WebX完全ガイド
TOP 新着一覧 取引所 WebX
CoinPostで今最も読まれています

ヴィタリック氏「慌てて資金を移すのは勧めない」 AIの暗号解読リスクで

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • AI数学で格子暗号の安全性が損なわれる可能性を指摘
  • リーン・イーサリアム構想は格子を使わずハッシュ型署名に
  • 未使用アドレスでの保管を推奨、移行ミスに注意

AI数学で格子暗号に新たなリスク

イーサリアム(ETH)共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏は8日、X(旧ツイッター)への投稿で、AIによる数学研究の加速が暗号技術の安全性を脅かす可能性に言及した。量子コンピュータへの耐性を持つとされる格子暗号についても、向こう2年間のAI数学によって実効的な安全性が大きく損なわれる可能性は十分にあるという。

同氏は、現時点で新しいウォレットへ慌てて資金を移すことは勧めないとした。そのうえで、量子コンピュータに脆弱な暗号だけでなく、AIに脆弱となりうる暗号への露出も最小化すべきだと主張している。業界ではこれまで、楕円曲線は破られてもハッシュと格子は安全だとする見方が主流だった。同氏が挙げた新たなリスク領域は「ML-DSA、FHE、格子」だ。

格子暗号は、多次元の格子上で最短ベクトルを探す問題などの計算の難しさを安全性の根拠とする暗号方式。量子コンピュータでも効率的に解けないと考えられており、米国立標準技術研究所(NIST)が標準化した署名方式ML-DSAも格子暗号に基づく。FHE(完全準同型暗号)は、データを暗号化したまま計算できる技術を指す。

関連記事:「ヘゴタ」が最後の通常フォークか、ヴィタリック氏が描く2030年のイーサリアム像

ヴィタリック・ブテリン氏はブログで、イーサリアムは2030年に向け、従来の「ブロックチェーン」という枠には収まらない「暗号学的ワールドコンピュータ」へ進化するとの見方を示した。

素因数分解の前例と鍵サイズ10倍論

ブテリン氏が示した脅威モデルは、RSA暗号の歴史に基づく。素因数分解に必要な計算量は、数十年にわたる研究で数体ふるい法が見いだされ、改良されたことで大幅に引き下げられた。RSAの鍵や署名が64バイトではなく約400バイト必要なのはこのためだ。楕円曲線や格子にも人間がまだ発見できていない同様の弱点が潜んでいて、AIが近いうちに見つけるかもしれないと問題提起した。

署名や証明はハッシュ関数だけで構成できる。課題は公開鍵暗号で、ハッシュのみでは実現できないことを示す数学的定理が以前から存在するという。群論(同種写像を含む)や格子、符号ベースなど何らかの「構造」を持つ仕組みが必要になり、構造がある以上はAIによる解読の進展を想定すべきだとした。長期的な安全性を求めるなら「鍵サイズを10倍に」するのが妥当な推論の1つだと述べている。

AIが2年で50年分の数学をもたらすなら、そこに格子暗号の解読を素因数分解における数体ふるい法並みに改善する成果が含まれてもおかしくない、と同氏は指摘する。鍵サイズが大きくなった格子暗号に対しては、ハッシュ型が使える用途であれば効率面ですべて上回るという。ハッシュ関数も理論上は破られうる(P=NPであればそうなる)が、P=NPの可能性は非常に低いとして、現時点でバイト長を増やす必要はないとした。懸念が強まった場合も、まずラウンド数を増やすとしている。

関連記事:イーサリアム新構想、L1とL2のアトミック取引をメインネットで初実行

イーサリアム・エコノミック・ゾーンの貢献者が5日、レイヤー1のイーサリアムからレイヤー2への不可分な取引を初めて実行したと明らかにした。取引額は0.001ETHで、実装は初期段階にある。

リーン・イーサリアムはハッシュ型に

同氏によれば、こうした懸念は、イーサリアムの「リーン」ロードマップが過去1年にわたりハッシュのみの方向へ進んできた大きな理由でもある。格子やML-DSA、Falconは採用しない方針で、ZK証明内での格子ベースのコミットメントも使わない。リーン・イーサリアムの署名はすべて、ハッシュ型のWOTSかSPHINCS-のいずれかだという。

ウォレット・マルチシグへの助言

個人的な見解として示した推奨事項では、格子系を使う場合はパラメータの大きさにより慎重になるべきだとした。これはブロックチェーンに限らず、ウェブサイトへのアクセスやメッセージアプリ、Tor・VPNにも当てはまるという。プライバシープロトコルについては、暗号化したノートをオンチェーンに置かず、第三者の仕組みを通じてオフチェーンで送ることを強く勧めた。

資産の保管では、送金にまだ使っていないアドレスに資金を置くことを、手間がかからなければ勧めている。こうしたアドレスは公開鍵がチェーン上に露出しておらず、楕円曲線署名(ECDSA)が想定より早く破られた場合のリスクを抑えられる。一方で「移行には注意を」と呼びかけた。同氏自身、これまでのハッキング被害の合計よりも、移行作業の失敗で失った資金の方が多いと明かしている。

マルチシグウォレットについては、承認をオンチェーンではなくオフチェーンで行う方が望ましいとした。署名者の署名が公開されないため、ECDSAがAIで想定より早く破られても、マルチシグは署名を取りまとめる1人だけが資金を動かせる「1-of-1」の状態に劣化するにとどまる。同氏はこれを、誰でも資金を奪える状態よりはるかに良い状態だと説明した。

Google Newsでフォロー
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
10/08 木曜日
10:49
サムスン、ウォレットでUSDC送金対応へ 米国で10月末開始
サムスン電子の米国法人は7日、Samsung Walletで米ドル建てステーブルコインUSDCの海外送金機能を10月最終週に始めると発表した。60カ国超の銀行口座へ現地通貨で着金でき、ブロックチェーン基盤はソラナとSuiが担う。
10:25
XRPトレジャリー企業エバーノース、ナスダック上場は12日の見込み
仮想通貨XRPの財務企業エバーノースは、事務手続きの遅延によりナスダック上場が10月12日になる予定だと発表。事業統合に影響を与える見込みのある遅延ではないと述べている。
10:18
ヴィタリック氏「慌てて資金を移すのは勧めない」 AIの暗号解読リスクで
イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏が、AIによる数学研究の加速で格子暗号やML-DSAの安全性が想定より早く損なわれる恐れがあると指摘。ハッシュ型署名の優先や未使用アドレスでの保管を勧めつつ、資金移行時のミスにも注意を促した。
09:40
「ビットコインはデジタル・ゴールドに向かう軌道に」ビットワイズCIO見解
米ビットワイズのCIOがWSJへの寄稿で、仮想通貨ビットコインがデジタル・ゴールドに向かう軌道にあるとの独自見解を示した。ボラティリティ低下などを背景に論じている。
09:15
金融大手FirstRand傘下のFNB、仮想通貨取引サービスを開始
大手FirstRand傘下で南アフリカの銀行サービス企業のFNBは、仮想通貨取引サービスの提供を開始。十分に銘柄を調査した上でビットコインやイーサリアムなどを取り扱う。
10/07 水曜日
18:40
金融庁、無登録の暗号資産交換業者一覧を専用ページで公開
金融庁は7日、警告書を発出した無登録の暗号資産交換業者を一覧にした専用ページを公表した。最新掲載は9月に追加された「IZAKA-YA」運営会社。大手海外取引所バイビットは2021年以降3度掲載されている。
17:52
ロビンフッド、ビットコイン約39.5億円分を自社保有 慎重姿勢から転換か=報道
米ロビンフッドが2,500万ドル相当のビットコイン(BTC)を自社のバランスシートに組み入れた。仮想通貨部門トップがThe Blockの独自取材で明らかにした。2025年には財務戦略としてのBTC保有に慎重な姿勢を示していた。
16:52
含み益のビットコインは約6割、休眠分除外で 中長期的に過熱遠い=アナリスト
クリプトクアントのアナリストDarkfost氏は7日、10年以上動いていないビットコインを除くと、含み益にある供給の割合は8月以降約60%で推移していると指摘。中長期的には過熱から遠く、現水準でのもみ合いは不合理ではないとの見方を示した。
16:14
ビットコイン、取引所から1日で2.4万BTC純流出 7ヶ月ぶり規模=サンティメント
サンティメントによると、5日にビットコインの取引所からの純流出が2万4,073BTCに達し、3月1日以来約7ヶ月ぶりの規模となった。取引所のBTC残高は総供給量の約6.50%まで低下。強気材料とする同社の見方と、その留保を伝える。
15:28
米政府関連アドレス、約834BTCと約4万BNBを送金
米政府関連アドレスが7日、833.6BTCをコインベース・プライムへ、40,285BNBを別アドレスへ送金したとアナリストが指摘した。計約1億300万ドル相当。戦略的ビットコイン準備金との関係も整理する。
14:49
コインベース、Coinbase Pro年末復活へ デリビット統合を完了
コインベースがデリビットの統合を完了し「Coinbase Global Exchange」を発足。米国と海外の仮想通貨デリバティブ市場を単一の流動性でつなぐ。2022年に終了した「Coinbase Pro」も年末に再始動する。
13:50
英国、初のデジタルネイティブ国債「DIGIT」を2027年Q1に発行へ
英国政府が初のデジタルネイティブ国債「DIGIT」のパイロット発行に向け、バークレイズやHSBCなど6社を共同主幹事に選定した。発行は2027年第1四半期、HSBCのOrion上で行われる。
13:50
AIエージェント時代のウォレットとは? 国内事業者3社が議論
au Coincheck Digital Assets、マイナウォレット、HashPortの3社がAI・オンチェーン金融サミットに登壇。ポイント交換や行政給付での手応え、100万円制限の課題、AIエージェント時代のウォレットの役割を語った。
12:10
ロシアのデジタル・ルーブル、導入1か月で22万件超の口座開設──予想を大幅に上回る
ロシア中銀は、9月1日に本格導入したCBDC「デジタル・ルーブル」の口座開設が1か月で22万超に達したと発表。当初見込みを大幅に上回る数字だ。
12:00
ソラナ財団、デジタル証券と代金の同時決済仕組みを公開──JPモルガン助言
ソラナ財団は6日、金融機関向けに証券と代金を同時に交換する不可分(アトミック)な決済プログラム「ソラナDvP」を公開した。JPモルガンが証券決済の要件を助言し、最終確定は数秒で済むという。
今から始める仮想通貨特集
通貨データ
重要指標
一覧
新着指標
一覧