ジェネレーティブAIへのVC投資が22年に急増、3500億円超え
急成長するAI分野
画像から音声、ソフトウェアのコードなど、新たなコンテンツを生成する人工知能技術「ジェネレーティブAI」が、注目を集めている。最も大きな話題をさらったのが、1週間で100万人のユーザーを獲得した対話型AI言語モデル「Chat GPT」だろう。
米データ分析企業「CB Insights」によると、2022年にはジェネレーティブAIスタートアップへの投資が急増。110件の投資契約が結ばれ、約3,517億円(26.54億ドル)の資金を調達した。2021年の資金調達額は約2,052億円(15.48億ドル)だった。
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資金調達額が最も大きかったのは、約767億円を調達したAIモデルの開発・研究を行う「Anthropic」(シリーズB:5億8,000万ドル)で、ヒューマン・コンピュータ・インターフェースに特化した「Inflection AI」が、約297億円で続いた(シリーズA:2億2,500万ドル)。
開発者向けのNLPツールキットの「Cohere」とAIを活用したコンテンツ作成パッケージ「Jasper」が、約165億円(1億2,500万ドル)で3位に並んだ。(それぞれシリーズBとシリーズA)
しかし、CB Insightsが確認した250社以上のジェネレーティブAI企業のうち、外部からの資金調達を行っていない企業は33%に上り、51%は投資ラウンドのシリーズAとそれ以前の段階(アイディア〜ビジネスの開始段階)で、この分野がまだ初期ステージにあることが指摘された。
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ユニコーンとなった企業と注目領域
ジェネレーティブAI企業で、時価総額が10億ドル(1,300億円相当)を超えるユニコーン企業となったのは以下の6社だ。
- OpenAI: 2兆6,459億円(200億ドル)
- Hugging Face:2,646億円(20億ドル)
- Lightricks: :2,381億円(18億ドル)
- Jasper:1,984億円(15億ドル)
- Glean:1,323億円(10億ドル)
- Stability AI:1,323億円(10億ドル)
2021年から2022年にかけての資金調達額から、ジェネレーティブAIの五つの領域で、投資家の関心がどこに集まっているのかが浮かび上がってくる。
- 文書・テキスト関連領域:1,127億円(8億5,200万ドル):SNSとマーケティングコンテンツ、要約、機能横断型(API)
- ビジュアルメディア領域:1,087億円(8億2,200万ドル):企業AIアバターや画像・ビデオ編集ツール、イメージ・NFTなど
- ジェネレーティブ・インターフェース領域:775億円(5億8,600万ドル):ヒューマンマシンインターフェース、生産性・知識管理など
- 対話・音声領域:280億円(2億1,200万ドル):オーディオ編集、音声吹き替え、音声合成、音楽生成
- コード領域:185億円(1億4,000万ドル):コードの完成、コマンドライン、ウェブ・アプリ
ジェネレーティブAIの可能性
IT分野を中心としたアドバイザリー企業「Gartner」は、ChatGPTは「すごい」が、ほんの始まりに過ぎず、企業におけるジェネレーティブAIの利用は、より洗練されたものになってきていると指摘する。
以下の五つの分野を含むさまざまな業界で数多くのユースケースが生まれている。
- 創薬:創薬プロセスのコストと時間の削減
- 物質科学:特定の物理的特性をターゲットにした新たな材料を構成:自動車、航空宇宙、防衛、医療、エレクトロニクス、エネルギー産業に影響
- 半導体チップの設計:部品配置の最適化
- 合成データ:研究分析用等にプライバシーを確保した合成データの作成
- 最適化した部品設計:特定の目的(性能、材料、製造方法など)に合わせた設計
ジェネレーティブAIを使うと、対象物のデザインの可能性を多数探索し、優れた、もしくは最も適した組み合わせを見つけ出すことができる。そのため、多くの分野で設計・デザインを拡大・加速するだけでなく、人間が見逃していたような斬新なデザインや物を「発明する」可能性も秘めているとGartnerは主張する。
同社の技術・イノベーション部門リサーチ統括責任者は、2025年までに新薬や材料の30%以上が、ジェネレーティブAIを用いて体系的に発見されるようになると予想している。また、2030年までには、主な大ヒット映画の90%が、台本から映像までAIによって生成されたものになると見ているようだ。
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