香港仮想通貨サービスプロバイダー、BitGo利用でアジア機関投資家にリーチへ
Amber GroupがBitGoと提携
香港に本拠を置く暗号資産(仮想通貨)サービスプロバイダーのAmber Groupが、アジアの機関投資家やプロのトレーダー向けに、米大手仮想通貨カストディ企業BitGoのカストディサービスを利用していることが明らかになった。
BitGoのプレスリリースによると、Amber Groupは顧客資産保護のために、機関グレードのカストディ、コンプライアンスツールやユーザーポリシーの制御などで、BitGoのカストディ部門「BitGo Trust」と提携した。BitGo Trustは、2018年9月に米サウスダコタ州の信託会社として規制当局から承認を受けている。
仮想通貨保険
Amber Groupは、2018年からBitGoのサービスを利用してきたが、今回、カストディ面での提携の鍵となった要因の一つが、BitGo Trustが提供する保険機能だという。
2019年2月、BitGoは世界最大の保険組合であるロイズとEuropean Marketplaceのシンジケートを通じて、最大1億ドルの仮想通貨を保険適応とするサービスの提供を開始した。さらに、今年3月には、顧客が保険契約の上限を1億ドルから引き上げられるオプションを提供すると発表した。
保険機能を備えたカストディは、顧客にとってセキュリティと信頼を高める要素になるとBitGoは語っている。Amber GroupのMichael Wu最高経営責任者は、BitGoの「実績、共有保険スキーム、BitGoのレンディングデスクとの統合」が、提携を拡大する理由だと述べた。
Amber Group
Amber Groupは2017年に創設され、香港、台北、ソウル、そしてカナダのバンクーバーに拠点を置いている。世界に200以上の機関投資家のクライアントを抱え、1日の平均取引高は1億から2億ドル(約105億〜210億円)。現在までの累計取引額は、2200億ドル(約23兆1330億円)以上に上るという。
昨年、ParadigmとPanteraが主導した資金調達では、2800万ドル(約29.5億円)を調達、Polychain Capital、Dragonfly Capital、Blockchain.com、Fenbushi Capital、Coinbase Venturesなどの大手仮想通貨投資企業も参加した。
Amberは2018年に、OTC、約定、マーケットメイキングなど、高度な取引機能を備えた機関投資家向けサービス「Amber Pro」の提供を開始。そして先月、機関投資家向けのサービスで培われたノウハウを生かし、個人投資家を含む、より広いユーザー層をターゲットにしたモバイルアプリ「Amber App」を正式リリースした。
Amberが、あらゆるレベルのユーザーにとって「仮想通貨金融革命のゲートウェイ」となること目指しているとCEOであるWu氏は語った。「セキュリティ第一のアプローチを保証する」BitGoとの提携は、Amberが今後、より多くの管轄区域に事業拡大するにあたり大きなメリットであり、顧客との長期的な信頼関係を構築する上でも重要だと、同氏は付け加えた。
注目されるBitGo
先月、アプリ内で仮想通貨の売買を開始し話題となった米決済大手のPayPalが、複数の仮想通貨関連企業の買収を計画していることを米メディアのBloombergが伝えた。その中で最も注目されるのが、BitGoだろう。
PayPalはすでにBitGoとの交渉を開始しているとのことだが、取引が成立するかどうかは、まだ定かではない。BitGoの投資企業には、ゴールドマンサックス、Craft Ventures、Digital Currency Group、Galaxy Digital Venturesなど含まれている。
カストディ企業として、仮想通貨業界で大きな存在感を持つBitGoだが、今年5月にはブローカーサービス、「BitGo Prime」を開始し、総合的な金融サービスプラットフォームとして、機関投資家向けのサービスの一体化を目指している。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します