USTショックの余波、エルサルバドル債務問題などに懸念波及も
仮想通貨市況
13日のニューヨーク株式市場は、ダウ平均株価が前日比466.36ドル(1.47%)高、ナスダック総合指数が前日比434.04ドル(3.82%)高と、買い戻しが先行した。
前週末の米主要3指数がそろって上昇したことを受け、東京株式市場でも日経平均株価が反発した。
足元で大幅続落していたことでグロース株の上昇が目立った格好であるが、依然として景気減速及びリセッション(景気後退)への警戒感は根強くあり、市場の不確実性は高まったままとの見方が強い。
前週急落していた暗号資産(仮想通貨)市場も反発した。ビットコイン(BTC)は前日比+1.86%の390万円(30,247ドル)に。
12日13時頃に一時25,338ドルまで下落した後、翌13日に3万ドル台を回復。16日時点でも3万ドル台を維持しているが、不安定感は否めない。
ウォール・ストリートジャーナルなどが報じたところによれば、暗号資産(仮想通貨)の急落によって、エルサルバドルが公的資金を使って大量保有するビットコイン(BTC)の価値が大幅に落ち込み、財政逼迫によるデフォルト(債務不履行)リスクが高まった。6月15日には、外貨建て債3825万ドルが期日を迎える。
エルサルバドルは21年9月にビットコインを法定通貨化したが、これまでに行なった1億ドル以上の投資資金は2/3ほどまで減少したとみられる。
エルサルバドルは、国際通貨基金(IMF)からの資金調達を確保できない可能性があり、5月初めには米格付け会社ムーディーズが、エルサルバドルの債務格付けを「ジャンク」に格下げした。
UST関連情報
先週は、ステーブルコイン市場時価総額3位まで成長していたアルゴリズム型ステーブルコイン「TerraUSD(UST)」が、米ドルと1:1のペッグを外れ、価格維持の仕組みで共存関係にあった関連通貨のテラ(LUNA)と共に崩壊。暗号資産(仮想通貨)市場に多大な影響をもたらした。
関連:無担保型ステーブルコイン 「TerraUSD」が対米ドルで一時前日比40%下落
テラの非営利組織であるLuna Foundation Guard(LFG)は今年1月以降、価格維持のための準備金として80,394BTC(35億ドル/4000億円相当)を備蓄していたが、この資金が実際にどこまで機能したかについては不透明さも残る。
結果的には、価格維持の目的を果たせず、USTのドルとのデペッグを防ぎ切ることは出来なかった。
米The Blockの報道によれば、12億ドルを超えるビットコイン準備金はLFGによって未計上のままだ。LFGは9日時点で、USTの緊急支援のため7億5000万ドル相当のビットコインをOTC(相対)取引会社に貸し付けることを発表したが、準備金の行方について説明不十分との指摘がある。
関連:LFG、テラUSD(UST)の救済視野に1,000億円規模の資金調達か=報道
バイナンスのChangpeng Zhao CEOは15日、UST/LUNAの重要インシデントに関するテラチームの対応について「非常に失望した」と述べ、苦言を呈した。
「説明責任を果たした上で、今後の計画を立て、積極的に連絡を取り合っていたAxieInfinity運営とは対照的だった」と指摘した。CZ氏は、テラ・ネットワーク復元の上、余分に大量鋳造されたLUNAのバーン(焼却)、USTのドルペッグを回復するよう要請したが、ツイート時点ではプロジェクトチームから有効な回答は得られていないという。
Binance Labsは、Terraform Labsの初期支援者であり、2018年には3,200万ドルのシードラウンドを主導したとされる。他の出資者には、Coinbase Ventures、Polychain Capital、Pantera Capital、Hashedが含まれる。
一方、CZ氏は、資金調達の第2ラウンドには参加せず、USTも取得していないと主張した。
関連:仮想通貨テラ関連のLFG、約2,000億円のビットコインを買い増し
Do Kwon(@stablekwon)氏は、depegの中でLFGのBTCリザーブ使途について文章化の最中と言及しており、関連動向が注目される。
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