DeFi市場の活況さ、テスラ株高騰に類似 仮想通貨投資会社CEOが警戒
DeFiに対する懸念
米仮想通貨投資会社Galaxy Digital社のCEOで著名投資家のマイケル・ノボグラッツが、「BNN Bloomberg」に出演し、最近取引が活発化しているDeFi(分散型金融)について懸念を示した。
「新しく素晴らしいプロジェクトが生まれているが、非常に速いスピードで流動性が高まっている。市場はこのような急速な変化を今まで経験したことがない」として、急速に人気が高まり、資金が流入している状況について、DeFiの活況さを、米大手電気自動車(EV)メーカー「テスラ(TSLA)」の株価急騰に類似していると喩えた。
個人的にも、DeFiの技術自体は非常に興味深いものであるとしつつも、現在はただの熱狂的な投機市場との見解を示し、個人投資家中心のバブル相場への警鐘を鳴らしている。
比喩対象となったテスラ株は8月11日、普通株1株を5株に分割するとの発表を行なっており、株式分割後、初の取引となった31日には、分割の値頃感で買いが殺到した。一時13%急伸し、終値は12.6%高の498.32ドル(約5.3万円)となった。
日本経済新聞の「NY特急便」による分析では、テスラ株高の要因は分割だけでなく、個人の少額取引が活発となっているオプション市場では、オプション取引でのリスクを管理する上で、「株価が上がるほど買いを誘発しやすくなっている」といった分析もあるとしている。
なぜテスラ株が分割
テスラはこれまで、投資家や世間を騒がせていたとも知られる企業だ。2年前に、テスラのCEO、イーロン・マスクは「資金を確保した」とSNSに投稿し、テスラを1株420ドルで買い戻して非上場化する考えを明かしたが、その後発言を撤回。当時、発言を受けた米国証券取引委員会(SEC)はマスクを証券詐欺で告発したが、不正行為を認めず両者は和解に至った。
株式分割を発表する際、テスラは社員と投資家が保有しやすい手頃な価格にしたい意向を伝えた。
通常、株式分割によって株の流動性が高まり、既存の投資家の配当金が増え得るメリットや、資金を調達しやすくなるといったベネフィットもある。
ICOとの比較
ノボグラッツは、DeFiの人気は2017年のICO(イニシャル・コイン・オファリング)のバブルを思い出させるとも語っている。
特に問題として挙げているのが、監査が行われる前にサービスの提供を開始するプロジェクトが横行することだ。新興分散型取引所SushiSwapを例に挙げ、監査が行われる前にローンチしたことを問題視している。
SushiSwapのガバナンストークン「SUSHI(お寿司)」も監査前に上場して取引を開始。本記事執筆時点でSushiSwapの監査はまだ継続中。ローンチされたばかりの新興DEX「キムチ・ファイナンス(kimchifinance)」も監査されていない。
2017年ごろにはICO(イニシャル・コイン・オファリング)が毎日のように生まれ、そこに投資家(投機目的)が集まり、実態のないプロジェクトに巨額の資金が注ぎ込まれた。ノボグラッツはその光景に対し警鐘を鳴らしている。
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