米SEC委員長「仮想通貨市場の集権化を規制したい」

市場競争の側面から懸念

米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー委員長は24日、市場競争の重要性についてスピーチを行った。その中で、暗号資産(仮想通貨)市場においても集中化が進んでいることを指摘し、改めて規制していく姿勢を強調した。

ゲンスラー氏は、「中央に位置する仲介事業者は、その規模、ネットワーク効果、データへのアクセスから利益を得る傾向がある」として、次のように述べた。

技術革新は既存のビジネスモデルを何度も破壊してきたが、それでも再び一部企業への集権化が起こる傾向がある。

分散化という理念の下に築かれた仮想通貨市場でさえ、集権化が進んでいる。この分野では実際、市場の中間に位置する仲介業者への集中度が著しい。

その後ゲンスラー氏は質疑応答で、より具体的に「仲介者に関しては、仮想通貨取引所やレンディングプラットフォームなどの事業者で、非常に集権化が進んでいる」と説明している。

「そうした事業者は何百ものトークンを取り扱っている傾向がある。その中に証券とみなされるトークンも存在することは確実だ」と続けた。

その上で、あるトークンが証券とみなされるかどうか不明な場合は、SECに尋ねるよう事業者に改めて呼びかけている。そうすればSECは、ある仮想通貨プロジェクトについては免責が必要かどうか、ケースバイケースで判断できると話す。

市場の集権化を防ぐ上でも、証券と該当する可能性がある仮想通貨を規制していく姿勢を示した格好だ。

レンディングとは

保有している仮想通貨を一定期間貸し出すことで、利息を得る仕組みのこと。コインチェックやbitbankなどの取引所の運営企業が提供するものや、AaveやCompoundなどのDeFi(分散型金融)プラットフォームで提供されているものなどがある。

▶️仮想通貨用語集

仮想通貨法案に対しても意見

ゲンスラー委員長は、仮想通貨関連法案に関しても意見している。

法案がブローカーや取引所、仮想通貨の定義を変更することで、「規制されている株式市場や債券市場の競争力を損なう」ような構造を作り出すことを懸念する形だ。

「一般投資家から資金を調達していて、その投資家らが利益を期待しているならば、その商品を登録し、完全かつ公正な情報開示を行うこと」が必要だと強調している。

米国では現在、仮想通貨について主に2つの超党派法案が進められているところだ。

まず、ステーブルコインについての法案があり、銀行以外の企業がステーブルコインを発行できるようにする道筋を示すものになると期待されている。ジム・ハイムス下院議員は18日、2023年1月に終了する現在の会期では成立しない見通しだと話していた。

さらに「責任ある金融革新法」も進められている。こちらは米商品先物取引委員会(CTFC)に商品(コモディティ)とみなされる仮想通貨を監督する権限を与え、デジタル資産の新しい法的定義を設定する内容を盛り込んでいる。

現在米国では、証券とみなされる仮想通貨をSECが、商品とみなされる仮想通貨をCFTCが監督する体制にあるが、両機関の間で水面下の監督権限争いが行われている状況だ。

ゲンスラー委員長の発言は、CFTCの権限を拡大する法案を牽制する形で行われた部分もあると考えられる。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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