ビットコインは中期レンジ下限の1.76万ドル周辺に注目|bitbankアナリスト寄稿

今週(11/26(土)〜12/2(金))の仮想通貨相場

国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。


目次
  1. ビットコイン・オンチェーンデータ
  2. bitbank寄稿

ビットコイン・オンチェーンデータ

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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)

11/26(土)〜12/2(金)の週次レポート:

今週もビットコイン(BTC)対円相場は230万円周辺で横ばい。外国為替市場でのドル円相場の下落により、BTC対円は対ドルと比べて上昇幅を圧迫されている。

ハッシュリボンのデッドクロスや、中国でのゼロコロナ対策抗議活動の広がりを受けてリスクオフムードで始まった今週のBTC相場は、対ドルで節目1.6万ドル水準下抜けを窺う展開の中、BlockFiの破産申請や、セントルイス連銀のブラード総裁のタカ派的な発言を受けても同水準で底堅く推移した。

29日からは、BlockFiへのエクスポージャーが懸念されたSilver Gateが、同社へのエクスポージャーが最小限であると発表したことで反発すると、イーサ(ETH)、ドージコイン(DOGE)、ライトコイン(LTC)などが市場の上昇を主導し、BTCは230万円を回復した。

12月1日未明には、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が早くて12月に利上げ幅を縮小させる可能性について言及し、BTCは240万円を目指したが、アルトに戻り売りが入りBTCも失速。

雇用統計の発表を前に米失業保険の新規申請件数が市場予想を下回ると、ややリスクオフムードが台頭し、200日線の上抜けに成功したS&P500種が長期下降トレンドラインに肉薄し反落したことも相場の重石となった。

【第1図:BTC対円チャート(1時間足)】出所:bitbank.ccより作成

週央からの米経済指標ラッシュで相場も大きく動くかと思われたが、水曜日のADP雇用レポートは雇用者数変化が市場予想を下回ったものの、第三・四半期GDP成長率改定値が予想を上回り、木曜日の個人消費支出(PCE)は市場予想と合致し伸びの鈍化が確認されたが、雇用統計を前に失業保険新規申請数が予想を大きく下回り、まちまちの結果となった。

水曜日のチャレンジャー人員削減数大幅増加やADPレポートでの雇用者増加数の低下、さらに失業保険の継続申請件数が増加していることから、雇用統計の結果が改善するとは想定し難いが、FRBが最も注目する労働市場指標なだけに、万が一の事態(労働者増、失業率減、賃金上昇加速)が起きれば市場へのインパクトは大きいと言え、14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)まで市場のリスク選好度を悪化させる可能性がある。

一方、BTCの対ドルは、FTXショックによって下抜けした中期レンジ下限の約1.76万ドル付近まで戻しており、雇用統計が追い風となれば同水準を試す余地もあるだろう(第2図)。同水準では相応の売り圧力が掛かることが想定されるが、上抜けに成功すればショートカバーを誘発する可能性もある他、テクニカル的なセンチメントも上向く可能性があり、1.76万ドル周辺での攻防には要注目だ。

【第2図:BTC対ドルチャート(日足)】Glassnodeより作成

寄稿者:長谷川友哉長谷川友哉(ハセガワ ユウヤ)
英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。

関連:bitbank_markets公式サイト

前回のレポート:FOMC議事要旨でビットコイン底堅く推移、今後も米経済指標に注目

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