「事実を歪曲された」有価証券問題でSECに訴訟された仮想通貨関連企業Kik社が猛反論

Kik社がSECへ猛烈反論
米SEC(証券取引委員会)が起こした有価証券の違法販売をめぐる裁判で、仮想通貨関連企業Kik社が新たに苦情書類を提出、「SECが事実を歪曲している」と非難した。業界に精通する弁護士の見解を掲載。

Kik社がSECへ猛烈反論、弁護士が解説

米SEC(証券取引委員会)が起こした有価証券の違法販売をめぐる裁判で、被告側の「Kik社」は新たに117ページに及ぶ苦情書類(反論)を提出し、「SECは事実を歪曲している。誤解を招くような一部資料のみを抽出し、裁判所に提出した。」と非難している。

米仮想通貨メディアTheBlockの法律関連寄稿者であるStephen Palley弁護士(仮想通貨業界にも精通する)が、裁判の進展について解説。この記事は、Pally氏の見解である。

SECは6月にカナダの仮想通貨関連企業Kik社を提訴した。SECは、財務困難を解決するために、「Kin」トークンを販売したKik社が、未登録有価証券の販売として証券法に違反したと主張している。

SECは18ヵ月に渡り取材の実施や書類の調査を行なった結果、6月に提出した「告訴」はKik社を最も不利な位置に置いている。

その後Kik社は手を打つと約束し、「defend crypto」という募金も行なった。数百万ドルの資金を募金形式で調達した。

途中では一部の支持者が脱退したものの、Kik社は弁解する頑なな姿勢を維持しており今回の反論書類に至った。今回の反論はある程度予測はできた。

117ページというボリュームは連邦裁判において、被告側にしては珍しいものであり、通常このような苦情提出は原告側によく見られる。

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Kik社の主張

Kik社が指摘しているのは、例えば、SECが主張した、「Kik社の役員の1人が事業方針を変更し、『一発逆転』を試みると話した」ことだ。SEC曰く、Kik社は財政危機にあり、トークンを販売する成功率が非常に低かった。しかしこれは正確ではないと、Kik社は明かした。Kik社によると、役員は「仮想通貨の資金調達方法は合理的で、実現可能だ」と話した。

Kik社は最初の3ページで、このような会話を掲載した。他にも2つの事例がある。主にSECが意図的にKik社の責任者らによる発言の一部を前後関係を無視しながら見せつけることを指摘している。Kik社が未登録有価証券を販売したかどうかは別として、苦情の紹介ページでこのようなSECに対する指摘が書かれていることは、裁判官に目にもつきやすく、SECにとって不利かもしれない。

なお残りの100数ページの内容は、このようにSECの以前の指摘を取り上げ、事実と異なることと主張している。Kik社側は、Kik社が成功している道徳心を持つ企業であると主張し、以前にも企業の理念をもとに買収のオファーを断ったと説明する。そしてKik社は、「KinトークンはKik社の業務を支える資金調達手段だけではない」と述べている。

結論として、Kik社の苦情は強めなものであり、SECと戦う意思を表している。しかし、状況を左右するものではないかもしれない。

一番に重要なのは、Kinトークンにおける実用性・いわゆる「ハウェイテスト」に該当するかどうかなどの事実と状況だ。Kinトークンが 通貨である、あるいは米国の証券法を変える必要があるなどの議論ではこの件では無意味かもしれない。

解説ハウェイテストとは

さらにいうと、強めな内容が必ずしも裁判の勝ち目になるとは限らない。

後知恵バイアスのみがKik社の戦略が賢明だったかどうかを証明するだろう。確かにSECがKik社に対する主張を誇張しすぎたかもしれないが、SECとKik社の戦略でこの裁判が長引くだろう。実際どちらに有利かは現在では明確ではないが、長年の経験を持つSECはこのような耐久戦には備えていると考えられる。

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