ローンチ7周年を迎えたPoSブロックチェーンNxt、後継プロジェクトArdorとは
Nxtが7周年
コンセンサスアルゴリズムにPure Proof of Stake(PPoS)を初めて採用したことで有名なブロックチェーンプロジェクトのひとつ、ネクスト(Nxt)は11月24日、ローンチから7周年を迎えた。
ネクストは2013年11月24日にメインネットへローンチされ、18年にアーダー(Ardor)に統合された。アーダーは複数のチェーンで構成されるブロックチェーンプラットフォームで、ペアレントチェーンを土台としたエコシステムを構築している。
参考:Xangle
ネクストではNxt Asset Exchangeと呼ばれる分散型取引所を開発しており、かつてNEM、IOTA、Siacoinなどのプロジェクトにより、クラウドファンディングプラットフォームとして利用された過去がある。
Ardorとは
アーダーとは、アップグレード以前のネクストで見られた課題を含め、ブロックチェーン技術のボトルネック解消を目的として設計されたブロックチェーンプロジェクトだ。ビジネスでの利用を視野に入れた設計となっており、特にスケーラビリティ向上に注力している。2018年1月にメインネットのローンチが実施された。
アーダーは、特徴的な「ペアレント(親)チェーン ー チャイルド(子)チェーン」システムを有している。ペアレントチェーンであるアーダーチェーンは、プラットフォーム全体のセキュリティ維持およびトランザクション処理が行われるパブリックブロックチェーンだ。一方、サイドチェーンにあたるチャイルドチェーンでは、独自のネイティブトークンを発行する機能や、相互運用性を重視した設計のブロックチェーンとなっている。チャイルドチェーンには、許可型チェーンも含まれる。
ペアレントチェーンおよびチャイルドチェーンは、バンドリング(Bundling)というシステムを通じて繋がっている。
ペアレントチェーンおよびチャイルドチェーン
ペアレントチェーンでは、コンセンサスアルゴリズムにPoSが利用されている。
ペアレントチェーンでは、フォージャーと呼ばれるアカウントがフォージング(鍛造)を行い、新規ブロックを作成しトランザクションを承認している。フォージングの報酬として、ARDRというネイティブトークン与えられる。フォージングを行うとトランザクション手数料を受け取れるが、新規ARDRトークンが発行されている訳ではない。
スケーラビリティおよび利便性向上のために、全てのチャイルドチェーンでは独自のネイティブトークンが利用されている。これらのトークンは、チャイルドチェーン内で価値尺度として機能し、主にチャイルドチェーン内でのトランザクションの手数料を、バンドラー(下記参照)に支払うために利用される。そのため、ARDRトークンを保有していない人でも、アーダーのプラットフォームを利用することが可能だ。
また、ペアレントチェーンにデータが移行した後、不要なチャイルドチェーンは取り除かれる仕様になっている。そのため、過去のチャイルドチェーンの全てのトランザクションを検証および処理する必要がなく、新規ノードは、フォージングが行われているチェーンのトランザクションのみダウンロードすれば良いため、スケーラビリティ向上が期待されている。
インターオペラビリティの(相互運用性)の観点から、全てのチャイルドチェーンでは同じソースコードが利用されており、チャイルドチェーン同士は連携している。そのため、異なるチェーンのトークンを分散的な方法でトレードすることや、他のチェーンのデータにアクセスすることも可能だ。
アーダーのチャイルドチェーンには、Ignisと呼ばれるアーダーで最初に作成されたチャイルドチェーンが含まれている。Ignis以外のチャイルドチェーンでは、チャイルドチェーン作成者が利用可能な機能に制限をかけることができるが、Ignisでは、アーダープラットフォーム上の全てのトランザクションタイプおよび機能が利用できるように設計されており、制限のない分散型チェーンとして機能している。
Ignisには、アカウント管理および他のチャイルドチェーン上のパーミッション設定に関連した全ての機能が実装されている。これにより、パーミッションレスブロックチェーンの一部として、許可型チャイルドチェーンをローンチするオプションが提供される。
参考:Ignis公式ページ
バンドリング
チャイルドチェーンのトランザクションは全て、バンドリングという独自のシステムを利用して一つにまとめられ、ペアレントチェーンに記録される。
バンドリングでは、バンドラー(Bundler)と呼ばれるアカウントが、このアーダーチェーンへのトランザクション記録を担っている。どのアカウントでも、バンドラーとして機能することが可能だ。アーダーのアカウントは、全てのチャイルドチェーンで同じ仕様になっている。各アカウントでは、既存のチャイルドチェーンのトークンおよびARDRを保有できる。
バンドラーは、それぞれのチャイルドチェーンのトークンでトランザクション手数料を徴収し、ARDRトークンでペアレントチェーンのフォージャー(フォージングを行うアカウント)へ手数料を支払う。また、チャイルドチェーントークンおよびARDRの為替レート、ならびにペアレントチェーンで支払うARDRの上限を設定することもバンドラーは可能だ。
参考:Ardor公式ページ
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