米証券取引委員会(SEC)、裁定取引主体の仮想通貨ヘッジファンドを告発
VirgilCapitalが詐欺や資金引き出し阻止の疑い
米国証券取引委員会(SEC)が、暗号資産(仮想通貨)の裁定取引(アービトラージ)を専門とするヘッジファンドVirgilCapitalの創設者を詐欺で告発したことが判明した。
裁定取引とは、取引所間の金利差や価格差を利用して売買を行い、サヤ取りを行う取引方法。VirgilCapitalは、オーストラリア国籍のStefan Qin容疑者が設立した、9,240万ドル(約100億円)規模の仮想通貨ファンドとされる。
SECは、ニューヨーク州の方裁判所裁判官に、同容疑者の管理する基金が保有する、2500万ドルのデジタル資産を凍結する緊急命令を求めている。
告発の理由
SECは告発理由について、Qin容疑者は重大な虚偽により、管理するファンド2つと投資家に重大な損害を与えており、さらに損害を与える恐れがあるとを述べた。
VirgilCapitalは2019年、管理するVirgilシグマファンドが、米国の大規模な取引所3つ(Kraken、Coinbase、Gemini)を含む39の取引プラットフォームで、数百万ドル相当のデジタル資産を保有していると主張する文書を作成し、投資家に配布していた。
しかし実際には、シグマ・ファンドはこれらのいずれにも資産を保有しておらず、プラットフォームの口座残高は捏造だった。
また2020年中旬以降、シグマ・ファンドの投資家は、投資金の償還を阻止されていた。Qin容疑者は、少なくとも9人の投資家(合計約350万ドル)に、資金を引き出すのではなく、シグマファンドから、同社の管理するもう一つのファンド「VQRマルチ戦略ファンド」に投資金を移すように説得しようとした。
こうした資金の移動は実現しなかったが、それでも容疑者は投資家やVQRファンドを運営する別の担当者に向けて、言い訳や虚偽の情報を用いることにより、投資家資産がどこにあるのかについて説明を回避してきたという。
法的代理人は投資家保護を約束
Qin氏の法的代理人であるSean Hecker氏とShawn Crowley氏は事実を提供するために規制当局と完全に協力するつもりだとコメント。「投資家が被害を受けないようにすることを約束している。」「会社には、譲渡や償還の要求に対応するために必要な資本があることを知っている」と声明を発表している。
SECによると、Qin氏は19歳でニューヨークを拠点とするヘッジファンドを設立し、独自の裁定取引戦略を使用して世界中の取引所の仮想通貨価格の差から利益を得るファンドとして投資家に販売していた。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します