フォーブス誌、バイナンスの「米規制逃避計画書」を報道──CZは「FUD」と否定
バイナンスの「米国の規制逃避戦略」、真偽は
米フォーブス誌が、最大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスの「米国の規制逃避戦略」に関する内容をリーク文書と共に速報ニュースとして公開した。
バイナンスのCEO CZ氏は報道を受け、「FUD」と反論するなど内容を全面否定。フォーブス誌の記者との意見の応酬に発展する場面もみられている。
フォーブス誌は30日、リークされた内部文書として「太極文書(Tai Chi)」を公開。「バイナンスが米規制当局の目を逸らさせるための社内体制を意図的に作った」と報じた。
フォーブス誌が引用する「匿名情報筋」によると、内部文書は2018年にバイナンスの役員が作成したもので、内容はバイナンスが米国に企業を立ち上げ、米国の規制を受ける形でバイナンス全体運営の利益を循環させる計画を立てていたとするものだ。企業は太極企業(Tai Chi entity)と名付けられ、バイナンスの米国の関連会社もしくは子会社を指すとしている。
また、文書はスライドショーのフォーマットで、米FinCEN(金融犯罪取締ネットワーク)やOFAC(外国資産管理局)、SEC、CFTCの規制を逃れるための計画も含まれていると指摘した。
CZ氏とフォーブス誌記者
これらの報道を受け、バイナンスのCZ氏とフォーブス誌のジャーナリストが互いに自身の主張をぶつけ合う応酬に発展する場面もみられた。
CZ氏は「内容や指摘は不確実で、バイナンスの役員(従業員)に作られたものではない」、「誰もが戦略文書(計画書)を作ることはできるが、バイナンスがそれを採用するとは限らない」と事実関係を否定。
一方のフォーブス誌のジャーナリストMichael del Castillo氏は、文書を作ったとしているHarry Zhou氏はバイナンスの元従業員だとして、事実関係がある内容だと指摘した。
CZ氏の主張は、バイナンスが常に法律範囲内で運営しているとしたもので、その根拠として、米国やシンガポール、UK、韓国などで立ち上げた地域別取引所の事例を挙げている。
資金洗浄など規制コンプライアンスの面について、これまでCiphertraceやEllipticなどの企業と連携し協力してきたと説明。特に米国の取引所「バイナンス米国」はより厳しい規制を受けているため、運営もバイナンス本社とは別のものとして運営しているとしている。
現時点で、リーク文書がバイナンスが作成したものかを判断するための材料は、フォーブス誌の報道とCZ氏の発言に限られるため、正確な判断をすることは難しい。
しかし、BitMEXの事例も含め、米国におけるグローバル取引所への追及が強まる中で、最大手取引所のバイナンスと米国の関係がどのように進展するか。投資家の重要トピックの一つにもなると言っても過言ではないだろう。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します