CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨の技術的観点から見た、XRP(リップル)の役割と将来性

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

XRP(リップル)の仕組みと将来性

流通額上位をキープする暗号資産(仮想通貨)ですが、ビットコインとは何が違うのでしょうか。 この記事ではの技術的な特徴から、メリットやデメリットについて解説します。

目次
  1. Ripple社とXRPの違い
  2. XRPの基本的な情報
  3. XRP Ledgerの仕組み
  4. 信用とブロックチェーン
  5. Ripple社によるXRPの保有
  6. RippleとXRPの関係
  7. XRPの将来性

Ripple社とXRPの違い

説明に入る前に、よく混同されるまわりの言葉を整理しておきましょう。

仮想通貨のは一般的に「XRP(ティッカーもXRP)」と表記され、「リップル(Ripple)」と表記された場合は、米国にあるフィンテック企業であるリップル社を表します。リップル(会社)は、XRP Ledgerを利用した決済ネットワークである「Ripple Net」を提供しています。

このRippleNetに関する製品として、Ripple社はxCurrent,xRapid,xViaの3つを発表していました。それぞれ銀行、金融機関、個人を対象としたソリューションで、国際送金の高速化や流動性コストの削減などを目的としています。また、「Xpring」はRippleの子会社で、XRPやXRP Ledgerをを活用したプロジェクトへの投資、買収を通じたXRPの利用拡大・認知度向上を目的としています。

img 関連Ripple社事業説明会、XRPのニーズと日本市場の戦略が明らかに

その後19年11月に、Rippleのブロックチェーン基盤送金ソリューションxVia・xCurrentは「RippleNet」に名称が統合され、xRapidは、「On demand liquidity(ODL)」へと変更されている。

XRPの基本的な情報

XRPは一般的に国際送金の高速・低コスト化のためのプロジェクトとして知られていますが、開発を主導するリップル社は、Ripple Netのようなソリューションを使って価値の取引を瞬時に行うことができる世界、「価値のインターネット(Internet of Value : IoV)」の実現を目指しています。

ビットコイン・ネットワークがブロックチェーンのコンセプトに従い、マイニングの対価としてBTCを得て、レッジャーを認証していくのに対し、はコンセンサスという仕組みを用いて取引を認証しますが、「ブロックチェーンを使っていない」「中央集権である」と言われることもあります。以下では、技術や仕組みの観点からこれらの言説についても確認していきます。

XRP Ledgerの仕組み

すでに触れたとおり、XRPはコンセンサスという仕組みを用いて取引を認証します。投票によりネットワーク上の一部のサーバー(ヴァリデーターとも呼ばれる)が取引の真偽を決め、認めた取引はサーバーのレッジャーに書き込まれます。この仕組みにより中央のサーバーなく瞬間的な確認ができ、XRPは他の仮想通貨と比べて極めて早い決済速度を誇ります。

また、ビットコインのマイニングのエネルギー消費が頻繫に指摘されるなか、マイニングを必要としないXRPのシステムは省電力とも言えます。これは大量の送金を捌くように設計されたシステムの利点でしょう。

XRPとスマートコントラクト

ビットコインをはじめとする多くの仮想通貨と同様に、XRPのブロックチェーンではスマートコントラクトを実行できません。Ethereumなどがプラットフォームとしては有名ですが、コンセンサスを利用したスマートコントラクト・プラットフォームとして、フレアネットワーク(Flare Network)が開発されている。フレアネットワークではネイティブトークンSparkを利用しXRPの発行などを行うアプリケーションを構築でき、スマートコントラクトに対応しない資産(XRP、ビットコイン)にスマートコントラクトを実装する懸け橋としての役割が期待できる。

関連Flare Networkとは|仮想通貨XRPと密接に関わるSparkトークンの将来性

信用とブロックチェーン

構造上の理由のため、「XRP Ledgerは真のブロックチェーンではない」と言われることがあります。これについて考えるまずブロックチェーンとはなんなのか、その定義から振り返ってみましょう。

日本ブロックチェーン協会によるブロックチェーンの定義

日本ブロックチェーン協会によるブロックチェーンの定義 を見ると狭義、広義の二つの意味でブロックチェーンという言葉が用いられることがわかります。

  1. (狭義)ビザンチン障害を含む不特定多数のノードを用い、時間の経過とともにその時点の合意が覆る確率が0へ収束するプロトコル、またはその実装をブロックチェーンと呼ぶ。
  2. (広義)電子署名とハッシュポインタを使用し改竄検出が容易なデータ構造を持ち、且つ、当該データをネットワーク上に分散する多数のノードに保持させることで、高可用性及びデータ同一性等を実現する技術を広義のブロックチェーンと呼ぶ。

前者の定義によると、XRPはブロックチェーンと言えません。XRPのヴァリデーターは互いに信頼を必要とし、「不特定多数のノード」ではないからです。ビットコインなどのPoW方式の経済的な動機付けによる不特定多数のノードの選択ではなく、事前に人間がスクリーニングしたノードのみを信頼します。

しかし、XRPは広義の条件ではブロックチェーンです。データ構造はビットコインと類似しており、また後半に言及されるデータもヴァリデーターをはじめとするノードが保持しています。このため、改竄検出のしやすさとデータの同一性という二つのブロックチェーンに求められることの多い要素はXRPに存在し、実用上影響はありません。

Ripple社によるXRPの保有

仮想通貨XRPは誕生した瞬間に上限の1000億XRPが発行され、新規発行はされません。 2017年12月時点で1000億XRPの内630億XRPはRipple社が保有していました。

この状態ではRipple社によるXRP大量売却による大幅な価格下落リスクがあるとし、Ripple社は保有分のうち550億XRPを自由に売却できないように(ロックアップ)し、2018年以降毎月10億XRPずつロックアップを解除していました。 ロックアップが解除された10億XRPはすべて売却されていたわけでは無く、その月に売却されなかった分については再びロックアップされていました。

しかし2019年にRipple社は取引額の明確化のためXRPの販売はOTCのみとすると発表し、2020年現在も販売はそのまま続いています。

関連リップル社のXRP販売額、前年同四半期比99%減

RippleとXRPの関係

XRPの主導者であるRipple社ですが、その会社が倒産したときにXRPがどうなるのかは多くの人が疑問に思い、そのためRipple社のXRPへの関与は厳しく監視されてきました。

2020年秋にアメリカでのXRPの有価証券性が話題となりました。ここで最大の焦点は「XRPの価値がRipple社の業績に影響するものか」でした。その場合、XRPの購入はRipple社の株を買うのと類似の行為となってしまうからです。

しかし、XRPは国境を横断するものであり、その性質上、仮にアメリカで証券とされても致命的ではないとRipple社は述べています。また、SBIの北尾社長も過去にインタビューで以下のように述べており、日本での採用は進むと考えられます。

(証券性の)審議が出るまでに数年要するとすれば、数年の間に実運用事例が飛躍的に進むと・・・そうなれば、「コインとか、証券だとかの議論」をすること自体がナンセンスになるでしょう。

その間に、プラクティカル・ユースはどんどん進んでいくと思います。

追記:米証券取引委員会(SEC)がリップル社を提訴し、現在XRPの売買に慎重になる動きが出てきています。 関連リップル訴訟とその後の動き

関連SBI北尾社長インタビュー『仮想通貨(ビットコイン)市場の将来性との展望』

XRPのネットワークが分散され、Ripple社の手から離れるほど証券性は小さくなるといえます。このことを踏まえてか、XRPの推奨UDLに含まれるヴァリデーターのうちRipple社の管理するものは少なく、将来的にはさらに分散されると発表されています。

XRPとRipple社には適切な距離感が求められるといえるでしょう。

XRPの将来性

XRPはコンセンサスを基にしたプラットフォームとして唯一無二の規模と潜在力を持っています。Ripple社のソリューションはXRPの特徴を利用したもので、金融機関向けの商品を中心に日本でも導入が進むと考えられます。スマートコントラクトの発展や業界との連携が進む中、今後の発展が注目されます。

注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
06/02 金曜日
15:59
札幌開催のWeb3カンファレンス「B Dash Crypto」、ピッチコンテストの結果は
Web3特化型カンファレンス「B Dash Crypto」が札幌で開催された。ピッチイベント「Crypto Arena」で優勝に輝いたのは、高速ブロックチェーンAptosとSuiで分散型取引所(DEX)アグリケーターとして機能する「Umi Protocol」だ。
13:13
オリーブオイル生産業者、DeFiプラットフォームでステーブルコイン建債券を発行
オリーブオイル生産業者ラマ・オリーブオイルは、分散型金融プラットフォーム「Obligate」を利用して、オンチェーン債券を発行した。この社債は、ユーロ連動のステーブルコイン「 EUROe」建で発行された。
13:02
米Circle社、USDCのアービトラムサポートを発表
ステーブルコイン「USD Coin(USDC)」を発行する米Circle社は、アービトラムのサポートを開始することを発表した。アービトラム上でUSDCが直接発行されることにより、裏付け資産の確保が約束され、いつでも1対1で米ドルと交換可能になる。
12:25
メイカーダオ、米国債への追加投資を検討
分散型金融プロジェクトの「MakerDAO」は、米国債への投資として新たに1,780億円の配分を目指す提案書の投票を開始したと発表した。0~6ヶ月間の各種満期を持つ米国短期国債の購入に充てられる目論みである。
11:45
Sui、F1チーム「オラクル・レッドブル・レーシング」と提携
Sui Networkは、F1チーム「オラクル・レッドブル・レーシング」の公式ブロックチェーンパートナーとして複数年契約を締結した。ファンとチームを結び付ける体験を支援していく。
10:25
米FRB、シルバーゲート銀行の清算に同意
米FRBは、米シルバーゲート・キャピタルとシルバーゲート銀行に対して、自主清算に同意する命令書を発表した。シルバーゲート銀行と仮想通貨業界のつながりについても指摘した。
09:35
ナイキ、米ゲーム大手EAと協業へ
Nikeとデジタルエンターテインメント企業EAは、新しいパートナーシップを締結。Web3プラットフォーム.SWOOSHのユーザーらの体験をカスタマイズできるようにしたり、向上させたりしていくという。
08:45
香港企業、米ドルステーブルコインをローンチへ
香港拠点のカストディ企業First Digitalは、仮想通貨の米ドルステーブルコインFDUSDをローンチすることを発表。FDUSDは、BNBスマートチェーンを基盤にするという。
08:15
デフォルト懸念後退 米国株反発、c3.aiは決算受けて大幅安
本日のNYダウは+153.3ドルと反発。ナスダックも+165.7ドルで取引を終えた。米下院が前日に債務上限法案を可決したことによって米国のデフォルトリスクは大きく後退している。
06/01 木曜日
21:40
Zaif、暗号資産FXサービス終了と「第一種金融商品取引業」の廃止を決定
暗号資産(仮想通貨)交換業者Zaifは1日、ビットコインやイーサリアムの暗号資産FXサービスの終了と「第一種金融商品取引業」の廃止を発表した。
15:29
AI のもたらし得る「深刻なリスク」に一部専門家が警鐘
「AIによる絶滅リスク」の軽減を訴える公開声明に、世界に名だたるAI技術の研究者や企業幹部ら350名が署名し、話題となっている。声明の主張には賛否両論あるが、AIについての議論の場を広げるものとして歓迎される。
15:10
Web3企業向けマーケティングツール「ソシャマ」リリース
ソーシャルマーケティング株式会社がWeb3企業向けのマーケティングSaaSツール「ソシャマ」の提供を開始した。仮想通貨やNFTを取り扱うWeb3事業者が抱える、ツイッターなどソーシャルメディア上でのマーケティングニーズに対応する。
12:32
英TP ICAP、機関投資家向け仮想通貨マーケットをローンチ
世界有数のインターディーラーブローカーTP ICAPは、ビットコインなど仮想通貨のスポット取引市場「Fusion Digital Assets」をローンチした。機関投資家向けで、分離運営モデルを採用している。
11:30
東京都政策企画局がデジタル証券発行支援を開始
東京都政策企画局は、デジタル証券(セキュリティトークン)発行支援事業の開始を発表した。これは、ブロックチェーン技術の広範な活用を促進し、スタートアップ企業の資金調達を多様化するための取り組みだ。
10:55
EU、包括的な仮想通貨規制案MiCAを正式承認
EUは、ビットコインなど仮想通貨に関する包括的な規制案「MiCA」を正式承認した。ステーブルコインに関する規定は2024年7月から、その他規定の多くは2025年から発効する予定である。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
重要指標
一覧
新着指標
一覧