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日銀黒田総裁「この春からデジタル通貨(CBDC)の実験を開始する」FIN/SUM2021で言及

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

日銀総裁が明言

黒田東彦日銀総裁は16日、日本経済新聞社と金融庁主催のフィンテックカンファレンス「FIN/SUM(フィンサム)2021」に登壇。フィンテックについて語るなかで、日銀が主導して開発を進めるCBDC(中央銀行デジタル通貨)について、「この春からは、いよいよ実験を開始する予定です」と言及した。

日銀がCBDCの実証実験を開始することは2月の時点でNHKなどが報じていたが、今回、黒田総裁が改めて明言した格好だ。なお、「現時点でCBDCを発行する計画はないとの考え方に変わりはありません」とし、CBDCについて一貫した姿勢を貫いている。

「準備しておくことが重要」

黒田総裁はCBDCについて、現時点で発行予定はないとする従来の日銀の立場を強調する一方、次のように見解を述べた。

決済システム全体の安定性と効率性を確保する観点から、今後の様々な環境変化に的確に対応できるよう、しっかり準備しておくことが重要であると考えています。

将来、CBDCが必要になった時点で初めて検討を開始するということでは適切でないとの考えは、海外の中央銀行においても共有されています。

発行を前提として実証実験を行うのではなく、既存の決済システムの代替手段として、今後状況が変化したときのための「準備」であるとする立場を明らかにした。

NHKの報道によると、日銀はこの春から行われる実証実験を第一段階として位置付けており、民間企業との連携を図っていくという。

内容としては、取引履歴を記録するための台帳をシステム上に構築するなどし、デジタル通貨の発行・流通における基本機能を確認していくというもの。第一段階は一年ほどの時間をかけて行われ、その結果を踏まえたうえで、次の実現可能性を検証する第二段階に移行する構えだ。

関連:日銀 、2021年春にデジタル通貨(CBDC)の実証実験へ=NHK

導入には数年かかるとの見通しも

20年11月、日本銀行の元決済機構局長の山岡浩巳氏が、CBDC導入には様々な課題があるため、日本が発行する場合、準備に数年かかるとの見解を示したとロイターが報じている。

山岡氏は課題の1つとして、民間銀行の預金から多額の円が出金される可能性を指摘。その上で、「デジタル円」を実現するにはこうした様々な課題に対する対策を講じる必要があると述べた。

日銀決済機構局長の神山一成氏も、実際の導入には非常に高度な判断が必要になるとの見方を示し、発行の難しさを指摘している。

関連:元日銀局長「デジタル円の発行には数年かかる」 =ロイター

世界の事情は

インド準備銀行は3月、「貨幣と金融に関する報告書」と題したレポート内でCBDCについて、「CBDCを必要な時に運用できるよう準備しておく必要がある」とする立場を明らかにした。前述の黒田日銀総裁が明かした日銀の立場と同じものだ。

関連:インド準備銀行、デジタル通貨(CBDC)の利点とリスクを考察

また、昨年12月、トルコ中央銀行総裁を務めるNaci Ağbal氏が議会で「デジタル通貨の研究開発プロジェクトが開始された。現在、このプロジェクトはコンセプトのフェーズが終了」したとし、2021年下半期でのパイロットテストの開始を目標としていると発言したと現地メディアで報じられた。

米国では大手金融グループ「シティグループ」のMichael Corbat CEOが、投資ファンドCarlyle Groupの創設者、David Rubenstein氏との対談において、CBDCについて世界中の政府と取り組んでいると明らかにしている。

この分野で世界を牽引しているといっても過言ではない存在が中国だ。開発を進めるデジタル人民元(DCEP)の大規模な実証実験を深セン、蘇州や北京などの都市で複数回行っている。

2月初旬に北京で行われた150万ドル(約1.5億円)規模な実証実験では、デジタル人民元を処理するATMやカードベースのハードウェアウォレットも使用された。

関連:中国・北京に「デジタル人民元」のATM登場、CBDC実証実験で

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