、BTCをさらなる境地に追い込みました。
今までBTCはスケーラビリティが問題視されていましたが、BTCとBCHは同じアルゴリズムを採用しているため、BTCとBCHをスウィッチしてマイニングをしている大手業者が多く存在します。
BCHに追い風が吹き、きっかけとなるビッグブロック派に続きBCHに流れたことで、BTCのマイナー不足によるトランザクションの詰まりやセキュリティの低下、また手数料の更なる増加に繋がりました。
なぜ価格を高騰させた後大きく下落したのか?
下落した理由として、急激に価格を伸ばしたことによる高値購入者が下落と共に利確や売りに走る連鎖が続いたことで、大きな下落につながったとも考えられますが、根本的に下落を引き起こした原因とされるものは他にあります。
価格上昇時、世界のビットコインキャッシュ取引量の大きなシェアを有していた取引所があります。 これはビットコインキャッシュの価格上昇や下落に以前から大きな影響を与え続ける韓国の取引所Bithumbです。
Bithumbは韓国で一番大きな取引量を誇り、ビットコインではなくアルトコイン取引で世界の取引量を牽引しています。
このBithumbが、ビットコインキャッシュ取引量の大多数を有した状態で、トランザクション過多により取引プラットフォームが停止、その後暴落を引き起こしました。
このBCH取引量グラフを見ていただくと、12日に差し掛かる手前で一気に取引量が減った窪みがあることが確認できます。
このように比較してみると、価格上昇と下落の境になるタイミングで、取引量が減っています。
このタイミングが、Bithumbの取引停止時期に該当します。
この現象は以前リップルが大幅に高騰した結果、当時取引量で主要取引所であったPoloniexの停止と同じです。
当時リップルの高騰は取引所停止を皮切りに暴落へと反転し、数日間価格変動に調整が入り、アルトコインバブルに伴い再度大幅に上昇しました。
BitcoinCashのハードフォークはどのように影響を及ぼすのか?
ビットコインキャッシュのハードフォークの詳細はこちらでも掲載しています。
ハードフォークの日程は、2017年11月14日AM4:00頃を予定しています。
目的:『Difficulty Adjustment Algorithms:DAA(採掘難易度調整アルゴリズム)』
通貨分裂はあるか: ビットコインキャッシュのコミュニティ内において意見の相違・対立は殆どなく、分岐による新コイン発生の可能性はかなり低いです。
この記事で書かれている、2番目の「ブロックチェーン更新に伴う内容の対立が起きない、アップグレードのためのハードフォーク」に該当します。
BitcoinCashは、マイニングディフィカルティ調整を行うDAAを搭載していますが、今までしっかりと機能していなかったため、修正を行うことを目的としています。
ビットコインキャッシュコミュニティは、このアップデートに対する意見の対立を起こしていないため、スムーズにハードフォークが行われることでしょう。
ハードフォークに関する価格への懸念点はないでしょう。
※11月14日追記
ビットコインキャッシュハードフォークは無事終了した模様です。詳しくはこちら↓
ではなぜ価格を取り戻さないのか?
現在ビットコインは、マイナーがBCHに移行したことも伴い、全体で13万件もの取引が停止しているという報告があります。
スケーラビリティ問題というより、ここまでの詰まりを起こすと通貨として機能していない状況に陥っています。
ここでトランザクションの詰まりが確認できます。
この問題もあり、通貨機能の高いBCHに関心の目が向けられましたが、ビットコインキャッシュも取引量増加やトランザクション増加により、トランザクションが詰まりスケーラビリティ問題を引き起こしています。
一時的にビットコインの代わりとなる通貨としてビットコインキャッシュが真のビットコインになるとまで宣言されていましたが、トランザクション増加に対応できていない模様です。
結局ビットコインの問題解決とまではいきませんが、代わりとなる通貨として利用する目的の方を失望させてしまった可能性もあるでしょう。
またハードフォークに伴う取引所の入出金停止も、通貨の流動性や価格へ影響を及ぼしていると考えます。
スケーラビリティの解決策は?
SegWit2xが延期され、また引き伸ばされたビットコインのスケーラビリティ問題を解決する糸口として注目されるのが、ライトニングネットワークプロジェクトです。
ライトニング・ネットワークは、スケールフリーで、手数料を極力減少させることのできる解決方法で、ビットコインのスケーラビリティ問題を解決する可能性を秘めています。
ライトニング・ネットワークは、スマート・コントラクトをビットコイン上に組み込み、個人とその個人がやり取りする全ての人との間にプライベートなペイメントチャネルを構成します。
各個人は、プライベートなペイメントチャネルの他にも、ビットコイン・ブロックチェーンとのチャネルも構成する必要があります。
さらに、各個人は、プライベートチャネル上で取引を行い、最終的な取引の結果だけが、ブロックチェーン上に取引として送られます。
これを行うことで、マイナーたちは現在の取引量よりも遥かに少ない取引量の承認で済むのです。
理論的には、ライトニング・ネットワークは個人間のやり取りをより効率的、スケールフリー、そして、低コストにすることができます。
このソフトウェアは、現在ライトコイン・ネットワーク上で試用されています。
現状この策しか残されていないとされ、ビットコインの将来を左右する解決策としてとても重要な役割を担う可能性が高いと考えています。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します