今週(3日〜10日)の仮想通貨相場
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
3日〜10日レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は小幅に上昇し、本稿執筆時点では400万円をわずかに回復している。ただ、今週は外国為替市場でドル円相場が急伸しており、BTCの価格形成を主導するドル建て相場はほぼ横ばいとなっている。
前週から引き続き、BTC相場は上下に往って来いを繰り返す展開となっており、揉み合う展開が一月ほど続いている。今週はBTC対ドルの週足が続落記録を9で止め、週明けの中国株式市場の上昇を追い風に、ショートカバーを伴って390万円から410万円付近まで上昇。その後、米証券取引委員会(SEC)が、BNBが証券に該当する可能性を調査し始めたとの報道を受け、BNB主導でBTCも急落。しかし、この下げでシカゴマーケンタイル取引所(CME)のBTC先物が窓埋めに成功すると、BTC相場は元の390万円水準で下げ止まった。
週央に差し掛かると相場は反転し420万円をトライ。昨年末から業界で注目されていたシンシア・ルミス米共和党議員が中心となって作成した、暗号資産(仮想通貨)の新規制法案(Responsible Financial Innovation Act、RFIA)が好感された。一方、直後の中国市場で株価が急落を演じるとBTC相場も失速。3万ドル水準となる402万円周辺で相場はサポートされつつも、欧州中央銀行(ECB)の7月からの利上げ決定や、米国の消費者物価指数(CPI)発表を目前にリスクオフムードが広がり、足元では同水準の下抜けを試す展開となっている。
5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)にて、6〜7月の50ベーシスポイント(bp)利上げについて言及され、夏までに米国の政策金利が2%に達することは市場でも織り込まれていたが、このところ複数の当局者が夏以降も利上げのペースを緩めない意向を示している。10日の米CPIも勿論重要ではあるが、来週のFOMCでは経済見通し概要が更新されることから、年末までのより具体的な金利引き上げペースのヒントを掴むことができる。
前回3月の見通しでは、22年末時点の金利見通しの中央値は1.9%だった。この水準より想定値が引き上がることはほぼ確実と見ているが、どれだけ上がるかが焦点だ。セントルイス連銀のブラード総裁は3.5%まで金利を引き上げるべきと発言したが、これは年末までの残りの各FOMC会合で現行の50bp利上げペースを続けた場合の年末時点での政策金利誘導目標レンジの上限となる。よって、今回の経済見通しでは、年末時点のFOMCメンバーの想定金利中央値が3.5%以下に止まるかが焦点となるだろう。
最も、物価指標から上位と下位の要素を取り除いたトリム平均PCEインフレ率は、ダラス連銀が算出するもので4月は3.8%となっており、年末までの間にさらに低下することを仮定すれば、来週のFOMCで極端にタカ派なサプライズが出る公算は低いと推測され、市場の警戒ムードも巻き戻すか。
関連:bitbank_markets公式サイト
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