小型原子炉でビットコインマイニング、米企業が計画
原子力スタートアップOkloとCompassが提携
米暗号資産(仮想通貨)マイニング企業Compass Miningが、原子力エネルギーのスタートアップであるOkloと20年間にわたる提携契約を結んだ。
両社は提携を通じて、仮想通貨マイナーが使用するエネルギー源の多様性と持続可能性を向上させるために、小型原子炉をマイニングに活用していく姿勢を示している。
米カリフォルニアを拠点とするOkloは、小規模な組織に電力を供給するためのマイクロリアクター(ミニ原子炉)の開発に取り組んでいる企業。
提携プロジェクトの正確な開始時期はまだ未定だが、最初の段階は2020年代から実施され、OkloがCompassのビットコイン(BTC)マイニングマシンに、少なくとも150メガワットのクリーンエネルギーを供給する予定だという。
Okloによると、その高度な核分裂発電所は、燃料を補給することなく最大20年間電力を生成し続けることができる。また従来の原子炉から出る廃棄物を燃料として再利用することで、ウラン資源を有効活用し、最終的な使用済み燃料の量を減らすことにもつながるという。
Okloは、従来のような大規模な発電所ではなく、大学のキャンパス、大企業、また今回の場合のように仮想通貨のマイニングファームに電力を供給することができる、小型で無人運転可能な原子炉を計画している。
まだ実際に商業的に稼働しているわけではないが、2020年には米国原子力規制委員会に、原子炉の建設について申請した。
Okloの創設者でCEOの、Jacob DeWitte氏は次のようにコメントした。
クリーンエネルギー技術を普及させる上で、仮想通貨マイニングは有望な適用事例になる。当社は、信頼性が高く費用効果の高い電力を提供することで、企業からの需要に対応していく用意がある。
安全面には懸念の声も
Oklo社のミニ原子炉は自立型であり、人間のオペレーターが付いている必要もないという。ただ、人間の監視なしでミニ原子炉を運転することについては、専門家からの批判もある。
原子力技術の安全性について調査する組織「Union of Concerned Scientists」の原子力安全担当責任者、Edwin Lyman氏は米メディアCNBCに対して次のように語った。
非常に小さな原子炉であっても、破壊工作が行われれば大きな問題となるだけの放射性物質を含んでいる。こうした小型原子炉のどれも、オペレーターなしで稼働させられるほど安全であることを実証していない。
また使用する燃料を「盗まれないように厳重にガードしなければならない」とも付け加えた。
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します