韓国の野党、仮想通貨課税を緩和する法案を作成中
仮想通貨への課税を緩和する法案
韓国の野党議員は、暗号資産(仮想通貨)への課税について、施行時期と対象金額を変更する法案を作成しており、早ければ12日にも提出する見込みだ。The Korea Heraldが報道した。
経緯として、洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政部長官が6日に、「施行がさらに延期されれば国民の信頼を失う」ことになるなどとして、仮想通貨への20%課税を、2022年1月から開始する意向を表明したことがある。
これに対して野党「国民の力」の議員らは、仮想通貨への課税開始をさらに1年遅らせて2023年からにすることと、課税基準額の変更を提案した。
現在の課税法案では、年間250万ウォン(約23万円)以上の利益を得た者に20%の税金を課すことになる。野党議員らは、5,000万~3億ウォン(約470万円~約2,800万円)までの利益に対して20%、3億ウォン以上の利益に対して25%の税率を課すという改正案を作成している。
国民の力党のCho Myoung-hee議員は次のように説明した。
仮想通貨の法的定義が曖昧な時期に、先に税金を課すのはおかしい。仮想通貨投資家が不利益を被らないように、課税対象とする基準を、金融投資所得税のレベルまで緩和することを目指す。
9月25日に多くの取引所が閉鎖
韓国では、9月25日より仮想通貨取引所を対象として施行された厳しいルールのために、多くの取引所が閉鎖を余儀なくされた。
仮想通貨と仮想通貨の取引を提供するためには、政府機関から情報セキュリティ管理システム(ISMS)認証を取得する必要があり、法定通貨取引の提供には、銀行と提携してユーザーの実名口座を準備することが求められている。
この結果、ISMS認証に申請したが期限までに取得できなかった13社と、ISMS認証に申請しなかった23社を合わせて、計36の取引所が25日に閉鎖されることになった。
国際的な規制機関FATFの策定した「トラベル・ルール」を遵守することも、新ルールの目的の一つだ。
トラベル・ルールとは
FATF(金融活動作業部会)が提唱するマネーロンダリング等防止のための国際的な電信送金に関するルールのこと。暗号資産サービスプロバイダー(VASP)には取引の際、送金者と受取人の情報を収集・交換し、その情報の正確性を保証することが求められる。対象となるVASP間の仮想通貨送金で、国際的な本人確認(KYC)ルールが適用されることになる。
▶️仮想通貨用語集
ユーザー資金を返還手続き中
韓国金融情報院(FIU)によると、ISMS認証を取得できなかった13の取引所のユーザー預り金41億ウォン(約4億円)のうち、これまでに約20億ウォン(約2億円)が利用者に返還されたという。一部の取引所では、サーバーのトラブルでユーザー預金の返還が遅れているとされる。
新ルール施行の時点で、通常通りに営業を続けられるのは、韓国の仮想通貨取引の大半を扱う、Upbit、Bithumb、Coinone、Korbitの大手4社のみである。
このうちUpbitは、6日から順次、顧客の身元確認手続きを行っているところだ。またKorbitも、今月中に顧客確認の手続きを開始する予定だとしている。
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します