トランプ氏が語るミームコインの役割と7月の注目イベント

アメリカのドナルド・トランプ大統領が自ら関わるミームコイン「Official Trump（TRUMP）」について「自分の政治的勢いの指標になり得る」と発言したことが話題を呼んでいる。彼は自身のSNS「Truth Social」で保守系メディアの記事を引用しながら、自らの名前を冠したこのコインの価格動向が支持層の熱量や世論の変化を可視化する材料になると主張。

こうした政治と金融を結びつける発言はこれまでに例が少なく、特に暗号資産 おすすめ記事でも頻繁に登場するミームコインという分野が持つ文化的インパクトを活かそうとする姿勢が注目されている。

歴史的高値からの急落が示す市場の警戒感

TRUMPコインは2025年1月に最高値73ドルを記録したものの6月時点では10ドル前後にまで下落しており、ピーク時から85%以上の価格低下となっている。これは単なる調整ではなく、明確な売り圧力と需要不足を反映した動きだ。

もしこの価格が政治的人気のバロメーターとなるならば、現在のトレンドはトランプ支持者の勢いがやや鈍化していることを示唆するかもしれない。こうした値動きは、ミームコイン特有のボラティリティの大きさを改めて浮き彫りにしている。

520万ドル相当のトークンが7月にアンロック予定

このミームコインが再び大きな注目を集めているのは、2025年7月18日に予定されている大量トークンのロック解除が背景にある。具体的には約5000万枚、評価額にして520万ドル相当のTRUMPトークンが市場に放出される見込みだ。

Tokenomistのデータによれば現在流通しているのは総供給量の26.48％に過ぎず、残りの73.52％はまだロックされたままである。つまり、今後さらに大量のトークンが市場に流れ込む可能性があるというわけだ。

このような大規模なアンロックは、需要が追いつかない場合に価格を一層押し下げるリスクを伴う。既に下落基調にある中での新たな供給増加は短期的なトレーダーにとってはチャンスである一方、長期保有者にとっては不安材料となるだろう。

エリック・トランプ関連企業が支援を表明も、市場は静観

7月のアンロックを前に、エリック・トランプ氏が関わる暗号資産企業「World Liberty Financial（WLF）」がTRUMPコインを大量に買い取ると発表した。これは需給バランスの崩壊を防ぐための対策と見られているが、市場の反応は予想以上に冷淡だった。

買い支え発表後も価格にはほとんど変化が見られず、投資家心理に大きなインパクトを与えることはできなかった模様。

専門家の中には「このようなニュースで価格が反発しないこと自体が投資家の懐疑的な見方を浮き彫りにしている」とする声もあり、ミームコインとしての勢いに陰りが見え始めていると評価する意見が増えている。

規制・倫理面での懸念も根強い

TRUMPトークンはSolanaチェーン上に展開されていて、関連企業にはCIC Digital LLCやFight Fight Fight LLCといったトランプ氏陣営と直接関わる法人が名を連ねている。発行時には供給の大半がトランプ側に集中していて、これが公平性や利益相反といった倫理面での懸念を呼んでいる。

政治家が公に暗号資産を発行・利用すること自体が極めて珍しい中、このケースが今後の前例となるのか、それとも例外的な事案にとどまるのか、注目が集まる。

投資対象として見るか、政治運動の延長と見るか

TRUMPトークンは単なるミームコインではなく、政治活動と資金調達、さらには世論操作の手段としての新しい顔を持ち始めている。投資家にとって重要なのは、これを「投機の対象」として扱うのか「政治的シグナル」として捉えるのか、その視点を明確にすることだ。

7月のアンロックは、その方向性を占う試金石となるだろう。価格がどのように反応するかによって、このミームコインの真価が明らかになる。