自民党議員など所属のICOビジネス研究会:ICO規制ガイドライン公開

ICOビジネス研究会よりICO規制に対し提言するレポートが発表される
ICOビジネス研究会は、平井卓也氏(衆議院議員、自由民主党 IT戦略特命委員長)を顧問とし、四大監査法人の一つとされている有限責任監査法人トーマツ パートナーの野根俊和氏、bitFlyer CEO 加納裕三氏がアドバイザーに就任。会員にも大手企業が多く名を連ねており、高い影響力を持つ可能性のある研究会です。

ICO規制ガイドライン発表

4月5日、多摩大学のルール形成戦略研究所は、「ICOビジネス研究会」より、ICOが持続的な資金調達の手段として確立するために必要なルール(7つの原則と2つのガイドライン)をまとめた、「ICO ビジネス研究会提言レポート」を公開しました。

同レポートでは、ICOの法定位置付け、また会計や税務の問題点を指摘し、ICOの普及と投資家保護の観点からルールを提言する目的で発表されています。

ICOビジネス研究会の顧問には、データ活用推進基本法の成立の立役者としても知られる、平井卓也氏(衆議院議員、自由民主党 IT戦略特命委員長)が所属しています。

同氏は、自民党・IT戦略特命委員会とFinTech推進議員連盟(議連)の同委員会特命委員長と同議連会長を就任し、それぞれ、ICOの規制について3月末までに一定の一定の結論を出す方針、と報道されていました。

また、会計・税務アドバイザーには四大監査法人の一つとされている有限責任監査法人トーマツ パートナーの野根俊和氏、技術アドバイザーにはbitFlyer CEO 加納裕三氏の名前も挙げられています。

所属会員には、さまざまな業種における大手企業・金融機関が存在しており、日本国内においてこのルール提言は、非常に大きな意味合いを持つことになるでしょう。

ICOビジネス研究会参加会員

  • 株式会社NTTドコモ
  • 株式会社クラウドワークス
  • GMOペイメントゲートウェイ株式会社
  • 株式会社JTB
  • 住友商事株式会社
  • 第一生命ホールディングス株式会社
  • 株式会社大和証券グループ本社
  • 東京電力ホールディングス株式会社
  • 野村ホールディングス株式会社
  • 株式会社VOYAGE GROUP
  • 株式会社みずほフィナンシャルグループ
  • 株式会社三井住友フィナンシャルグループ
  • 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ

ルール提言内容

ルール提言レポートの内容としては、以下の3点が挙げられています。

目次
  1. ICOユースケース
  2. ルール形成内容
  3. ICOの今後

ICOユースケース

同レポートでは、ICOユースケースを3つの累計に分類しています。

ベンチャー型
株式市場やベンチャーキャピタルからの出資を受けることが困難な場合などのベンチャー企業のICO
エコシステム型
企業連合や自治体などがエコシステムを通じ市場形成を試みるICO
大企業型
企業内での高リスクプロジェクト(技術等)の活用を図るために行うICO

ルール形成

現状、日本ではICOに関するルール形成は十分であるとは言えません。

このルール提言では、投資家保護などのために、発行には2つの原則、売買には5つの原則が設定されています。

  • 【発行の原則 1】サービス提供等の便益提供の条件や、調達資金・利益・残余財産の分配ルールを定義し、トークン投資家、株主、債権者等へ開示すること
  • 【発行の原則 2】ホワイトペーパー遵守およびトレースの仕組みを定めて開示すること

  • 【ガイドライン 1】既存株主・債権者も受け入れられる設計であること
  • 【ガイドライン 2】株式調達等金融商品による既存の調達手法の抜け道とならないこと

  • 【売買の原則 1】トークンの販売者は、投資家の KYC(Know Your Customer:本人確認)や適合性について確認すること
  • 【売買の原則 2】トークン発行を支援する幹事会社は、発行体の KYC について確認すること
  • 【売買の原則 3】トークンの取引所を営む仮想通貨交換所は、上場基準について各社共通の適切なミニマムスタンダードを制定・採用すること
  • 【売買の原則 4】上場後はインサイダー取引等不公正取引を制限すること
  • 【売買の原則 5】発行体、幹事会社、取引所等トークンの売買に関与するものは、セキュリティの確保に努めること

補足として、ホワイトペーパーの計画であがった成果明示、ホワイトペーパー変更に手続きが必要となり、変更履歴が閲覧可能になることなどが挙げられています。

ICOの今後

同レポート内では、今後について以下のように述べられています。

幅広い発行体や投資家が安心して ICO を活用し社会に定着していくためには、より詳細化されたルールを設けることが求められる。

ICOについては、世界各国で規制についての話し合いが進められています。

その規制の流れもあってか、最近ではGoogleやFacebookなどが仮想通貨関連広告の禁止を発表しています。

現状のICOはルールが整備されていると言えないため、ICOにより詐欺被害に遭う投資家が非常に多いです。

提言された内容はいずれも投資家保護や、マネーロンダリング防止のための規則が多く、業界の健全化を目指したものであることが感じられます。

4月4日のBeyond Blocks Summit Tokyoで、同レポートを発表した「ICOビジネス研究会」の技術アドバイザーであるbitFLyer CEO 加納裕三氏は、以下のように発言しました。

「現状、90%のICOは信頼できない」

こういった状況を改善させるための規則作りの議論が、今後このレポートを参考により活発化するかもしれません。

同レポート内では、最後にこのように締めくくられています。

このように、検討すべき事項は多岐にわたり、決して容易に完了しうるものではないが、上記提言が関係各所での今後の検討に貢献することを期待したい。

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2018年6月よりICO含む仮想通貨関連の広告禁止の規約が施工されることとなりました。Facebook社は1月末に仮想通貨の中でも特にICOに関する広告禁止を発表していたため、Googleも後を追うのではと以前より危惧されていた内容が実現した形になります。
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