Apple(アップル)やTesla(テスラ)といった米国株を、ブロックチェーン上でステーブルコインを使って24時間取引できる──そんな「トークンで株式にアクセスする」新しい投資の形が、Web3領域のグローバルなトレンドになりつつあります。
2025年6月にスイスのBacked Finance社がローンチした「xStocks(エックスストックス)」は、60以上の米国株・ETFを1株=1トークンとして提供するトークン化株式プロダクトです。既存の証券口座を持たなくてもウォレットさえあれば株価への連動投資ができる反面、法的位置づけの複雑さや、実株確保の限界を示す事例も発生しています。
本記事では、xStocksの仕組み・特徴・活用方法を解説するとともに、SPCXトラブルが示した課題と、日本居住者が把握しておくべき注意点を客観的にまとめます。
この記事のポイント(2026年6月時点)
- xStocksとは:Apple・Tesla・NVIDIA等60以上の米国株をトークン化。スイスDLT法準拠の電子証券として発行
- 仕組み:実株を1対1で裏付け・Chainlink PoRで透明性確保。議決権・配当権は付与されない
- 取引場所:Bybit(CEX)・Jupiter/Raydium等ソラナDEX・PancakeSwap(BNBチェーン)
- SPCXトラブル:SpaceX株の実株確保ができずBitget/Bybitが全額返金。トークン化IPOの限界を露呈
- 日本の注意点:金融商品取引法上の「電子記録移転権利」該当可能性・Bybitは国内無登録業者・税務は要専門家確認
- 目次
1. xStocksとは?概要と仕組み
xStocksは、スイスのBacked Finance社が2025年6月にローンチしたトークン化株式プロダクトです。Apple(AAPLx)・Tesla(TSLAx)・NVIDIA・マクドナルドなど60以上の米国株・ETFを、1株=1トークンとしてブロックチェーン上に再現しています。
1-1. 裏付け資産の仕組み
トークンの信頼性を担保するために、以下の仕組みが採用されています。
| 株式取得 | 米証券会社 Alpaca Securities が実際の株式を購入 |
|---|---|
| 保管 | スイスの信託機関(InCore Bank・Maerki Baumann等)がカストディアルで保管 |
| 透明性 | Chainlink Proof of Reserveで発行済みトークン数と実株保有数をオンチェーン公開 |
| 法的根拠 | スイスDLT法(2021年施行)に基づく「電子記録移転権利(Ledger-based securities)」として発行 |
| 取引可能時間 | 24時間365日(Krakenは週末取引不可) |
| 対応チェーン | Solana(sToken形式)・Ethereum(ERC-20 / bToken)・BNB Chain(BEP-20) |
1-2. 対応する取引所
- CEX:Bybit(バイビット)、Kraken(クラーケン:日本居住者向け未対応)ほか
- ソラナDEX:Jupiter・Raydium・Kamino Finance
- BNBチェーンDEX:PancakeSwap(2025年7月より対応)
2. 実際の株式との違い
xStocksは株価に連動するトークンですが、従来の株式とは法的・権利的に大きく異なります。
| xStocks(トークン) | 従来の株式 | |
|---|---|---|
| 法的枠組み | スイスDLT法に基づく電子証券/デジタル資産 | 各国証券法に基づく有価証券 |
| 議決権 | なし | あり(普通株の場合) |
| 配当権 | なし | あり(配当実施時) |
| 取引時間 | 24時間365日 | 各国市場の営業時間内 |
| 必要なもの | ウォレット・ステーブルコイン | 証券口座・法定通貨 |
| 米国規制 | SEC未承認・米国居住者は対象外 | SEC登録済み |
3. xStocksのメリット・注意点
メリット
注意点
4. SPCXトラブルが示した課題
2025年、xStocks経由で提供されたSpaceX関連トークン「SPCX」において、Backed Finance側が原資産となるSpaceX株を十分に確保できなかった問題が発生しました。その結果:
- Bitget Wallet・Bybit:割当ゼロで全額返金
- Binance Wallet:キャンペーン続行不可
- Kraken:想定より少ない割当で一部配布に留まる
4-1. なぜこの問題が起きたのか
SpaceXは非上場企業のため、株式の取得は通常の市場での売買ではなく、既存株主からのセカンダリー取引に限られます。xStocksのモデルは「トークン発行と同時に実株を1対1で取得する」ことを前提としているため、オンチェーンで数億ドル規模の需要を集めても、オフチェーン側で実株の割当が確保できなければ配布できないという構造的な制約が露呈しました。
4-2. この事例が示す教訓
今回のSPCXは、トークン化株式・トークン化IPOという概念の可能性を示すと同時に、この領域における最初の大規模なストレステストになった事例として業界で広く認識されています。
5. 日本居住者向けの注意点
5-1. 金融商品取引法上の位置づけ
日本では2020年の金融商品取引法改正により、ブロックチェーン上でトークン化された有価証券は「電子記録移転有価証券表示権利等」または「電子記録移転権利」として規制対象となっています。xStocksが同規定に該当する場合、無登録業者経由での取引は違法取引の幇助につながる可能性があります。
5-2. 利用可能な取引所の問題
xStocksを取り扱う主要CEXのうち、Bybitは2021年5月に日本の金融庁から「無登録で暗号資産交換業を行っている」として警告を受けており、現在も国内未登録の状態が続いています。Krakenは日本居住者向けのサービスを提供していません。
DEX(Jupiter・Raydiumなど)については登録義務が明確に適用されないケースも考えられますが、取得したトークンの法的性質は変わりません。
5-3. 税務上の取扱い
現時点では、xStocksの売買益は暗号資産取引として「雑所得」(最大約55%の総合課税)の対象となる可能性があります。2026年度内を目処に分離課税(20.315%)への移行が議論されていますが、制度確定前の段階です。税務の取扱いは必ず税務専門家にご相談ください。
6. DEX(ソラナチェーン)での取引方法
ソラナ上のsTokenをPhantomウォレットとJupiterを使って取得する基本的な流れを紹介します。なお、本手順はDEX利用の概要説明であり、投資を勧誘するものではありません。
Phantomウォレットを用意する
Phantom公式サイトからブラウザ拡張またはスマホアプリをインストール。シークレットリカバリーフレーズは必ず手書きで保管してください。デジタル保存・写真撮影は厳禁です。
国内取引所でSOL(またはUSDC)を購入してウォレットへ送金する
SBI VCトレードなどの国内登録取引所でSOLを購入し、PhantomウォレットのSOLアドレス宛に送金します。送金手数料はガス代として少量のSOLが必要です。
PhantomのSwap機能でxStocksトークンに交換する
Phantomの「Swap」から「You Receive」のトークン検索欄に「xstock」と入力するか、CoinGecko等で確認したコントラクトアドレスを貼り付けて銘柄を選択。数量を入力し、スリッページとレートを確認してから「Swap Now」をタップします。
SOL購入・DeFi関連ガイド
7. よくある質問(FAQ)
8. まとめ
xStocksは、従来の証券インフラを必要とせずに米国株価への連動投資を可能にする革新的なプロダクトです。主なポイントを整理します。
- 仕組み:スイスDLT法準拠の電子証券。実株1対1裏付け・Chainlink PoRで透明性確保
- 利点:24時間取引・証券口座不要・DeFiとの統合・マルチチェーン対応
- 限界:議決権・配当権なし。非上場株ではSPCXのように実株確保が困難になるケースがある
- 日本の注意点:金商法上の電子記録移転権利該当可能性・主要CEXの規制問題・税務は要専門家確認
- 今後の展望:トークン化株式・トークン化IPOは成長分野だが、規制環境・実株供給面での課題が今後も焦点となる
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