ビットコイン、100万円台に突入 仮想通貨市場の注目ポイントまとめ

ビットコイン高騰で大台に

ビットコインが急騰。30日未明に一時95.9万円の前日比15%高を記録した。(bitFlyer)

コロナ危機後、初めて米ドル建て8000ドルをうわ抜けると、価格が急伸。コロナ危機で暴落した際の底値(3700ドル)から2.4倍水準まで回復した。

ビットコイン半減期まで、約2週間と迫る中での今回の高騰。半減期後のマイナーの収益性でボトルネックとなっていたのがBTC価格であっただけに、マイナーの収益性に伴う適者生存競争が緩和される意味で、半減期後の価格展望でも重要な意味を持ちそうだ。

追記(30日15時):ビットコイン市場が100万円台に突入。コロナ危機に伴う現金化の煽りを受け急落した3月8日前の水準まで価格を戻した。

出典:コインチェック

ビットコイン高騰について

ビットコインも日本円建100万円の大台も視野に入ってきた。今回のビットコイン推移について、注目ポイントを紹介する。

ショートカバー

BitMEX上では、1万3000BTCのショートポジション清算(ロスカット)が確認された。金額にして約1億ドル(100億円)相当、4月の月間推移では累計4.87億ドル(519億円)のショートポジションの清算が実行されている。

メモプール推移

短期間にビットコイン(BTC)のメモリプール(mempool)が急増したことが確認された。

メモリプール(mempool)とは、ユーザーによって送信された取引が一時的に置かれるプールのことで、正しいnonceを発見したマイナーが、メモリプールからブロックを作成しブロックチェーンにつなげる権利を獲得。ブロックが生成される。

ビットコインでメモリプールが急増したのは今月に入り2度目。前回は、ハッシュレート高に伴い難易度が大幅に上昇したことを受け、ブロック生成の遅延が発生、主にマイナーのハッシュレート低下が主要因となっていた。

一方、今回は価格高騰に伴うトランザクションの増加が主要因となっている可能性が高い。(Pool Statsでハッシュレートの低下は起こっていないため)

メモリプールが増加したことは、トランザクション処理に一定の遅延が発生していることを示す。トランザクション遅延は、取引所への現物供給の遅れにも繋がる点から、ビットコインの上昇要因になった可能性がある。

米国株式先物の高騰

29日の米株式市場では、ダウ工業株30種平均が反発し、前日に比べて532ドル31セント(2.20%)高い2万4633ドル86セントで終えた。新型コロナウイルス治療薬の開発に前進が見られ、市場では景気落ち込みへの警戒が和らいだ。

米ギリアド・サイエンシズ社が29日、新型コロナウイルス治療薬レムデシビルが、臨床試験で主要評価項目達成したことを発表した。(臨床試験の被験者の内、少なくとも52%が14日後に退院し、少なくとも53%が「臨床的回復」)

先月よりコロナショックで大きく下落していた金融市場全体であるが、各国の大規模金融緩和策などが功を奏し、短期的にはリスクオフからリスクオンへと変わりつつあることも、ビットコインの騰勢を強めた要因となった。

米ギリアドは29日、レムデシビルの臨床試験で主要評価項目達成したことを発表した。ダウ平均株価が大幅上昇したほか、仮想通貨市場ではビットコインや主要アルトが高騰、BTC=8300ドルを超えてきた。

ターゲット価格:CMEの窓埋め

CME(米シカゴ・マーカンタイル取引所)のビットコイン先物で、3月9日に発生した2020年で最も大きな「窓(ギャップ)」が意識されている。

当時のCMEの窓価格は「9,165ドル(976,874円)→8,265ドル(880,945円)」。ビットコインの最も近いターゲット価格となりそうだ。

CMEの窓について:米拠点の金融機関など大口がビットコイン(BTC)価格変動へのエクスポージャーを得るために使用するが、他に取り扱いのある金融商品同様、毎週金曜16:00(CST)から日曜17:00(CST)までが休場となるため、24時間365日動くビットコイン(BTC)市場がその間に急騰・急落した場合、CMEのチャート上にギャップが生じる。

追記(30日12時50分):米CMEビットコイン先物取引が今年最大の窓埋めを完了した。

CME(米シカゴ・マーカンタイル取引所)のビットコイン先物で、3月9日に発生した2020年で最も大きな「窓(ギャップ)」の窓埋めが完了した。

ビットコインデータ

価格が高騰したことを受け、ビットコインが年初来対ドル騰落率で金融資産1位に浮上した。

年初来推移では、ビットコインと金(ゴールド)が他の金融資産と比較してプラスを維持していたが、29日の高騰を受け、ゴールドを上回った。

米株式市場の最高値更新日基準でも

3月に起きた金融市場の暴落以降、ビットコイン(BTC)の収益性のパフォーマンスは、継続的に米株価指数S&P500の利益率を下回っていたが、29日に逆転した。

S&P500が過去最高値を更新した2月20日(コロナ危機の影響を受ける前)を基準日とした場合も、ビットコインのパフォーマンスが米株価指数を上回ったことが確認された。

出典:The Block

ビットコイン半減期

今回の高騰を受け、半減期後の推移にも期待感が増すなか、カウントダウンは間も無く12日前に差し掛かろうとしている。

半減期の実行ブロックからの逆算では、5月12日前後。日程前後の注目ポイントは、次回の難易度調整(約5日後)と半減期実行タイミングから数日間だ。

大手マイナーも警戒するマイナーのシャットダウンは、価格が上昇しないことをボトルネックとしたものであったが、このままビットコイン価格も高値を維持できれば、マイニング事業の適者生存競争も緩和され、市場の警戒感も薄れる流れへと繋がりそうだ。

価格維持ができないケースでは、半減期実行から難易度調整タイミングまでの期間が特に混乱が生じるポイントとなる。

ビットコインの難易度調整は平均で約14日(2016ブロックごと)に1回であることから平均値で逆算すると、5日〜10日の期間がそれに該当する可能性がある。

半減期について

ビットコインネットワークは、トランザクション(取引)をまとめたブロックの成功時に、マイナーに対して報酬(ビットコイン)が支払われる仕組みだ。この作業は金を採掘する行為に例えて、マイニングと呼ばれている。

ビットコインは発行上限は2100万BTC、無限にビットコインが報酬として渡されるわけではない。そのため、概ね4年ごとに報酬が半減される仕組みがあり、これが半減期(Halvng)に相当する。

なお、用語としては、半減期は何かしらの量が半分になるまで徐々に減っていく時期に対して使われるため、半減期は、あるタイミングで一気に半減するビットコインのHalvingの日本語訳として適切でないとの議論もある。

半減期は4年ごと

コンピューターの性能は進化するため計算作業も当然早くなり、ブロックの生成ペースも上がってしまう。それを防ぎ、このブロック生成のペースを維持するために、計算作業に対するブロック生成の難易度が調整される仕組みがある。

ビットコインは1日で平均144ブロックが生成されるよう調整される。半減期前の現在は、1ブロックで12.5ビットコインが報酬として渡されるので、1日で1800BTCが新たに供給される計算だ。

半減期の到達タイミングは、この21万ブロック(1日あたりの生成ブロック数×365日×4年)が基準となっており、ブロック生成の速度によって多少前後することがある。

ビットコイン半減期への関心は?

ビットコインが4年前より知名度が向上したことで、半減期に対する世界的な注目は前回(4年前)より高まっている。

グーグルトレンドでは、世界中で「bitcoin halving」の検索ワードの人気度が直近で急上昇していることも確認された。

出典:グーグルトレンド

関連:ビットコイン関心、「金から半減期」へ

ビットコインのインフレ率は2%以下へ

ビットコインは半減期を経て、インフレ率が2021年に1.8%に低下する見込みだ。

出典:inbitcoinwetrust

半減期がある場合も、マーケット価格を決めるのは、需要と供給の関係性が基本概念だ。マーケットへの供給が増えれば理論的には当然1BTC辺りの価値は薄まる。一方で、新規発行の数量はメカニズムによって、半減されることから、マイナーの行動原理が一定であることを仮定すると、マーケットへの供給量が減少する。

半減期とマーケット価格については、以下の記事で考察を行なっている。

半減期後の短期目線:ビットコインマイナーパニックケース

半減期まで1か月をきった仮想通貨ビットコイン。過去2回の半減期後には歴史的な高騰を記録したが、過度な楽観は禁物だ。半減期後、短期的に価格上昇に期待できない可能性を複数の視点から考察する。

中長期目線;新規発行量減少に伴う価格上昇について

ビットコインは2020年5月に半減期を控える。歴史的には半減期経過後、BTC価格が大幅な上昇を記録しているが、その要因となる「ストック・フロー比率(S2F)」を用いて、その関係性を解説する。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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