北米大手ビットコイン採掘企業、ナスダックにSPAC上場
マイニング企業、SPAC上場果たす
北米の大手暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)マイニング企業Core Scientificは20日、ナスダック上場を発表した。Power & Digital Infrastructure Acquisition Corp社による買収成立により、SPAC(特別買収目的会社)合併上場を実現した。
SPACは米国で注目を集めている上場手法。「空箱上場」とも呼ばれており、ペーパーカンパニーが既存企業を買収することで、上場プロセスを早める狙いがある。
SPACとは
「Special Purpose Acquisition Company」の略称で、「特別買収目的会社」や「白地小切手会社」と訳される。その企業自体は特定の事業を有さず、未上場企業の買収を行うことを目的とする。
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Core Scientificは米テキサス州の州都オースティンに拠点を置くマイニング企業。ジョージア、ケンタッキー、ノースカロライナ、ノースダコタ州などに大規模な採掘拠点(データセンター)を構える。
21年7月にSPAC企業のPower & Digital Infrastructure Acquisition Corp(XPDI)との買収契約を締結していた。米時間20日に契約が確定し、ティッカー「CORZ」で取引を開始した。
Core Scientific社は21年12月末時点で、67,000台のASIC機器を保有。2021年4Q(10月〜12月)には2,498BTCの採掘に成功しており、企業の保有量は5,296BTCを記録している。
ナスダック上場について、Core ScientificのMike Levitt CEOは、「北米最大のマイニング企業として、引き続き生産能力を向上させていく」と説明。ビットコイン・ネットワークの安定性に貢献し、「長期的な株主価値の創出」に焦点を置くと語った。
環境負荷も考慮
また、2017年に設立したCore Scientific社は9月末時点では消費電力の約50%以上が二酸化炭素(Co2)に寄らない電力源から起因すると発表。カーボンオフセットも購入していることから、カーボンニュートラル(排出量実質ゼロ)を実現しており、長期的には再生可能エネルギーの利用率を向上する予定だ。
再生可能エネルギーは水力、風力、原子力、地熱など環境負荷の少ない発電方法から生産されたエネルギー(電力など)の総称。国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)のサスティナビリティの観点から近年重要度が増している。
特に、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)を採用するビットコイン・ネットワークのエネルギー利用は度々懸念を集めており、2021年には年間消費電力が国家水準に達する統計も出たため、批判の的となった。
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ESG投資への注目度も高い米国では、このような懸念の声が規制当局からも挙げられており、ブロックチェーン業界は啓蒙活動の一環として「ビットコイン採掘評議会(BMC)」を21年5月に設立。Core Scientific社も設立メンバーとしてテスラ社のイーロン・マスクCEOを交えた初期ミーティングに参画していた。
昨日、イーロン・マスク氏と北米を代表するビットコイン・マイナーらと会議を行った。業界のエネルギー利用の透明性向上と持続可能なイニシアチブを促進するためにビットコイン採掘評議会の創設を決定した。
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