オランダ中銀、仮想通貨取引所ユーザーへの規制要件を強化
BTC購入目的やウォレットの種類を開示する必要
オランダ中央銀行(DNB)が、暗号資産(仮想通貨)取引所ユーザーへの要請を強化したことが判明した。オランダの仮想通貨取引所Bitonicは、この新たな規制のため、意に反してユーザーにビットコイン(BTC)を購入する目的や、使用するウォレットの種類などの情報を求めることになったと報告している。
さらにユーザーは、使用しているウォレットのスクリーンショットや、BTCアドレスへの署名などにより、当該BTCアドレスの「正当な所有者」であることを証明する義務も課され、これに従わない場合は取引所に登録できないという。
DNBは、9月21日のウェビナーで同国の仮想通貨企業にこの新しい規則を通知したと伝えられる。
Bitonicホームページで次のようにユーザーに通知している。この規制についての意見(パブリックコメント)を募集しており、集約してDNBに送る計画だという。
これらの追加措置は、利用者に迷惑をかけることを理解しており、当社自身も同意していない。そこで、これらの措置に正式に反対する機会を提供する。そのためのオンラインフォームをまもなく公開する予定だ。
オランダ当局は、ヨーロッパの制裁法に基づいてこの措置を取っており、制裁法では金融機関のユーザーと取引の受益者がオランダやヨーロッパの制裁リストに載っていないことを確認することが求められる。
しかしBitonicは「オランダは現在EUの中で、こうした広範囲にわたる措置が要求されている唯一の国だ」と批判を述べた。
Bitonicはこの措置に効果はなく、不適当だと判断してDNBに要件を取り下げるよう繰り返し求めてきたが、DNBは応じなかったという。
オランダの仮想通貨業界団体「Dutch United Bitcoin Corporation(VBNL)」もDNBにさらなる協議を求めたが拒否された格好だ。
欧州の中でも規制が厳しいオランダ
オランダは現在のところ、他の欧州諸国よりも仮想通貨に関する規制が厳しい国の一つである。
オランダ政府は2020年5月から、欧州連合の第5次マネーロンダリング防止指令(AMLD5)に基づいて、仮想通貨に関連する新しい法律を適用した。
AMLD5は、仮想通貨取引所やカストディサービスを、顧客の身元確認(KYC)とマネーロンダリング防止(AML)ルールへ準拠させるための厳格な枠組みだが、オランダ当局はさらに、顧客の評価や投資する資金の出所を追跡するための追加基準を設置している。
仮想通貨企業は、事業を続けるためにオランダ当局から正式なライセンスを取得しなければならないが、この審査も厳しいものになっているようだ。
ライセンス登録の締切は11月21日だが、オランダ中銀が受け取った38件の申請のうち、11月7日時点でまだ3社しか承認は下りていない状況であった。
これまでにライセンス取得した3社には、1ユーロから仮想通貨に投資できるプラットフォームBLOXと機関投資家向け取引所AMDAXの他に、ヨーロッパ向けの仮想通貨取引プラットフォームAnycoin Directが挙げられる。
規制が厳しくなる一方で、アムステルダムを拠点とする世界的な大手総合銀行INGグループがデジタル資産に乗り出す意欲を見せており、7月に仮想通貨を含むデジタル資産の採用を推進する業界団体、グローバル・デジタル・ファイナンス(GDF)への加入を発表した。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します