無担保型ステーブルコインUST(TerraUSD)の価格が急落、仮想通貨市場で懸念広がる
ステーブルコインUSTとテラの状況
Terraform Labsが発行するステーブルコイン「TerraUSD(UST)」は7日、一時0.985ドルまで価格が下落した。
米ドルとのペグ(1UST=1USD)が崩壊すれば、準備金として保有するビットコイン(BTC)への影響やUSTを担保にするDeFi(分散型金融)への波及も考えられることから懸念が広がっている。
過去24時間で13億6000万ドルの出来高を記録し、暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスでは、記事執筆時点で約0.996ドルで取引されているところだ。これに伴い、USTを支えるテラ(LUNA)も約10%価格が下落。約8,500円(約65ドル)の値を付けている。
DeFi(分散型金融)大手でステーブルコインDEX(分散型取引所)としても知られるCurve.Financeでも、多くのUST保有者がUSDCなど他のステーブルコインに取り替える動きが見られた。
ステーブルコインとは
ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドル等に裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIやUSTといったアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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USTの仕組み
USTは、ステーブルコインの中でも米ドルの裏付けではなく、アルゴリズムにより、米ドルとの1対1の価値を維持している無担保(アルゴリズム)型トークンの一種。
1ドル相当のLUNAが、常に1USTと交換できるような仕組みが構築されている。ユーザーは、LUNAトークンをバーン(焼却)することと引き換えに、USTを始めとするステーブルコインを鋳造することが可能。逆に、USTをバーンしてLUNAを鋳造することもできる。
また、仮に仮想通貨市場が暴落して、こうした仕組みがうまく機能しなくなった場合のため、準備金も用意されているところだ。
TerraUSD(UST)のビットコイン(BTC)準備金を購入し保有する役割を担っている団体Luna Foundation Guard(LFG)は4月6日、時価285億円相当で、5,040枚のビットコインを買い増ししたと発表しているが、価格維持のために準備金を投じる事態になった場合、これも売り圧力となるおそれがある。
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現時点で原因は不透明
USTのペッグが外れかけている原因について、Tronが5日にUSTと類似したアルゴリズム型ステーブルコイン「USDD」をローンチしたことや、過去数日間でUST預金がTerraのAnchor Protocolから大量に引き出されていたことなどが指摘されている。
Anchor Protocolは、テラのブロックチェーン上で提供されているDeFiレンディングプロトコルだ。
これについて、USTの公式Twitterアカウントは、DeFi起業家Pedro Ojeda氏の説明を引用した。「87%のAnchor Protocolユーザーは預金を引き出すなどの動きを取っていない。少数のクジラ(トークン大量保有者)が、大量の資金流出の背景にある」という。
また、Web3.0について詳しいConor Bronsdon氏は、USTのペグが緩んだ原因について推測した。
Luna Foundation Guard(LFG)がビットコインを買い増した際に、バイナンスでUSTの流動性が増え、USTを獲得したユーザが、それを売却したり、高い利子を得ることのできるAnchor Protocolに資金を移動させるなどしていたのではないかとしている。
また、今回の出来事は意図的な攻撃だったのではないかと見る向きもある。ブラジルの仮想通貨業界団体GEMMA Ecosystemの法務担当者Caetano Manfrini氏は「今日のTerra・Luna・USTへの攻撃は、計画的に行われたものだった」と述べた。
CurveとバイナンスでのUST売却は少数の者によると主張している。
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