今週(11日〜17日)の仮想通貨相場
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
6月11日(土)〜17日(金) 週次レポート:
先週のビットコイン(BTC)対円相場は上値の重い展開。対ドルでは2年3ヶ月ぶりに200週線を週足終値で割り込んだ。
前週の5月米消費者物価指数の上昇を受けたリスクオフムードが週明けのアジア市場にも波及し、BTC相場は週明けから下げ一色で300万円を割り込んだ。2.1万ドル水準で一度反発するも戻りは鈍く、Coinbaseの人員18%削減の報道なども市場のセンチメントを萎縮させると、米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に警戒ムードが強まり、相場は2万ドル水準にタッチ。
一方、FOMCでは利上げペースが75bpに加速したが、年末時点の見通しが予想以上に引き上がらなかったことや、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が来月の会合では利上げ幅を50bpに戻す可能性もチラつかせ市場に安堵感が広がると、BTCや米株はリリーフラリーで反転。ただ、買いは翌日のアジア時間には一巡し米株先ものが急反落を演じるとBTCも連れ安となり反落。再び2万割れドルを試す展開となり、その後はハッシュレートの急落もあってか同水準を下抜けた。
ただ、週末にはイーロン・マスク氏がDOGEの支援を続けるとツイートし、DOGEをはじめアルトコインが反発。BTCも遅れて反転すると、週足終値では2万ドル水準を回復した。
米CPIの上振れにより市場は急速に75bp利上げを織り込み、それ以上のタカ派サプライズがなかったこともリリーフラリーを巻き起こした切っ掛けと言える。ただ、市場に必要なのは米国のインフレが抑制され低下する確証であり、これが掴めるまで身動きの取りにくい状況が続きそうだ。
他方、足元の相場下落とハッシュレート頭打ちに伴ってか、マイナーから取引所へのBTC送金量が増加しており、相場の上値を抑える一因になっていると指摘される。現状打開には相場の急激な回復でマイニングの収益性を向上させるか、ディフィカルティを極端に低下させ競争率を下げなければ需給バランスの改善はし難いだろう(第2図)。
理想を言えば、FOMCで相場が2万ドルを割り込みハッシュレートも低下する展開が綺麗な底入れシナリオとなり得たが、市場は無難にFOMCを通過し、ハッシュレートも一時は200Ehash/sを割り込んだが週末に回復しており、このままだと相場の戻りを狙ったマイナーの換金売りが入りやすいと言える。
また、流通するBTCの黒字割合を表すPercent Supply in Profit(PSP)も底入れを示す50%に肉薄しているが、PSPの50日移動平均は50%台後半で推移しており、底入れが近いことを示唆する一方で、それにはもう一段と相場が安くなる可能性も示唆している(第3図)。
以上のことから週末のBTC相場2万ドル割れがセリングクライマックスだったとは依然として言い難いだろう。FOMCの結果を消化して売り一服の様相を呈しているが、節目の2万ドルを巡りグズつくシナリオが視野に入る。ただ、今週は22日と23日にパウエルFRB議長の議会証言も控えており、これを切っ掛けに相場が動く可能性にも注意したい。
引き続き、ダウンサイドへの警戒を怠れない状況が続きそうだ。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回のレポート:先週のビットコイン相場は下抜け試す展開、FOMCと経済見通しの焦点は