はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

欧州中銀理事「ビッグテック企業のステーブルコインがもたらしうるリスク」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビッグテック企業とステーブルコイン

欧州中央銀行(ECB)のファビオ・パネッタ(Fabio Panetta)理事は8日、ビッグテック企業のステーブルコイン発行が、金融システムに与えうるリスクについてのスピーチを行った。イングランド銀行(英中銀)主催G7会議の一環である、パネルディスカッションで披露されたものだ。

パネッタ理事は、Google、Amazon、Facebook、Apple(GAFA)などのグローバルなテクノロジー企業(通称「ビッグテック」)の能力と、ステーブルコインが結び付いた場合のリスクについて論じている。

ステーブルコインとは

価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIやUSTといったアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。

▶️仮想通貨用語集

パネッタ理事は、次のように状況を説明した。

ビッグテックは金融サービスを提供し始めており、その事業規模、巨大な顧客基盤、独自情報を入手できることを考慮すると、市場におけるグローバルプレイヤーとしての役割がますます大きくなっている。

一方、暗号資産(仮想通貨)やステーブルコインなどのデジタル資産は急速に成長しているが、これまでのところ、決済での利用や普及状況は限られている。

もし、大手企業がグローバルなステーブルコインを発行するようになれば、この2つのトレンドが出会い、世界の金融市場の機能を変化させることになるかもしれない。

大手企業が、そのアプリや電子商取引プラットフォームなど、大規模な既存ユーザーベースを利用してステーブルコインを流通させた場合、グローバルレベルで急速に普及する可能性があると主張する格好だ。

そうした構造的変化によってもたらされるリスクは、急激で破壊的なものになる可能性があり、関連する動きを注意深く監視する必要があるとした。

関連仮想通貨ディエムのウォレット「Novi」、米国のほぼ全州で認可を取得

国際協力で規制する必要性

パネッタ理事は「最初はイノベーションと金融包摂を促進するかもしれないが、ビッグテックが市場での優位性を乱用すれば、最終的には競争を阻害する可能性がある」とも続けている。

例えば、ビッグテックの事業規模は巨大であるため、彼らがステーブルコインを大規模に発行すれば、その裏付け資産が多く必要になる。その調達圧力により、銀行など従来型金融機関の資金調達コストが上昇してしまう可能性があるという。また、データ保護などセキュリティの問題も浮上するとした。

理事は、こうしたステーブルコインのリスクを軽減する明確な規制・監督の枠組みを構築するために、関係機関が国際的に協力していくことが必要だとしており、関連するグローバル政策フォーラムを設置することも提案している。

「CBDCがデジタル金融に安定もたらす」

さらに理事は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)が、ステーブルコインのリスクなどに対応できる可能性も示唆した。営利企業ではない中央銀行が提供するCBDCは「金融仲介者間の公平な競争の場を促進しつつ、慎重に導入されるだろう」と意見する形だ。

理事は、CBDCが「デジタル金融のエコシステムに安定性を与える」可能性を実現するために、国際的に協力してCBDCの原則を整理していくことを歓迎するとの姿勢も示した。

関連中央銀行デジタル通貨(CBDC)とは|ビットコインとの違いと主なメリット

CBDCとは

各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。

▶️仮想通貨用語集

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/09 火曜日
13:35
米XRP現物ETF、全期間で純流入を記録 約1459億円に到達
米XRP現物ETFが上場以来全期間で純流入を記録し、約1,459億円に到達。仮想通貨ETF史上2番目の速さで8億ドルを突破し、機関投資家の継続的な買いが続いている
13:20
カナダ税務当局、仮想通貨利用者の4割が未申告と推定
カナダ歳入庁が過去3年間で仮想通貨関連監査により1億カナダドル以上を徴収したが、2020年以降刑事告発は行われていない。同庁は仮想通貨プラットフォーム利用者の40%が未申告または高リスクだと推定している。
12:50
『ガス先物市場』、ヴィタリックがイーサリアム手数料を安定させるアイデアを披露
仮想通貨イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏がガス代先物市場を提案した。将来の手数料をヘッジ可能にする構想であり、コミュニティ内で議論が活発化している。
11:45
米大手銀行CEO、上院議員と仮想通貨市場構造法案を協議予定 ステーブルコインの利息付与に反対表明へ=報道
バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ウェルズ・ファーゴのCEOが9日、上院議員と会談し仮想通貨市場法案を協議する。銀行側はステーブルコインへの利息付与に反対し、仮想通貨分野での競争能力確保を求める姿勢だ。
11:23
テザーのUSDT、アブダビで「法定通貨参照トークン」認定範囲が拡大 9チェーン追加
テザーのUSDT、アブダビで法定通貨参照トークンの認定範囲を拡大。新たに9つのブロックチェーンで規制業務が可能に。USDC、USD1、RLUSDも承認済み。UAEがステーブルコイン規制拠点として台頭。
10:22
マイケル・セイラー氏、国家主導のビットコイン銀行システムを提案
ストラテジー社のマイケル・セイラー会長がアブダビで、ビットコイン担保型の高利回りデジタル銀行システムを各国政府に提案。20兆〜50兆ドルの資本流入を見込むが、価格変動性への懸念も。中東の全政府系ファンドと会談を実施。
10:00
ハイパーリキッド・ストラテジーズ、最大約47億円規模の自社株買い実施へ
仮想通貨ハイパーリキッドの財務企業ハイパーリキッド・ストラテジーズは、最大約47億円規模の自社株買いを実施すると発表。延期や中止の可能性もあるが最大で12カ月間実施する計画である。
09:40
アルゼンチン中銀、民間銀行による仮想通貨取引の解禁を検討か=報道
ビットコイン支持のミレイ政権下で、アルゼンチン中央銀行が民間銀行による仮想通貨取引サービスの許可を検討中だと伝えられる。実現すれば普及が促進される可能性もある。
09:35
UAE初、イスラム系銀行ルヤがビットコイン投資サービスを開始
UAE拠点のイスラム銀行ルヤが8日、仮想通貨インフラプロバイダーのフューズと提携し、モバイルアプリを通じてビットコイン投資サービスを開始した。イスラム系銀行として初めて顧客にBTCの売買を可能にする。
08:15
PLUMEとJUPITERがコインベースに新規上場、機関投資家向けアクセスも提供
米コインベースが12月9日にプルームとジュピターの現物取引を開始する。RWAトークン化のプルームとソラナ系DEXアグリゲーターのジュピターが新規上場し、機関投資家向けアクセスも利用可能になる。
07:55
SECがOndoへの捜査を訴追なしで終了、トークン化証券のハードルをクリア
トークン化プラットフォームのオンド・ファイナンスが、バイデン政権下で開始されたSECの捜査が訴追なしで終了したと発表した。トークン化証券が米国資本市場の中核となる時期が到来したと同社は期待。
07:15
仮想通貨投資商品、先週は1110億円超の資金が純流入
仮想通貨投資企業CoinSharesは、デジタル資産投資商品全体の先週の資金フローは約1,116億円の純流入だったと報告。ビットコイン、XRP、チェーンリンクの投資商品の需要が高かった。
07:02
ビットコイン担保をデリバティブ市場で使用、米CFTCがトークン化パイロットプログラムを開始
米CFTCがビットコイン、イーサリアム、USDCなどのデジタル資産をデリバティブ市場で担保として使用するパイロットプログラムを開始した。トークン化担保に関する新たなガイダンスも発行している。
06:25
ストラテジーが約1500億円でビットコイン押し目買い、7月以来の規模に
マイケル・セイラー率いるストラテジーが先週約10億ドルで10624BTCを追加購入した。7月以来の大口購入となった。
06:02
リップルの780億円資金調達、異例の年10%リターン保証で株式売却 投資家ヘッジに応じて=報道
ブルームバーグによると、リップルが11月に実施した5億ドルの株式売却で、投資家に3〜4年後に最低10%の年間リターン保証で未上場株式を売却する権利を提供していた。企業価値は400億ドルと評価されている。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧