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仮想通貨の技術的観点から見た、XRP(リップル)の役割と将来性

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XRP(リップル)の仕組みと将来性

流通額上位をキープする暗号資産(仮想通貨)ですが、ビットコインとは何が違うのでしょうか。 この記事ではの技術的な特徴から、メリットやデメリットについて解説します。

目次
  1. Ripple社とXRPの違い
  2. XRPの基本的な情報
  3. XRP Ledgerの仕組み
  4. 信用とブロックチェーン
  5. Ripple社によるXRPの保有
  6. RippleとXRPの関係
  7. XRPの将来性

Ripple社とXRPの違い

説明に入る前に、よく混同されるまわりの言葉を整理しておきましょう。

仮想通貨のは一般的に「XRP(ティッカーもXRP)」と表記され、「リップル(Ripple)」と表記された場合は、米国にあるフィンテック企業であるリップル社を表します。リップル(会社)は、XRP Ledgerを利用した決済ネットワークである「Ripple Net」を提供しています。

このRippleNetに関する製品として、Ripple社はxCurrent,xRapid,xViaの3つを発表していました。それぞれ銀行、金融機関、個人を対象としたソリューションで、国際送金の高速化や流動性コストの削減などを目的としています。また、「Xpring」はRippleの子会社で、XRPやXRP Ledgerをを活用したプロジェクトへの投資、買収を通じたXRPの利用拡大・認知度向上を目的としています。

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その後19年11月に、Rippleのブロックチェーン基盤送金ソリューションxVia・xCurrentは「RippleNet」に名称が統合され、xRapidは、「On demand liquidity(ODL)」へと変更されている。

XRPの基本的な情報

XRPは一般的に国際送金の高速・低コスト化のためのプロジェクトとして知られていますが、開発を主導するリップル社は、Ripple Netのようなソリューションを使って価値の取引を瞬時に行うことができる世界、「価値のインターネット(Internet of Value : IoV)」の実現を目指しています。

ビットコイン・ネットワークがブロックチェーンのコンセプトに従い、マイニングの対価としてBTCを得て、レッジャーを認証していくのに対し、はコンセンサスという仕組みを用いて取引を認証しますが、「ブロックチェーンを使っていない」「中央集権である」と言われることもあります。以下では、技術や仕組みの観点からこれらの言説についても確認していきます。

XRP Ledgerの仕組み

すでに触れたとおり、XRPはコンセンサスという仕組みを用いて取引を認証します。投票によりネットワーク上の一部のサーバー(ヴァリデーターとも呼ばれる)が取引の真偽を決め、認めた取引はサーバーのレッジャーに書き込まれます。この仕組みにより中央のサーバーなく瞬間的な確認ができ、XRPは他の仮想通貨と比べて極めて早い決済速度を誇ります。

また、ビットコインのマイニングのエネルギー消費が頻繫に指摘されるなか、マイニングを必要としないXRPのシステムは省電力とも言えます。これは大量の送金を捌くように設計されたシステムの利点でしょう。

XRPとスマートコントラクト

ビットコインをはじめとする多くの仮想通貨と同様に、XRPのブロックチェーンではスマートコントラクトを実行できません。Ethereumなどがプラットフォームとしては有名ですが、コンセンサスを利用したスマートコントラクト・プラットフォームとして、フレアネットワーク(Flare Network)が開発されている。フレアネットワークではネイティブトークンSparkを利用しXRPの発行などを行うアプリケーションを構築でき、スマートコントラクトに対応しない資産(XRP、ビットコイン)にスマートコントラクトを実装する懸け橋としての役割が期待できる。

関連Flare Networkとは|仮想通貨XRPと密接に関わるSparkトークンの将来性

信用とブロックチェーン

構造上の理由のため、「XRP Ledgerは真のブロックチェーンではない」と言われることがあります。これについて考えるまずブロックチェーンとはなんなのか、その定義から振り返ってみましょう。

日本ブロックチェーン協会によるブロックチェーンの定義

日本ブロックチェーン協会によるブロックチェーンの定義 を見ると狭義、広義の二つの意味でブロックチェーンという言葉が用いられることがわかります。

  1. (狭義)ビザンチン障害を含む不特定多数のノードを用い、時間の経過とともにその時点の合意が覆る確率が0へ収束するプロトコル、またはその実装をブロックチェーンと呼ぶ。
  2. (広義)電子署名とハッシュポインタを使用し改竄検出が容易なデータ構造を持ち、且つ、当該データをネットワーク上に分散する多数のノードに保持させることで、高可用性及びデータ同一性等を実現する技術を広義のブロックチェーンと呼ぶ。

前者の定義によると、XRPはブロックチェーンと言えません。XRPのヴァリデーターは互いに信頼を必要とし、「不特定多数のノード」ではないからです。ビットコインなどのPoW方式の経済的な動機付けによる不特定多数のノードの選択ではなく、事前に人間がスクリーニングしたノードのみを信頼します。

しかし、XRPは広義の条件ではブロックチェーンです。データ構造はビットコインと類似しており、また後半に言及されるデータもヴァリデーターをはじめとするノードが保持しています。このため、改竄検出のしやすさとデータの同一性という二つのブロックチェーンに求められることの多い要素はXRPに存在し、実用上影響はありません。

Ripple社によるXRPの保有

仮想通貨XRPは誕生した瞬間に上限の1000億XRPが発行され、新規発行はされません。 2017年12月時点で1000億XRPの内630億XRPはRipple社が保有していました。

この状態ではRipple社によるXRP大量売却による大幅な価格下落リスクがあるとし、Ripple社は保有分のうち550億XRPを自由に売却できないように(ロックアップ)し、2018年以降毎月10億XRPずつロックアップを解除していました。 ロックアップが解除された10億XRPはすべて売却されていたわけでは無く、その月に売却されなかった分については再びロックアップされていました。

しかし2019年にRipple社は取引額の明確化のためXRPの販売はOTCのみとすると発表し、2020年現在も販売はそのまま続いています。

関連リップル社のXRP販売額、前年同四半期比99%減

RippleとXRPの関係

XRPの主導者であるRipple社ですが、その会社が倒産したときにXRPがどうなるのかは多くの人が疑問に思い、そのためRipple社のXRPへの関与は厳しく監視されてきました。

2020年秋にアメリカでのXRPの有価証券性が話題となりました。ここで最大の焦点は「XRPの価値がRipple社の業績に影響するものか」でした。その場合、XRPの購入はRipple社の株を買うのと類似の行為となってしまうからです。

しかし、XRPは国境を横断するものであり、その性質上、仮にアメリカで証券とされても致命的ではないとRipple社は述べています。また、SBIの北尾社長も過去にインタビューで以下のように述べており、日本での採用は進むと考えられます。

(証券性の)審議が出るまでに数年要するとすれば、数年の間に実運用事例が飛躍的に進むと・・・そうなれば、「コインとか、証券だとかの議論」をすること自体がナンセンスになるでしょう。

その間に、プラクティカル・ユースはどんどん進んでいくと思います。

追記:米証券取引委員会(SEC)がリップル社を提訴し、現在XRPの売買に慎重になる動きが出てきています。 関連リップル訴訟とその後の動き

関連SBI北尾社長インタビュー『仮想通貨(ビットコイン)市場の将来性との展望』

XRPのネットワークが分散され、Ripple社の手から離れるほど証券性は小さくなるといえます。このことを踏まえてか、XRPの推奨UDLに含まれるヴァリデーターのうちRipple社の管理するものは少なく、将来的にはさらに分散されると発表されています。

XRPとRipple社には適切な距離感が求められるといえるでしょう。

XRPの将来性

XRPはコンセンサスを基にしたプラットフォームとして唯一無二の規模と潜在力を持っています。Ripple社のソリューションはXRPの特徴を利用したもので、金融機関向けの商品を中心に日本でも導入が進むと考えられます。スマートコントラクトの発展や業界との連携が進む中、今後の発展が注目されます。

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