欧州理事会、EUの仮想通貨規制案について公式見解を採択
MiCAについての公式見解を発表
欧州理事会は24日、EUを統一する暗号資産(仮想通貨)規制案「MiCA」についての公式な見解を採択した。これにより、理事会は欧州議会とこの法案について交渉を行い、合意に達すれば、両機関はこの規制を正式に採択する見込みだ。
MiCAとは、「Market in Crypto Assets(仮想通貨市場規制案)」の略で、EUが2020年9月に発表した包括的な仮想通貨規制案である。今年6月に行われた改訂では、NFT(非代替性トークン)を規制対象外としており、EU域内を対象に仮想通貨サービスを提供する企業は、拠点をEU加盟国内に置くことが提案された。
10日に欧州委員会のMairead McGuinness委員が、MiCAについて今年の秋に合意するよう、EU加盟国に呼びかけていると明かしたところだ。今回の動きにより、その目標に向けて、一歩前進した形である。
「欧州議会との迅速な合意を望む」
欧州理事会は今回、MiCAと同時に「Digital Operational Resilience Act(デジタル運用レジリエンス法、略称DORA)」への公式な立場も採択。DORAは、デジタル事業について、何か問題が発生した時のシステム復旧に関する規制枠組みを構築するもので、サイバー攻撃の防止・軽減も目標としている。
公式声明によると、欧州理事会は今回の提案について、欧州議会と迅速な合意に達することを望んでいるという。MiCAの狙いについては「金融安定性を維持し投資家を保護しながら、イノベーションを促進し、仮想通貨の可能性を引き出す市場の規制枠組みを作成すること」だと改めて説明した。
ステーブルコインに厳格な対応
欧州理事会は特に、ステーブルコインについて厳格な方針を取ることを提案している。ステーブルコインの発行者には、他の仮想通貨発行者よりも厳しい要件を課すべきだとした。
ステーブルコインの金融安定性や通貨主権に対するリスクを規制するための専用規則を策定することも提案している。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIやUSTといったアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
▶️仮想通貨用語集
公式声明で欧州理事会は、仮想通貨、ユーティリティトークン、ステーブルコインのもたらす恩恵を次のように説明した。
- 仮想通貨と関連ブロックチェーンは、安価で迅速な国際決済、中小企業の新たな資金調達方法、より効率的な資本市場などをもたらす。
- ユーティリティトークンは、分散型ブロックチェーンネットワークの利用を促進する役割を果たす。
- ステーブルコインは、モビリティ、エネルギー、製造分野のコンピューターネットワークにおける決済を支えることができる。
一方で、これらはリスクも伴うため、適切に規制・監督されるべきであると述べている。
ユーティリティトークンとは
特定のサービスを利用するための権利として機能する、実用性のあるトークンのこと。商品や食事などの代金を現金に代わって決済できたり、保有していることでクラウドストレージにアクセスできるなどの例がある。
▶️仮想通貨用語集
NFTはMiCA規制の対象外
欧州理事会は、NFTについてはMiCA規制の対象にはならないと改めて見解を示した。
NFTの他にも「製品保証や不動産」など、物理的な資産を表現するトークンや、無料または特典として提供されるデジタル資産、国際通貨基金などの国際組織間の取引もMICAの規制対象外にすることを提案している。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します