2022年のビットコインは全四半期でマイナス濃厚、大口投資家の関心低下浮き彫りに
マクロ経済と金融市場
29日の米NY株式市場では、ダウは前日比345ドル(1.05%)高と反発して取引を終えた。
ここのところハイテク株を中心に下落基調が強まっていたことから、押し目買いや空売りの買い戻しを含む自律反発の範疇との見方が優勢だ。中国主要都市の新型コロナ感染急拡大などが嫌気され、ナスダック株価指数は29日時点で年初来最安値をつけている。
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仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比0.3%高の16,625ドル。
先月上旬の大手取引所FTX破綻に端を発した悪材料相次ぎ相場の不透明感が強まる中、今月上旬に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)後は金融市場全体が弱含んでおり、買い手不在の状況がつづく。
週足も際どいラインを推移しており、年末年始の薄商いの中で仕掛けが入るおそれもある。
なお、このまま31日の相場を終えた場合ビットコインの騰落率は“全四半期マイナス”となるが、これは過去の歴史でも例がない。
特に第2四半期(4〜6月)は、QonQで56.2%安と暴落が目立った。
ステーブルコインのUST(TerraUSD)および関連銘柄テラ(LUNA)崩壊から、大手ヘッジファンドThree Arrows Capital(3AC)や融資企業Celsiusらの破綻が発生し、その余波で多くの暗号資産関連企業の財務健全性と流動性が急悪化したことが背景にある。
第4四半期の今年11月に発生した、FTXやアラメダ・リサーチ破綻の引き金の一つとなったと言えよう。
金融相場全体が歴史的な弱気トレンドにある中、米株式市場では節税売りのタックスロス・セリングもみられた。暗号資産市場も例外ではなく、米ナスダックに上場するマイクロストラテジーが、大量保有するビットコインを同一年分の利益と損失を相殺する損益通算(節税)目的で一部売却、その後買い戻したことが判明している。
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オンチェーンデータ分析
28日に暗号資産調査会社Arkham Intelligenceが示したオンチェーンデータによれば、破綻したFTX関連の投資会社アラメダ・リサーチが保有するトークンの一部(170万ドル相当)が売却された可能性がある。
ステーブルコインのUSD Coin(USDC)やダイ(DAI)をはじめ、イーサリアム(ETH)やカーブ(CRV)、コンベックス(CVX)が含まれており投資家の警戒感を強めた。同銘柄群の下落タイミングとも重なる。
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なお、Santimentのデータによれば、100万ドル(1.3億円)以上保有するクジラ(大口投資家)の関心低下が著しい。
FRB(米連邦準備制度)の大幅利上げやFTX破綻などの影響で買い手が付かず、取引履歴をみる限り大口保有者の意欲は大きく減衰しており、前回の強気トレンドが始まる前の水準にまで落ち込んだ。
同指標が底値圏で急上昇した場合、歴史的には相場の反転シグナルとなり得る。
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