「クリプトバレー」を抱えるブロックチェーン先進国、スイスの魅力と情勢は

ブロックチェーン先進国スイスの情勢

オンラインセミナー「ブロックチェーン先進国・スイスの最新技術動向とビジネス導入に迫る」のウェビナーが7月28日に開催された。

本イベントは、日本企業のスイス進出のサポートをしてきた「在日スイス大使館 スイスビジネスハブ」主催。スタートアップコミュニティ運営やアクセラレータープログラム事業を展開しているCreww株式会社が共催で開かれた。

ブロックチェーン先進国の最先端の取り組みを紹介しつつ、”オープンイノベーション”を促進したいという思いが背景にある。

ウェビナーでは、在日スイス大使館のスイスビジネスハブ投資促進部長を務める松田俊宏氏が、「スイスでのイノベーション環境と事業設立のメリット」という題目でスイスの魅力について解説した。

世界屈指のイノベーション大国であるスイス。

松田氏によれば、西ヨーロッパの真ん中にあるスイスは、九州程度の面積の土地に人口833万人を擁する。法定通貨はEUに属していないので、ユーロではなくスイスフラン(CHF)が流通している。

強い産業が集まっているほか、インフレ率が低く失業率も低いため、競争力の高さに結びついており、特に銀行・金融の世界的な中心地であるチューリッヒ辺りのツークは、ブロックチェーン産業の中心で「クリプトバレー」とも呼ばれる。

戦争が多かったり政情が不安定な国に国際機関は置けないが、その点スイスは「中立」で政治的にも安定しているため、国際機関が集まってくるという。

クリプトを国が推奨

仮想通貨・ブロックチェーン産業については、スイスでは経済大臣が「クリプトネーションスイス」を推奨するなど、かなり前向きだ。

ツークでは、税金の支払いがビットコイン(BTC)で出来るなど、国として推進している。

スイスの証券取引所SIXでも、デジタルエクスチェンジという形であらゆる資産をトークンして上場させており、「暗号資産ETF」などのサービスを展開している。

関連:スイス証券取引所SIX、Tezosの仮想通貨ETPを上場

出典:在日スイス大使館

欧州のブロックチェーン概況とスイス

Interacthub(インタラクトハブ)の矢野 圭一郎CEOは、「欧州のブロックチェーン概況とスイス」というテーマで講演した。現在は、欧州のブロックチェーン及びスタートアップの中心地として活気のあるドイツのベルリンを拠点に活動しているという。

欧州のビジネスハブとしてのスイスという題目では、6つのメリットを挙げた。

  1. 他の欧州諸国と比較して低い税制/法人税
  2. ”EUではない”ことによる独自規制/地政学的優位性
  3. ETH(工科大学)/ IMD(ビジネススクール)等世界トップランク教育機関
  4. Zub(IT/ブロックチェーン)Zurich(ファイナンス)等トップ人材集積地
  5. 小国ならではのアクセスの良さ/国際ビジネス拠点としての強さ
  6. 他の低税制なビジネスハブ(マルタ、ジブラルタル等)と比較した国際信用性の高さ

矢野氏はスイスの魅力について、以下のように述べた。

ツーク州は古くから有利な税制を提供することで知られている。海外企業の場合は、さらに減税されるなど、その税率はスイスの中でも特に低く抑えることが可能だった。また、アクセス面でチューリヒ空港からも比較的近いというメリットもある。

これらの利点から、イーサリアム財団、カルダノ財団、テゾス財団、リスク、ディフィニティー、中国暗号通貨マイニング大手のビットメイン等業界の大御所が拠点を構えるなど、クリプト業界の資金とネットワークが集まりやすい環境となっている。

ウィズコロナ・ポストコロナの時代では、国を超えたリモートコラボが進化していく。そんな中で「スイス・フレームワーク」を使えば、色々とできることが増えていくとした。

ベルリンベースのスイス法人例としては、LISKを例に挙げている。

関連:仮想通貨リスク(LSK)とは?ロードマップから今後の将来性を解説|Lisk Japan寄稿

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