三菱UFJ信託銀行、優待等を対象としたNFT「Progmat UT」とデジタルアセット用ウォレットサービス開発開始
NFT技術を用いた新サービス開発へ
三菱UFJ信託銀行株式会社は21日、ブロックチェーンやNFT(非代替性トークン)技術を応用したProgmat UT(プログマユーティー)サービスとデジタルアセット用のウォレットサービスの開発を開始したと発表した。
Progmat UT
Progmat UTの「UT」は、「ユーティリティトークン」に由来する。特定のアセット(株主優待、ポイントなど)や権利(会員権、優遇サービスの利用権など)をNFTとして発行することで、ブロックチェーン上で一意かつ代替不可能なデータとして記録することが可能となる。
ユーティリティトークンとは
ユーティリティトークンとは、特定のサービスを利用するための権利として機能する、実用性のあるトークンのこと。商品や食事などの代金を現金に代わって決済できたり、保有していることでクラウドストレージにアクセスできる。ユーティリティトークンの場合は、監査報告は必要ない分類となる。
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これまで紙媒体で管理してきた資産・権利のアナログな処理を排除し、デジタルによる、より効率的な「発行」「利用」「移転」「管理」ができ、以下のような価値を提供することができると説明する。
- 利用都度券面を持参する必要がなく、スマートフォンがあれば一元的な手元管理のほか、随時権利行使が可能
- 異なるアプリケーションサービスを跨いで、個人間で柔軟に譲渡することが可能
各種権利(役務等)の利用者に向けて
- 券面の印刷や紙管理、配送等に伴うコストを極小化
- UTの利用状況や移転状況について、リアルタイムで把握が可能
- 譲渡制限等をUTにプログラムすることで完全に統制することも可能
各種権利(役務等)の提供者に向けて
NFTの特徴を活用したプラットフォームを提供することで、利用者側は柔軟な権利の利用が可能となり、サービスの提供者側は快適で無駄がない運用を実現できる。
ウォレットサービス
今回のProgmat UTの開発にあたって、デジタルアセット用ウォレットサービス「Token Wallet」「Token Manager」の提供も予定されている。
Token Walletは、各種デジタルアセット保有者(主にサービスの利用者)に向けたモバイル版ウォレットアプリとなっており、自身が持つST(セキュリティトークン)やSC(ステーブルコイン)、UT(NFT)などの資産を保管できるサービスとして機能する。
Token Managerは、STやSC、UTを発行する企業など(サービス提供者)に向けたWebアプリとなっており、これによって配布したアセットの利用状況や移転状況等の確認が可能となる。
両アプリとも、2022年内に「β版」がリリースされる予定で、始めはUTを対象とした実証実験に向けて活動する見込みとなっている。
これまでの動き
三菱UFJ信託銀行は、以前よりブロックチェーン関連の動きを見せている。
同社が提供する、ブロックチェーン技術を活用した金融取引プラットフォーム「Progmat(プログマ)」は、2019年11月に、STO(セキュリティトークンオファリング)の迅速な社会実装・普及を目指して、ケネディクス株式会社、株式会社SBI証券、および野村證券株式会社らが協業して設立した「ST研究コンソーシアム(SRC)」に採用されたことで知られる。
現在、SRCは2022年4月に、より幅広いアセット(SCやUTなど)に係るエコシステムの共創を目指す「デジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)」に改組される予定。
関連:SBI証券など4社がSTOで協業、三菱UFJ信託銀行のブロックチェーン基盤「Progmat」活用
その変更を裏付ける形で、今月8日には、デジタル証券の決済などへの利用を目的とした、Progmat基盤のSC(ステーブルコイン)型デジタル通貨「プログマコイン」の発行が国内メディアによって報道されている。
関連:三菱UFJ信託銀行、ステーブルコイン型のデジタル通貨発行へ=報道
そして今回発表されたProgmat UTにより、Progmat上ではST、SC、UTが扱われる格好となる。
同社は、UTサービスを利用することで、投資対象に関連する特典・権利(非金銭的対価)の付与が可能としており、ST投資において以下のような付加価値を提供できるという。
- ST投資家(兼ファンユーザー)に向けて
- ST発行体企業(兼各種権利提供者)に向けて
自分自身のUT利用や、自分では使いきれない場合等にUTを譲渡した他者の利用を通じて、投資対象の価値の向上に繋がり、保有するSTのリターンとして還元されることで、Win-Winの関係性を築くことが可能
投資を入口にエンゲージメント(“同じ船”意識)の高い顧客基盤を構築できるため、従来のマーケティングにおいて認知・関心の獲得と維持に要していたコストを極小化
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