ビットコインは売り一服の様相、200週線の走る2.24万ドルに注目|bitbankアナリスト寄稿

今週(17日〜24日)の仮想通貨相場

国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。


目次
  1. ビットコイン・オンチェーンデータ
  2. bitbank寄稿

ビットコイン・オンチェーンデータ

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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)

17日〜24日レポート:

先週のビットコイン(BTC)対円相場はほぼ横ばいで2万ドル(≒272万円)を巡る攻防を繰り広げている。

3万ドル割れから下げ足を速め、一時はドル建てで2017年高値を割り込んだ今月のBTCだったが、先週末には売り一服の様相となり、イーロン・マスク氏が「DOGEを支援し続ける」とツイートしたことで、アルト主導でBTCも反発。一旦は2.1万ドル水準の284万円で上値を抑えられたが、渦中のCelsiusのCELトークンがショートスクイーズを起こし急騰すると、BTCも連れ高となり2.1万ドル乗せに成功した。

しかし週央に差し掛かると、リッチモンド連銀のバーキン総裁が、7月の政策金利引き上げ幅は「50〜75ベーシスポイント(bp)が妥当」と、パウエル議長の発言を支持したことで相場は反落。その後、パウエル議長の議会証言で「ソフトランディングは非常に困難」であり、米経済がリセッション(景気後退)に入る可能性を否定しなかったことで不安定な値動きを演じるも、2万ドル水準でBTCは耐えた。

議会証言2日目もリセッションに関する発言が出て米株が押す場面があったが、米市場後半にかけてディフェンシブセクターの指数が反転。これにつられてBTCも反発すると、若干のショートスクイーズを伴って2.1万ドルを回復した。

【第1図:BTC対円チャート(1時間足)】出所:bitbank.ccより作成

マーケットにとって今週の峠とも言えたパウエル議長の議会証言を通過し、やや材料出尽くし感で戻している印象もあるが、景気後退が着々と意識され始めており、原油をはじめとした一部コモディティの価格や米長短金利は今週、急落している。23日の米株式市場では、景気後退時でも需要が比較的安定する公益事業や生活必需品といったディフェンシブなセクターの株価が上昇し、市場が身構える様子がうかがえたが、リスク資産のBTCは案外確りと推移した。

来週は米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として参照する米個人消費支出(PCE)の5月分データが発表される(30日)。5月は消費者物価指数(CPI)が4月から上昇したことで、FRBの利上げペースが加速するという観測が台頭し市場にとってネガティブサプライズとなった。実際に6月のFOMCでは75bpの利上げが実施され、来月も利上げペースが緩む可能性は低そうだ。

ただ、市場ではこうしたシナリオの織り込みは進んでおり、むしろ来年の早い段階で利上げサイクルが終わるとの予想も金利先物市場からはうかがえ、ある程度のPCEの上振れは許容範囲内と言った具合か。

やや手掛かり難に陥りそうな印象もあるが、200週線の走る2.24万ドル(≒301万円)を週明けまでに回復できなければ、2週連続で週足が同水準を割り込むこととなり、テクニカル的なセンチメントは悪化しそうだ。

寄稿者:長谷川友哉長谷川友哉(ハセガワ ユウヤ)
英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。

関連:bitbank_markets公式サイト

前回のレポート:引き続きダウンサイドに警戒、22〜23日のパウエル議長発言も注目

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