中国上海市、メタバース開発支援で2,000億円ファンド設立へ

2,000億円規模でメタバース支援を計画

中国の上海市は先日、メタバースなど技術産業への支援を強化する計画を発表。メタバース開発に特化した約2,000億円(100億元)規模のファンド設立も予定しているという。

中国政府は、中国経済の不況後の回復を先導する役割を上海に要請しており、今回の計画はこれに応えたものである。

上海市政府関係者の記者会見によると、「メタバース」の他、「低炭素プロジェクト」や「スマートターミナル産業」の開発支援も行う構想がなされている。この3つのセクターを合わせると、2025年までに約30兆円(1兆5,000億元)の規模になると予想されている。

約100億元のメタバースファンドは、10社の大手企業と100社の中小企業を育成することを目指す。2025年までに少なくとも100の「ベンチマークとなる製品とサービス」を発売できるようにしたいという。

メタバースとは

インターネット上に構築された、多人数参加型の3次元仮想現実世界のこと。アバターを使い、様々な楽しみ方ができる。例えば、『The Sandbox』というゲーム内のメタバースでは、ボクセルアート制作ツールやゲーム制作ツールが提供されており、ユーザーはそのなかで自作のゲームや施設を作ることができる。

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上海市経済情報技術委員会のWu Jincheng委員長は、会見で次のように述べた。

メタバースやスマートターミナルなどの産業は、新しいビジネス形態やモデルを、絶え間なく促進していくと予想される。

メタバースは、実体経済における様々な産業の転換とアップグレードを推進していくだろう。

なお、「スマートターミナル」は主に、VRヘッドセット、スマートホームガジェット、ロボット、スマートカーなどの様々な端末を指している模様だ。

メタバース支援の詳細

メタバースについて、具体的には主に以下のようなプロジェクトが構想されている。

  • 重要技術ブレイクスループロジェクト
  • デジタルIP市場開拓プロジェクト
  • 産業用メタバース実証プロジェクト
  • デジタルヒューマン総合力強化プロジェクト
  • 業界をリードする企業の誘致・育成
  • 人材育成

重要技術としては、3Dモデリング、コンピュータ支援設計、グラフィックスや画像エンジンなどが挙げられている。こうした分野に関連する先進的な企業や、基礎理論を形成する研究機関を支援するという。

デジタルIPについては、デジタル形式の資産、芸術作品、映画や著作権のコンプライアンスメカニズムを改善し、リスク監督を強化していく予定だ。アーティストの制作・取引なども支援する。

デジタルヒューマン総合力強化については、人間とコンピュータの知能の相互作用体験を向上させることが目的。デジタルマーケティング、オンライントレーニング、ライブEコマース、エンターテインメント、コンサルティング等の場面でデジタル人材の活用を推進していくという。

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