トルコで急拡大した「ビットコイン需要」 自国通貨リラ急落が背景か
トルコでビットコイン需要
トルコにおける暗号資産(仮想通貨)ビットコインのグーグル検索数が22日、一時的に4倍ほど急上昇し、世界の取引価格に対して大幅な上方乖離するプレミアム価格が発生したことが確認された。背景には、トルコの法定通貨リラの急落にあると見られる。
週明けの為替市場でトルコリラは早朝に急落。対ドルで一時前週末比17%あまり下落、対円でも15%安となり、約3カ月ぶりの安値水準を記録した。
エルドアン大統領が20日、金融引締政策を掲げていた中央銀行総裁を更迭したことで、利下げへの懸念や政治リスクが強まり、投資家が嫌気した。
週末にトルコのエルドアン大統領が、アーバル中銀総裁を更迭したことが判明。
2020年11月の就任したばかりのアーバル前総裁は、リラ下落の要因であるインフレを抑制するために、相次いで利上げに踏み切っていたため、当時市場が好感し、リラは大幅に回復していたが、利上げが景気後退をもたらし得るとするエルドアン大統領がアーバル氏を辞任させたことで再び金融緩和に転換するとの見方が広がった。
中銀総裁の更迭は過去2年弱で3度目で、中央銀行の独立性に対する信頼感への不信感も募っている状況だ。
一方、新総裁となったカブジュオール氏は21日の初声明で、早期利下げの可能性を否定し、物価の安定を重視する姿勢を示している。
仮想通貨の役割
トルコでは、自国資産の変動率が高いことを背景に、ビットコイン等の仮想通貨に資産逃避する流れが盛んな点が指摘される国としても知られる。インフレが再び続き得るリラに対するヘッジの需要が高まり、資金を逃しやすいビットコイン(BTC)の需要が高まったと見られている。
リラ建てのビットコインプレミアム価格は、CoinGeckoのデータによると、BTC/TRYペアでは22日に史上最高値を更新(484,250TRY)。米ドル換算で62,000ドル超となり、BTC/USD比で一時8000ドル近く上方に乖離する値動きが確認されている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します