FOMC後の仮想通貨相場は反落、11月は史上最大級のBTC純流出に

マクロ経済と金融市場

14日の米NY株式市場では、ダウは前日比142ドル(0.42%)安で取引を終えた。

米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げペースの減速決定は大方の予想通りだったが、23年末のターミナルレート(金利の最終到達点)の見通し5.1%は市場想定を超える水準であり、景気悪化懸念が強まった。

これに伴い市場はドル高・株安で反応したが、タカ派を堅持しつつパウエル議長の記者会見内容はほぼ織り込み済みで、来年の利上げ余地は限定的との指摘もある。

まずはCPI(米消費者物価指数)などのインフレ指数がどのタイミングで許容範囲に収まるか、影響を及ぼす暗号資産(仮想通貨)市場関係者も注視している。

関連:15日朝の金融市場短観|FOMC利上げ減速もパウエル議長タカ派維持

仮想通貨市況

暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比0.4%安の17,729ドル。

BTC/USD日足

14日にはCPI結果が好感されて急騰するも、FOMCを控え反落した。

翌15日のFOMC発表前にジワ上げするも、発表後の米株指数に連れ安する形で売り優勢となっている。

結果的には一目均衡表の雲上で弾かれたような形で推移するが、17,300ドルのレンジ上限(②)をブレイクしており〜19,000ドル(①)で推移すれば一段上のレンジに移る可能性もある。

②付近の三角保ち合いを下抜けた場合は年初来安値を試しに行く可能性も考えられるが、①を上抜ければ強めのショートカバーが入ってもおかしくない水準と言える。

いずれにせよ年末年始は例年通りの薄商いが想定されるほか、FTX破綻の余波がおさまらず地合いの悪さは続いている。年末の米国株節税売りを伴うタックスロス・セリングへの警戒感も燻るため一筋縄ではいかないだろう。

海外トレーダーTone Vays氏のYouTeubeに出演したピーター・ブラント氏は、「現在のBTCは中・長期でダブルトップおよびディセンディングトライアングルを形成しており、13,000ドルまでの下落は十分あり得る」との見立てを示した。

同氏は2018年のビットコイン暴落価格を的中させた数少ないアナリストとしても知られ、20年9月には株やビットコインなど運用資産の大半を手仕舞い、米ドルに戻している。

11月は過去最大級の純流出

アラメダ・リサーチおよびFTXグループが崩壊した22年11月、ビットコインは過去最大となる91,363BTC(約2200億円)の純流出を記録した。

CryptoCompare

仮想通貨リサーチ企業CryptoCompareの最新レポート取引所レビューによると、11月の現物取引高は13.7%増、デリバティブ取引高は10.1%増となっている。

レンディング大手のセルシウスやブロックファイが顧客資金の引き出しを停止したこともあり、中央集権型の暗号資産(仮想通貨)取引所や関連企業への信用不安が拡大。デジタルウォレットなどを用いたセルフカストディやDEX(分散型取引所)の関心が急増した。

FTX存続の危機で市場参加者の恐怖心がピークに達した11月8日には、保有資産の投げ売りが広がり暗号資産相場が急落。これに伴いデリバティブ市場の取引量は2,970億ドルに達した。これは、アルトバブルの天井圏から暴落した際に記録した昨年5月に次ぐ、史上2番目の規模となる。

11月にFTXユーザーの受け皿となった最大手取引所バイナンスは、市場シェアを過去最大の52.9%にまで拡大した。一方、12月中旬に米司法省がマネロン関連でバイナンス代表のCZ告訴を検討していることが報じられると、24時間で30億ドルを超える資金流出につながるなど不安定な情勢は継続している。

関連:バイナンス、米司法省のマネロン関連告訴に関する報道に反論

FTX崩壊後に透明性を高める施策の一つとしてバイナンスが開示した準備金についても「資産と負債を証明し切れておらず不十分」といった指摘があり、信用不安の払拭にまでは至っていない。企業の不透明感や相場の不確実性に対して投資家が敏感になっている手前、大きく棄損したセンチメントの回復には時間がかかりそうだ。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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