ビットコインの大型アップデート「Taproot」マイニングプールの9割が賛同へ
大型アップデート「Taproot」BTCマイニングプールの91%が賛同
仮想通貨ネットワークのスケーラビリティ(拡張性)改善などの効果が見込まれる、ビットコインの大型アップデート「Taproot」について、ハッシュレート(採掘速度)を担うマイニングプール内、9割が賛同。議論が順調に進んでいることがわかった。
Taprootは、暗号資産(仮想通貨)の基盤となる暗号を署名するシュノア署名とMAST(Merkelized Abstract Syntax Tree=マークル化抽象構文木)などを含むビットコインネットワークの大型アップデート案だ。
主な利点としては、ビットコインのブロックサイズの縮小、スマートコントラクト機能の導入により、スケーラビリティ改善やプライバシーの向上が挙げられている。
シュノア署名とは
送信先が単独である場合にトランザクションの署名をまとめることが可能となる技術。データサイズ削減や、ブロック内の署名データサイズ縮小による、ネットワークのスケーラビリティ改善効果が主に期待されている。
ビットコインのアップデートのプロセスは通常「Bitcoin Improvement Proposal(BIP)」へ追加された後、大きく「提案→採択→導入」の3段階に分けることができる。
昨年12月末時点には、大手仮想通貨取引所バイナンスが運営するマイニングプール、これまで合否を表明していなかったバイナンスプールが賛同を表明。Taprootのアップデート案は現在、導入の方法を検討している段階にある。
ハッシュレートの約10%を担う大手マイニングプールで同意を示したのはバイナンスプールが最後で、関連するマイニングプールの内、91%がTaproot導入に合意したことになる。
今後の決定事項
Taproot導入において、現在議論が進んでいるのは、その導入方法だ。
アップデートの方法には複数の提案がされており、主にBIP8やBIP9を元にした提議が多い。 類似点は多いものの、導入方法へのアプローチが異なっている。
特にBIP8では大きく「Flag Day」と呼ばれる期限日を過ぎた場合はフルノードで強制的にアップデートを導入するBIP8(True)とマイナーなどから100%の賛同が得られない場合は協議を続けるBIP8(False)があり、マイナーやノード運営者からの協力がカギとなりそうだ。
そのほかにはマイニングプールの95%の承認を要するTapRoot開発者AJ Townes氏の提案やTap Rootのコードレビューを担当するMatt Corallo氏の提案などがある。
現段階でTaprootの実装期間は定まっていないものの、ビットコイン開発者のJonas Nick氏は海外仮想通貨メディアCoinDeskに対してTaprootの施行は年内に始まるとの見方を示している。
ネットワークの渋滞改善への効果
20年12月中旬に過去最高値(All Time High=ATH)を更新するなど、昨年秋頃から強気相場に転じているビットコイン市場。
ビットコインなどの仮想通貨はその性質上、取引急増の影響でネットワーク渋滞が発生しやすいが。直近の価格上昇に乗じて、メムプール(Mempool)は複数回に渡って高水準に達していた。
メムプール(Mempool)とは
ネットワーク上で新しい取引が承認され、ブロックチェーンに記録される前段階の記録場所。 メムプールの増加はネットワークの渋滞(送金詰まり)を示唆する。渋滞時には取引の承認時間も通常より長くなり、手数料も増加する傾向がある。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します