シンガポールの仮想通貨融資企業Vauldに債権者が訴訟提起
Vauldの財務再構築
シンガポールの暗号資産(仮想通貨)取引・融資プラットフォームVauldに対して、複数の債権者が督促状を出すなどの民事訴訟を起こしたことが27日に明らかになった。
なお、シンガポール法では、裁判所が債権者による申立人に対する法的措置や手続きを制限する「モラトリアム命令」を出せる。
本件でも、裁判所はVauldに対して、債権者リストを作成して訴訟に関する賛成者数を確認するよう指示。これに対応して、Vauldの共同創設者兼CEOのDarshan Bathija氏は7月27日に裁判所に供述書を提出した。
その結果、Defi Payments(Vauld親会社)の債権者総数約147,000人のうち、7月26日までに回答した債権者は2,910人で、2,280人が民事訴訟を支持し、188人が反対していることが分かった。供述書によると、申請を支持している一人の債権者は約350万ドルの返還を求めている。
提訴について、Bathija氏は「債権者による民事訴訟は7月25日までに提出されるべきだった」とコメント。この発言が多くの債権者の神経を逆なでし、VauldのTelegramチャンネルが炎上する事態も生じた。
この件について同社は「モラトリアムの保護下で、当社はユーザーに最高の財務結果を提供するために再建計画に取り組んでいます。すぐにユーザーと更新情報を共有します。」と伝えていた。
Vauldは、シンガポールで設立されたグローバルな仮想通貨プラットフォームとして、取引や貯蓄口座、仮想通貨担保融資など広範に手掛けた。22年6月時点に190カ国で15万人以上のユーザーを有し、1人当たりの平均預金額は約250万円(2万ドル)と報告していた。
Vauldは7月4日に顧客資産の出金・取引および預金機能を停止。11日には、Defi Paymentsグループ全体で約446億円(3億3000万ドル)相当の資産に対して、債権者(主に一般顧客)への負債総額は約540億円(4億ドル)相当に上ると公表していた。
一方で、米仮想通貨レンディング企業Nexoは、Vauldの買収に向けたタームシートを提示したことを5日に発表した。VauldのDarshan Bathija CEOもNexoのタームシートに署名したとSNS上で報告。
両社のデューデリジェンスが完了次第、取引は成立する見込みで、Nexoには60日間の限定調査期間(Exclusive Exploratory Period)が設けられている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します