現在のビットコインはアジア時間に上昇傾向、米株相関指数は1年ぶり低水準に 1月22日から旧正月(春節)
マクロ経済と金融市場
19日の米NY株式市場では、ダウは前日比252ドル(0.8%)安で取引を終えた。
米新規失業保険申請件数が市場予想を下回り、雇用の強さを示したことで、FRB(米連邦準備制度)による利上げ長期化および景気後退リスクへの警戒感が強まった。
仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比2.00%高の21,175ドル。
米株指数の下落について行かず上昇した。
Arcane Researchの週次レポートによると、米株式市場とビットコイン(BTC)の相関性はここのところ低下しつつある。
30日相関指数は、21年12月以降で最も低い「0.29」まで低下した。
分析によれば、米国時間(22:00~翌10:00、サマータイム21:00~翌9:00)中は連動が確認されたものの、22年11月27日から23年1月15日までのBTCの累積リターンでは、アジア時間の方が相関性が低くBTCの上昇が数多く見られた。
米国時間帯の上昇率10%に対して、アジア時間帯は上昇率16%となった。
米国時間帯は、経済指標発表で大きく変動する米株指数の影響を色濃く受けているものの、それ以外の時間帯では自立しつつあることを示唆している。
Arcane Researchは昨年1月、「米国時間の重要性が高まっている」とのレポートを出していた。当時、ビットコインの取引量全体の43%が米株式市場が開いている時間帯に集中して記録されていた。
関連:Arcane Research、ビットコイン取引における「米国時間」の重要性を指摘
Arcane Researchは、昨今の相関性低下の主な理由について、以下を挙げている。
- テスラなど上場企業の保有BTCの大幅減少
- マイナーのBTC量採掘・売却量の減少
- 機関投資家の撤退
なお、1月22日から中華圏を中心に「旧正月(春節)」に入る。
旧正月を祝う文化は韓国、台湾、香港、シンガポール、タイ、マレーシアなど東南アジアも含めた地域で行われるため、金融市場が薄商いとなるほか、旅行費やプレゼント代捻出のため、人民元(CNY)やウォン(KRW)など法定通貨への換金売りが増加傾向となる。
ただ数年前と比較すると、中国政府の全面禁止令などの影響で仮想通貨市場における中華圏のプレゼンスは大きく後退しており、影響は軽微か。
アルトコイン相場
アルト市場の個別銘柄では、FTXのネイティブトークンであるFTTが前日比21.6%高と急騰した。
FTXのジョン・J・レイ最高経営責任者(CEO)は19日、WSJに対し「資産の清算以外にも全ての選択肢が議論の俎上に載せられている。顧客および債権者にとってより良い方法を模索する。再開の可能性を調査するため、タスクフォースを立ち上げた」として、サービス再開の可能性に初めて言及した。
サム・バンクマン・フリード元CEOから経営を引き継いだジョン新CEOは、米史上最大規模の巨額不正会計事件で破綻した2001年のエンロン騒動で陣頭指揮を取るなど“企業再生”の第一人者として知られる。今回のFTX破綻における巨額負債と大量の債権者に対して、レイ氏がどのような対応を取るのか注目される。
なお、米SEC(証券取引委員会)は19日、18億ドル相当の顧客資金を不正流用したとしてサム氏を起訴した。
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