CoinPostで今最も読まれています

リップル社事業説明会、仮想通貨XRPのニーズと日本市場の戦略が明らかに

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

暗号資産XRP(リップル)を開発するRipple社は18日、事業説明会を開催。 リップル社国際事業部門シニアディレクターの吉川絵美氏が登壇し、日本市場での戦略などについてプレゼンテーションを行なった。

Ripple社の概要とXRPの仕組み

米国に本社を構えるRipple社は、ブロックチェーンを活用し、摩擦の少ない国際送金体験を提供するテクノロジー企業。ビジョンとして「価値のインターネットの実現」を掲げている。

Ripple社の国際送金ネットワークである「RippleNet」を導入することで、金融機関は世界のどこでも、コスト効率よく、エンドツーエンドの可視性を保ちながら確実かつ即座に顧客の送金を実行することができる。

Ripple社は、現在サンフランシスコ、ワシントンD.C.、ニューヨーク、ロンドン、ムンバイ、シンガポール、サンパウロ、レイキャビク、ドバイを拠点として、アメリカン・エキスプレス、マネーグラム、スタンダード・チャータード銀行など、6大陸45カ国以上で300社を超える顧客にサービスを提供しており、全世界9拠点に450名以上の従業員を抱えている。

呼称が同じであることから、混同されがちなRippleとXRPの違いについては、資料を交えて説明した。

Ripple資料

国際送金の現状

国際送金の現状については、「グローバリゼーションで、国境を超えた人の動きやビジネスが加速している。移民人口の成長率は9%に及ぶ」と説明。先進国の1/3以上の中小企業が海外との取引を行なっていることを重要視。年間のレミタンス送金総額は、6000億ドル規模に達するとした。

既存の仕組みについて、以下の3点の問題点を挙げた。

  • 遅延:決済に3〜5日
  • 高コスト:非効率な処理システム
  • 低い信頼性:高いエラー率(国際送金の約6%)とコストの不確実性

吉川氏は「これらは途上国の移民にとって深刻な問題であり、例えば100ドルの送金時の手数料だけで14ドル(7%)に上る。低所得者であればあるほど、金融排除の方向に陥っている。」と指摘、懸念を示した。

SWIFTのような旧来の国際送金は、古い仕組みであることから「バケツリレー」のような逐次的な一方向のプロセスが問題視されているという。 そのため、必要以上に長い送金時間が掛かるほか、銀行間の手数料が高く、着金目処もわからないなど非効率だと言える。このような不透明な状況を打開するために「RippleNet」が生まれた。

RippleNet

RippleNetは、送金側と受け取り側の銀行取引において、リアルタイムにシンクロする取引を実現する。

これまでは、送金ネットワークの相互運用性がないことが最大の問題であったが、これを解消するものだ。

主要ベネフィットとしては、

  • スピード
  • 決済リスクの最小化
  • 透明性

が挙げられる。

吉川氏は、「国ごとに銀行送金ネットワークがあり、ペイパルのような送金ウォレットやアリペイのようなモバイル送金アプリも存在する。異なるサービス間で基本的に相互運用性はなく、閉ざされてしまっている。」と指摘。

Ripple資料

インターネット普及前にも同じような問題があったが、問題の解消と共にお互いが標準言語でやり取り出来るようになった。同じようなコンセプトを送金の世界に持ち込むべく、インターレジャー(異なる台帳をつなぐプロトコル)を活用する。

既存の国際送金システムである「SWIFT」が手紙だとすると、「RippleNet」はLINEのようなイメージで、RippleNetにおける双方向メッセージングと即時決済を可能にしたという。

国内送金・決済インフラの問題点

一方、国内送金・決済インフラの問題点についても指摘した。

公正取引委員会にも、全銀システムやCAFISなど、国内金融インフラシステムにおける「非競争的な慣行」による高コストが、フィンテックのイノベーションを阻害しているとして問題視されているという。

主な問題点は、以下の3点だ。

  • 中央集権的な仕組み
  • 高いコスト
  • 低い利便性

Ripple資料

オンデマンド流動性(ODL)

このような問題点を解消し、オンデマンド流動性(ODL)によりさらなる効率化を図るため、仮想通貨のXRP(リップル)が登場する。

これまでは、為替リスクやオペレーションのコストがユーザーに転嫁されていたところを、ODLにより事前の払い込みがなく、オンデマンドで瞬時に対応できるようになった。

「なぜXRP(リップル)が使われているのか?」という点については、「決済や送金の特性を兼ね揃えた暗号資産だから」と言及。ビットコインと比較した際の送金面での優位性についても説明した。

Ripple資料

グローバル戦略と日本における事業戦略

グローバル戦略については、現状の問題点を踏まえた上で以下の3点を強調する。

Ripple資料

1. 低額・高頻度の国際送金分野にフォーカス

SWIFTが苦手としている分野である、eコマースなどの市場が急成長中である点から高い需要が生まれている。

2. インフラパートナーとして金融機関を支援

Ripple社自身が送金プロバイダーとして事業を行うのではない。 競合ではなく、パートナーシップをとるものだ。

Ripple資料

3. オンデマンド流動性(ODL)の普及に注力

ODLについては、メキシコやフィリピンですでにローンチしているが、さらに色々な市場に広げたいという。

関連:リップル社のODL、対象地域さらに拡大へ

国ごとに規制や見方が異なるため、規制当局や暗号資産取引所との連携が重要だとした上で、インバウンド需要を見越して仕組みを作っている。

日本市場での事業戦略

Ripple社の日本市場での事業戦略は主に2つ。

需要拡大する「移民送金」にフォーカスし、かつ「国内外為替一元化」に取り組んでいる。

日本における国際送金ニーズの変化については、少子高齢化による労働力不足(外国人労働者の増加)、海外への業務アウトソーソングの増加(コロナ禍により加速)、個人または中小企業の越境eコマースの増加を挙げ、「国内送金にもリップルネットの技術を活用し、海外につないでいくこと」を目標に掲げている。

今現在最も注目しているのは「移民送金のニーズ」で、外国人労働者数推移を踏まえ、ベトナムやフィリピンなど、特に成長性の著しい国を支援しているとした。

スプリング(Xpring)について

スプリング(Xpring)は、XRPを活用した開発者のためのオープンソースの送金プラットフォームであり、関連製品やサービスを開発している企業に対し、投資やインキュベート、M&Aなどのサポートを行う。

Ripple資料

ユースケース例としては、ウェブマネタイゼーション(マイクロペイメント)のほか、「ゲームプラットフォームエコノミー」として、ゲーム内で使用可能なポイントとしてXRP(リップル)を活用する事例にも言及した。実現すれば、ゲーム内だけで完結せずゲーム外で取引可能なインセンティブとなり得ることから、極めて興味深いユースケースと言える。

先日公開されたSBIホールディングスの決算資料では、SBIが擁する「eSprtsチーム」の報酬にXRP(リップル)を活用する案が記載されており、若年層の多いゲーム業界での暗号資産(仮想通貨)の活用事例にも注目が集まりそうだ。

関連:仮想通貨ファンドは20年夏募集開始予定、eSports選手年俸にXRP支給検討=SBI決算説明会

一方、スプリング(Xpring)において、日本のデベロッパーの中で参加しているところはあるのか?という質問に対しては、スタートアップの会社や個人のエンジニアが興味をもってハッカソンなどに参加したりはしているが、現在は欧米が主流だと言及。日本企業は今後開拓していくとしている。

CoinPost質問内容

ー決済領域でCBDCなどステーブルコインの研究・開発が進むにつれ、XRPの役割と競合する部分もあるのではとの指摘もあります。この点について、Ripple社としてどのような見解をお持ちでしょうか。

CBDCやステーブルコインについても、ブリッジ通貨としてのXRPは競合ではなく補完的な関係にあり、お互いにデジタルであることによって、さらに相乗効果が生まれると考えています。

XRPは法定通貨を代替するというよりは、法定通貨やそのデジタル版の変換をより効率化することを目指しているため、これらの新たなプロジェクトは共存するものであると考えています。

:Ripple 国際事業部門シニアディレクター Emi Yoshikawa(@emy_wng
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
04/27 土曜日
08:00
半減期後のBTCのリターン、Nansen主席アナリストが分析
半減期後の仮想通貨ビットコインのリターンを、ブロックチェーン分析企業Nansenの主席リサーチアナリストが分析。半減期後250日までが最もリターンが高いという。
07:30
円安158円台に、米ハイテク株高 来週FOMC金利発表|金融短観
本日の米国株指数は反発。エヌビディアやアルファベットなど大手IT株がけん引役となった。前日発表の米1-3月期GDPは予想を下回って悪材料となっていたが、昨夜発表の米3月PCEデフレーターはほぼ予想通りだった。
05:55
パンテラ、FTXの仮想通貨ソラナを追加取得
FTX破産財団はこれまですでにロックアップされた仮想通貨SOLの約3分の2を手放した。その多くは4年後に完全にアンロックされる見込みだ。
04/26 金曜日
14:22
「ミームコインは危険なカジノのよう」米アンドリーセン・ホロウィッツCTOが警鐘鳴らす
米大手VCアンドリーセン・ホロウィッツの エディ・ラザリン最高技術責任者は、ミームコインを「危険なカジノ」に例え、仮想通貨エコシステムから「本物の起業家」を遠ざける可能性があると主張した。
14:00
米FBI、マネロン防止ルール非遵守の仮想通貨サービスに注意喚起
米連邦捜査局は、マネーロンダリング防止基準を遵守していない仮想通貨送金サービスを利用しないよう、アメリカ国民に対して呼びかけた。
12:55
BTC半減期後に最初に採掘されたSatoshi、3億円超で落札
仮想通貨ビットコインの半減期後に最初に採掘されたSatoshiがオークションで3億円超で落札。Ordinalsの誕生によって、今はレア度の高いSatoshiに需要が生まれている。
12:32
ビットコインの反騰失速、ブラックロックのETF(IBIT)への資金流入が初めて途絶える
暗号資産(仮想通貨)市場では、自律反発のビットコインが日足50SMAを抜けられず再反落。ブラックロックのビットコインETF「IBIT」への資金流入は、ローンチ後71日間で初めて途絶えた。
10:15
著名な「Buy Bitcoin」のサイン、1.6億円で落札
「Buy Bitcoin」と書かれた著名な法律用箋が、オークションで1.6億円で落札された。仮想通貨ビットコインで入札され、正確な落札価格は16BTCである。
09:40
フランクリン・テンプルトンの600億円規模「BENJI」トークン、P2P送信可能に
米大手資産運用企業フランクリン・テンプルトンは、米国政府マネーのトークン化ファンドFOBXXで資産のピアツーピア送信を可能にしたと発表した。
08:30
強気相場継続の兆しか? パンテラが新たな仮想通貨ファンドで1500億円以上調達計画
2024年の仮想通貨相場感が2023年から好転しておりVCの調達案件も着実に増えている状況だ。昨日、野村グループのLaser Digitalが主導するラウンドで、zkSync Era基盤のWeb3ゲーム開発会社Tevaeraは500万ドルを調達した。
07:35
ETHの証券性巡りConsensysがSECを提訴
仮想通貨イーサリアムは証券ではないとの判断などを裁判所に要請するため、 Consensysが米SECを提訴。同社は事前にウェルズ通知を受け取っていた。
07:15
米SEC、イーサリアム現物ETF申請を非承認する可能性高まる
イーサリアム現物ETFの米国での承認は不透明。SECとの一方的な会合や訴訟の影響で、2024年後半までの承認延期が予想されETH今後の価格に下落圧力がかかっている状況だ。
06:50
米Stripe、ソラナやイーサリアムでUSDC決済を導入予定
Stripeは2014年に初めて仮想通貨ビットコインの決済を導入した経緯がある。しかしその4年後の2018年にビットコインのバブル崩壊を受け同社はその取り組みを中止した。
05:50
モルガン・スタンレー、ブローカーによるビットコインETF勧誘を検討
最近の仮想通貨ビットコインETF資金流入状況に関しては昨日、ブラックロックのIBITが1月11日ローンチ以来初めて資金流入がゼロとなり、71日連続の流入記録が終了したことが確認された。
04/25 木曜日
17:42
ワールドコイン、仮想通貨WLDのトークンセールを計画
Worldcoinが個人認証に基づくベーシックインカムプロジェクトの拡大へ、機関投資家限定で暗号資産(仮想通貨)WLDのプライベートセールを計画。市場価格に近い価格で提供し、転売禁止やロックアップ措置を導入する。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/04/25 ~ 2024/04/26
東京 国立新美術館
2024/04/27 10:30 ~ 20:00
東京 東京都渋谷区
2024/04/27 10:30 ~ 20:00
東京 東京都渋谷区
重要指標
一覧
新着指標
一覧