「仮想通貨の投資リスクについて教育を」=証券監督者国際機構

「エコシステムが未熟なことによる投資家リスクが存在」

証券監督者国際機構(IOSCO)が「暗号資産に関する個人投資家の教育」と題する報告書を発表した。

暗号資産(仮想通貨)が個人投資家にもたらすリスクを列挙し、投資家が損失を被らないように、規制当局に教育の必要性を訴え、その方法を説明している。

なおIOSCOは、各国の証券委員会や金融規制当局が加盟する、証券市場・先物市場を規制する組織の国際的な連合体だ。

報告書は「仮想通貨に関する技術革新は、資本形成を促進し、金融サービスへのアクセスを改善するなど、多くの有望な可能性」があるとしつつ、エコシステムと資産自体の未熟さにより投資家をリスクにさらすことがあると述べる。

仮想通貨の投資リスク

IOSCOが挙げたリスクの中には次のようなものがあった。

・ボラティリティーリスク

「仮想通貨の評価と価格設定は困難であるため、ボラティリティーリスクが高く、投資家が多額の損失を被る可能性がある。」

・カウンターパーティーリスク

「仮想通貨ブローカー、仮想通貨取引プラットフォーム、ウォレットプロバイダーなどの仲介業者から生じるリスクに直面する可能性がある。特に、国境を超えてサービスが提供されている場合、仲介業者を特定し、訴訟を起こすことが困難な場合がある。」

・情報開示が不十分な場合のリスク

「プロジェクトとそのリスクに関して、情報が不足していたり、不正確、不完全、不明確な場合がある。文書が高度に技術的なもので、それぞれの仮想通貨やプロジェクトの特性を理解するために高度な知識を必要とすることがある。」

・サイバーセキュリティのリスクなど技術や運用上のリスク

「サイバー攻撃や取引の遅延・失敗などの、技術・運用上のリスクも存在。また秘密鍵などの紛失により、資産の損失が発生する可能性がある。」

これらの他に、詐欺的な投資プロジェクトに勧誘されるリスクがあり、法的規制が整備されていないために、投資家が預金保護などの恩恵を受けられないリスク等も挙げられた。

規制当局に教育の必要性を呼びかけ

こうしたリスクを知らせるためにIOSCOは、個人投資家への教育が必要だとしている。

その際には、次の4つの方法があるという。

  • 暗号資産に関する教育コンテンツの開発
  • 認可されていない企業や詐欺を行う企業の公表
  • 投資家に情報を提供するための様々なコミュニケーションチャネルの利用
  • 関係者との連携による教育的資料の開発・普及

「関係者との連携」は、消費者協会など他の業界団体と協力して、教育資料を配布することである。また「様々なコミュニケーションチャネル」の例としては、テレビやソーシャルメディア、対面でのアウトリーチや印刷物などから、状況や対象とする層に最適な手段を選ぶことが奨励された。

詐欺も増加傾向

仮想通貨市場の拡大に伴い、詐欺も増えており注意が必要だ。特に、10月からの価格高騰を背景にして増加傾向がみられる。

見返りを提示して少額の仮想通貨を犯人のウォレットに送信させるものや、偽サイトに情報を記入させるフィッシングもある。また分散型取引所Uniswapは、Google Playストアて偽物のアプリが配信される例を報告した。

関連:仮想通貨高騰で関連詐欺が増加傾向、リップル社や取引所公式を装った事例も

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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