NFT(非代替性トークン)市場規模拡大で数億円超の取引も、課題点はコピープロジェクト乱立か
NFTの取引が急増
NFT(非代替性トークン)のマーケットがかつてない活発さを見せている。分散型アプリの分析などを行うDappRaderによると、NBA Top SHotやCryptoPunksといったゲームの取引高のほか、マーケットプレイスOpenSeaの取引高が急増。3プロジェクトの合計取引高は、2月に3億4200万ドル(約365億円)に達した。
最も高額な取引は、デジタルアーティスト「Beeple」による作品がNigty Gateway上で取引された際の660万ドル(約7億円)だった。そのほかにも直近では、起業家イーロン・マスク氏の妻であるGrimes(アーティスト名)が自身の作品のNFTを販売し、約600万ドル(約6億4000万円)を売り上げたとされる。
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NFTは、Non-fungible Tokenの頭文字を取ったもので、アートやネットゲームなどのデジタル資産への利用が進んでいる。NFT化されたアート作品などは、その所有権がブロックチェーン上に記録され、所有者であることや、その作品の真贋性などを証明することが可能だ。これまでコピーや複製の対策が難しかったデジタルコンテンツの市場拡大を担う存在として注目されている。
取引高でトップ3に入ったNBA Top Shotは、米国のプロバスケットボールリーグNBAの選手のプレイ動画などをNFT化したトレーディングカードゲーム、CryptoPunksはデジタルアート作品のプロジェクト。OpenSea(オープンシー)はそれらのNFTを売買可能な最大手のNFT取引所(マーケットプレイス)だ。
CryptoPunksプロジェクトは当初、個数の限られた作品群を無料で配布することでスタートしたが、入手の困難な作品には高い値が付くなどして徐々に人気を集めた。DappRaderによると2月の販売額は7900万ドル(約84億円)を超え、過去最高を更新している。
乱立するプロジェクト
NFTマーケットの盛り上がりを受け、問題のあるプロジェクトも登場しているという。
バイナンスの独自チェーン、バイナンス・スマートチェーン(BSC)上のプロジェクトであるBinance PunksはLarva LabsによるプロジェクトであるCryptoPunksに非常に類似したものであると見られ、DappRaderは以下のように指摘した。
議論の余地はあれど、このプロジェクトはBSCのエコシステムにおける現状について議論を巻き起こしている。BSCのエコシステムがイーサリアムのプロジェクトのコピーに強く依存しているように思われることにある。
CryptoPunksに限らず、HashmasksやEuler Beatsといったイーサリアム上で成功を収めているプロジェクトをコピーするプロジェクトが登場しているという。
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