米マイアミ郡、仮想通貨導入の実効性見極めるタスクフォース設立案を検討
クリプト・タスクフォース設立案
暗号資産(仮想通貨)に前向きな動きが進む米フロリダ州のマイアミ・デイド郡で、新たな進展が見られた。
15日に公開された覚書によれば、同郡のDanielle Cohen Higginsコミッショナーが暗号資産(仮想通貨)タスクフォース(作業部会)の設立を要請したことが判明。マイアミ・デイド郡における税金や手数料などの支払いの決済手段として、仮想通貨導入の実行可能性を1年にかけて調査することが主な目的だ。
また同郡で「税金、料金、サービスの支払い方法として、仮想通貨やその他のデジタル通貨」を受け入れた際の諸コストの特定や、郡にとって有益な仮想通貨関連の政策イニシアチブの提言も同時に行う。
一方、タスクフォースはあくまでアドバイザリー的な立ち位置でマイアミ・デイド郡を代表して、ポリシーを約束したり金銭的な義務を負うことはできないという。
マイアミ・デイド郡はビットコイン(BTC)で納税や市の公務員への給与支払いを行うマイアミ市を郡庁に置くフロリダ南東部の地域。また、3月末には地元のNBAチーム「マイアミ・ヒート」の命名権を仮想通貨取引所FTXに渡す合意に到達するなど、仮想通貨に対して理解ある施策を進めてきている。
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仮想通貨タスクフォースの提案はまず郡のインフラ・オペレーション・イノベーション委員会で検討された後、可決されれば5月4日にマイアミ・デイド郡の行政委員会で投票が行われる。実現した場合、タスクフォースは結成から1年以内に解散することとなる。
仮想通貨都市目指すマイアミ市
マイアミ・デイド郡の郡庁でフロリダ州の主要都市でもあるマイアミ市は仮想通貨に友好的な施策を進めている。
マイアミ市のFrancis Suarez市長は20年12月下旬に市の財務資産の一部にビットコインを組み入れる構想を披露し、2月にはマイアミ市委員会で可決。市職員がビットコインで給料を受け取ることが可能になったほか、市民が市の関連手数料や固定資産税をBTCで支払うことも可能となった。
また、Suarez市長はウィンクルボス兄弟とのインタビューで「地球上で最も仮想通貨で競争力のある都市」を目指す構想も語っており、マイアミ市における仮想通貨受入れは2021年に入り急速に進んでいる状況にある。
マイアミ市は仮想通貨規制で先陣を切ってきたワイオミング州やニューヨーク州などの規制事例を参考に、仮想通貨企業の誘致戦略を進めてきた。
さらに、州単位では安価な電力コストを誇るケンタッキー州やテキサス州が仮想通貨マイニングに関する法案を検討、可決しており、米国では各州が仮想通貨規制を独自で進む事例も目立つ。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します