英造幣局が倒産危機か、マネーのデジタル化が要因の一つとの見方も
英造幣局が倒産の危機か
イギリスに拠点を置き、紙幣やパスポート製造を行うデ・ラ・ルー公開有限会社が、倒産の危機に瀕しているとの声明を発表した。BBCが報じた。
同社によれば、事業再生に失敗した場合破綻リスクもあるとのことだ。デ・ラ・ルー社は株主への配当を停止しており、会計年度前半には損失を計上している。
同社は紙幣印刷業者として150年にわたり、英国ポンドの造幣の役割を担当し、現在では世界140の中央銀行を対象に紙幣の印刷を行い、全世界で2,500人規模の従業員を抱えている。最近では、同造幣局は新20ポンドの印刷を行うことが決定されている。
デ・ラ・ルー社は様々な困難に直面している。例えば、2018年3月に英政府はパスポートの刷新を決定したが、その製造先をデ・ラ・ルー社ではなく、フランスに拠点を置くオランダ系企業ジェムアルトとした。
これまで英国のパスポート発行はデ・ラ・ルー社が担ってきたが、製造費用などを主な理由に製造の打ち切りを決定した。その他にも、ベネズエラの中央銀行による未払いや南スーザンとの汚職に関する疑いで調査も実施されている。
このような経営危機にあり、2019年9月28日までの6か月間で、前年同期の710万ポンドの利益と比較して、1,210万ポンドの税引前損失を報告したデ・ラ・ルー社だが、Markets.comで市場分析を行うNeil Wilson氏は、その経営不振の理由について、同社による「杜撰なマネジメントや悪手が主な理由」と分析を行っている。
その他にも、マネーのデジタル化などが進み、中央銀行による紙幣の需要が減少している点や、取引先数に比べ競合他社が多い点などもその理由として挙げられている。
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