重要局面の7月FOMC通過で仮想通貨全面高、買い戻し優勢に
仮想通貨市況
27日の米株式市場では、ダウが前日比436ドル(1.4%)高、ナスダックは前日比469ドル(4.0%)と大幅反発した。
27日の連邦公開市場委員会(FOMC)では、FRB(米連邦準備制度)が満場一致で0.75%の利上げを発表。フェデラルファンド金利の目標範囲を2.25〜2.50%に設定したが、これは織り込み済み。
金利先物市場では、27日昼時点で通常の3倍となる0.75bps利上げが72.7%、1.00bps利上げは27.3%と予測がされていた。
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前回の金融引き締め局面は15年12月。2008年に発生した過去最大級の金融危機であるリーマン・ショック後の大規模な金融緩和政策を正常化するために行われた。
事実上のゼロ金利政策を解除し、その後約3年かけて2018年までに0.25%の利上げを計9回実施。最終的に年2.25%~2.50%に引き上げられた。その点、今回の利上げ幅は、22年3月に0.25%、5月に0.5%、6月に0.75%、7月に0.75%と異例のペースで進行中である。
インフレ高進要因としては、コロナ禍における大規模金融緩和政策の正常化のほか、ウクライナ情勢を巡るロシアへの経済制裁及び報復措置が指摘される。原油や天然ガスなどのエネルギー高は市民生活にも深刻な影響を及ぼす。
パウエルFRB議長の記者会見では、「9月FOMCで同様の利上げ(0.75%)を実施することはあり得る」とした上で「いずれ利上げペースを落とすことになる」と、ここへきて金融引き締めの緩和を示唆したことが好感された。
これに伴い、ドルと米10年債利回りが下落したことで米株指数が上昇。暗号資産(仮想通貨)市場でもビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)が連れ高となった。
金融機関関係者からは「依然タカ派的」だと懐疑的な声が上がる一方、約2年間の過剰流動性局面からの急な方向転換で抑圧され続けた市場では、買い戻し理由を探っているようにも見受けられる。
次回会合までのインフレ指数のデータ次第だとして先の判断は据え置いた。40年ぶり水準で高止まりするCPI(米消費者物価指数)が反落するなど、金融引き締めによる一定の抑制効果が求められることは明白だろう。
米株指数の上昇を受けリスク資産全般が買われ、暗号資産(仮想通貨)市場ではビットコインは前日比8.5%高の314.3万円(23,264ドル)、イーサリアム(ETH)が前日比13.9%高と大幅反発した。
悪材料出尽くしで底入れシグナルが出始めていたところに、FOMC前の手仕舞い売りで調整が入っていたことからショートカバー優勢となったものとみられる。市場全体のリスクオンで、主要アルトも全面高となった。
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PoS(プルーフ・オブ・ステーク)移行を伴うイーサリアムの大型アップグレード「The Merge(ザ・マージ)」を今年9月に控える中、ETHが先行指標となって相場を牽引する構図は、弱気相場からのトレンド転換時に発生する傾向にある。
DeFi(分散型金融)相場が本格化した2020年夏(①)や、BTCが3年ぶりに最高値を更新しアルトシーズンが再来した2020年冬〜2021年春(②)は、イーサリアムが相場を牽引した最たる例と言える。
資産運用会社CoinSharesの週次レポートによれば、先週までにアルトコインの金融商品に対する月間総流入額は、1億3700万ドルのプラスに転じた。今月の純流入3億9,350万ドルの内、35%のシェアを示した。
アルトコインの全体時価総額を示す「ALTCAP」チャートはすでに長期の下降抵抗線をブレイクしており、潮目が変わったとの見方もある。
シティグループのアナリストAyoub氏は、アルゴリズム型ステーブルコイン「Terra(UST)」及び関連トークンLUNAエコシステムの崩壊によって引き起こされた”流動性”ストレスの兆候が消えるにつれて、負のスパイラルはピークアウトした可能性があるとの見解を示した。
大手ヘッジファンドThree Arrows Capital(3AC)や融資企業セルシウスが破綻したほか、債券トークンstETHの過剰なディスカウントが解消され、急激レバレッジの解消フェーズはやがて終焉を迎えた。
Ayoub氏によれば、セルシウスは破産時に401,000stETH以上を保有しており、6月24日時点で本来1.00になるはずのstETH/ETHの通貨ペア価格は一時0.87まで下落した。
依然として高い相場の不確実性及びインフレ懸念やリセッション(景気後退)リスクが燻る中、トレンド転換と判断するのは早計であるが、これまでと異なる相場の底入れシグナルは少なからず確認され始めているとの見方もある。
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