米FRBパウエル議長、デジタル通貨(CBDC)の主要原則を語る

デジタル通貨の主要原則と、FRBの取り組み

米連邦準備理事会(FRB)のJerome Powell議長が、バーゼル銀行監督委員会が主催した「決済のフロンティアを推進する」と題する会議に出席、閉会にあたってスピーチを行った。この中で、中央銀行デジタル通貨(CBDC)についての取り組みと、主要な原則を語っている。

原則として「CBDCは柔軟で革新的」な決済システムで、「現金やその他のお金と共存する必要がある」と、Powell議長は述べた。これは、国際決済銀行や連邦準備制度などから成る中央銀行グループの報告書から引用されたものだ。

また、連邦準備制度は新たな技術の役割を検討しており、CBDCについても実験に取り組んでいると議長は説明。ボストン連邦準備銀行がマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者と協力して補完的な取り組みを行ってもいるという。

議長は以前より「デジタルドルは慎重に検討する」と繰り返しているが、2月には「優先順位が高いプロジェクト」であるとも発言。今回FRBやMITの取り組みに言及したように、技術や制度の検討には着実に取り組んでいるようだ。

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国際決済の改善にあたっては民間セクターにも期待

今回の会議の副題は「より速く、安く、透明で包括的な国際決済に向けて」というものであり、そうした決済を実現する可能性があるものの一つとしてCBDCに言及された。

その上で「グローバルな決済システムの改善は、公共部門だけでなく、民間部門からももたらされる」とPowell議長は会議の内容を確認。次のように述べる。

民間セクターは、一般市民の金融システムへの関わりを改善するインフラを開発するための経験と専門知識を備えている。金融サービスのデジタル化は、特に銀行口座を持たない人々が多い国や地域で、金融包摂を促進するのに役立つ。

国際決済の課題解決に向けてCBDCの検討を進めるが、その他に民間部門とも協力していく姿勢が窺える。

Powell議長は、既存の決済システムの問題点として「マネーロンダリング防止・テロ資金調達対策の要件に準拠する難しさ」、「タイムゾーンをまたいだ決済管理の難しさ」「ある地域では、まだ旧式テクノロジーに依存していること」などを挙げている。こうした問題は、国際取引のコスト上昇にも繋がっているという。

金融安定理事会(FSB)のロードマップ案

2020年、G20は金融安定理事会(FSB)に、国際決済を改善する方法についてロードマップの作成に取り組むよう要求した。

FSBが2020年10月に発表したロードマップ案には、CBDCについても盛り込まれている。

それによると、2021年7月までは、国際決済銀行の決済・市場インフラ委員会はIMFなどと協力して各国のCBDC設計や実験の棚卸しを行い、国際決済に使用できるかという面でも検討。国際的なCBDC決済が国際金融にもたらす意味についても分析するという。

その後2022年にかけて段階的に、各国CBDCを相互接続して国際決済に使用する方法の検討、実践的・技術的課題の評価、CBDCの相互接続実験、関連する国際会議の開催を行うことなどが構想されている。

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