ステーブルコイン法案提出は来年に持ち越しか
米国のジム・ハイムス下院議員は18日、ステーブルコイン法案がすぐに可決することはないと述べた。
背景として、以前より超党派のステーブルコイン法案提出に向けて、水面下で交渉が進められていることがある。この法案は、銀行以外の企業がステーブルコインを発行できるようにする道筋を示すものになる見込みだ。
しかし、7月の時点で交渉が停滞していることが報じられていた。交渉にはジャネット・イエレン長官を含め米財務省幹部も参加していると伝えられる。
関係筋によると、政府側は、投資家保護を強化しようと働きかけており、特に暗号資産(仮想通貨)取引所のユーザー資金を、ウォレットをホストするプラットフォームの資産から切り離すよう要求している。一方で共和党は、ウォレットについては州ごとの基準を支持すると主張したという。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIやUSTといったアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
▶️仮想通貨用語集
今回のハイムス議員(民主党)の発言は、この法案の提出がまだ先になることを示唆するものだった。
ハイムス議員は、コインデスクの開催したデジタル資産関連のイベントで、法案について「おそらく2023年初めには、まだ実現しないだろう」と述べた形だ。11月に中間選挙が控えているため、2023年1月に終了する現在の会期では成立しない見通しだと話している。
同時にハイムス議員は、数年前に比べると、仮想通貨についての議会での取り組みは進化しているとも指摘した。
「例えば4年前に、議事堂でビットコイン(BTC)、仮想通貨、DeFi(分散型金融)という言葉を出しても、他の議員は誰も、あなたが何を言っているのかわからなかっただろう。それを考えると、議会での進歩は目覚ましい」としている。
今回のステーブルコイン法案についても、現在の党派的分裂を考慮すると「記録的な速さ」で登場したとも続けた。
「責任ある金融革新法」の状況
米国では、ステーブルコイン法案の他、シンシア・ルミス上院議員らによる包括的な仮想通貨法案も進められているところだ。ハイムス議員は、ルミス氏らの法案について「勢いを得てきた」と話している。
この「責任ある金融革新法(RFIA)」はルミス議員(共和党)と、カーステン・ギリブランド議員(民主党)が超党派で起草し、提出したものだ。
米商品先物取引委員会(CTFC)にコモディティとみなされる仮想通貨を監督する権限を与え、デジタル資産の新しい法的定義を設定する内容を盛り込んでいる。
仮想通貨に対する厳格な規制を求める米証券取引委員会(SEC)に対し、CFTCは在任中に柔軟な仮想通貨規制を訴えたクリストファー・ジャンカルロ委員長を輩出するなど、仮想通貨に前向きな姿勢を示してきた傾向がある。
関連:米国超党派議員らが起案した責任ある金融革新法(RFIA)とは
ルミス議員とギリブランド議員の両氏は、ジョージタウン大学のビジネススクールが開催した14日のイベントで放映された動画の中で、法案の見通しを語った。
ルミス議員は「今から6か月後には、少なくともRFIA法の一部に、バイデン大統領が署名してくれる」可能性があると話している。ギリブランド議員も、コモディティとみなされる仮想通貨に対する権限をCFTCに与えるという部分については、「前進する準備ができている」とした。